【本日発売】「フォートソリス」クリアレビュー! ここで一体なにが起こったのか?得体の知れない恐怖と闘いながら施設を探索するSFスリラー

2023年09月07日 12:000

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2023年9月7日、PS5向けタイトルの「フォートソリス」が発売された。本作は火星を舞台にしたSFスリラーで、救難信号を受信したメカニックのジャックが。フォートソリスという施設を調査するという物語が描かれる。


本稿では、そんな「フォートソリス」をいち早く遊ぶ機会を得たので、最後まで遊んだうえでのレビューをお届けしよう。

圧倒的なグラフィックと徹底した演出で生まれる没入感



本作の舞台は2080年、火星にある採掘現場。相棒のジェシカとともに夜間の作業に従事していたジャックは、あるとき近くにある施設のフォートソリスから緊急通信を受ける。ジャックは急いでフォートソリスに向かうが、その中はあちこちが停電しており、さらに人の気配もしない。不審に思った彼は施設内を探索し、救難信号が発信された原因を探る。というのが本作のあらすじだ。



最新のゲームエンジンである「アンリアルエンジン5」を採用していることもあり、本作のグラフィックは圧巻だ。ジャックの皮膚の質感や、顎に生えているヒゲ、ヘルメットに反射する光に、暗闇で点滅する電灯など、あらゆる描写が事細かく表現されている。PS5版ではグラフィックを、フレームレートを重視する「パフォーマンス」か、画質優先の「グラフィック」のどちらかを選べるのだが、グラフィックにすると光の反射をリアルタイムで反映するレイトレーシングもオンになる。

 

さらに、カメラで断続的に撮影された場面、いわゆるカットをつなげるのとは違い、本作の物語ではカットを挟まない長回しという手法が取られているのも特徴だ。ストーリーの冒頭ではジャックとジェシカが現場で作業をするシーンがあるのだが、ここから画面はずっとカメラが主人公を追従して離れない。画面がまったく切り替わらないため臨場感が高く、映画をそのまま遊んでいるような感覚に近い。



加えて、手に入れた情報の閲覧やマップの確認は、すべて右腕に装着された腕時計状の機械を通して行う。画面いっぱいにマップが出てくるような、良くも悪くもゲーム的な演出は極力排除されており、そうした工夫も没入感を高めていた。


音声記録やメッセージなどから、施設で起こった出来事を調べていく



施設内にある証拠を集めながら、今回起こった出来事を探っていくのが本作の目的。部分的に停電しているフォートソリス内を巡るわけだが、不自然なほど人がいない。さらに調べていくと、レバーがへし折られたドアや血痕の付いたスーツを見つけたり、残された音声記録から従業員同士の人間関係を聞けたりと、さまざまな情報が明らかになっていく。

 

なお、調べられるオブジェクトは画面に小さな丸で表示されるので、探索はスムーズに進められるだろう。集めた情報は腕時計状の端末でいつでも確認可能だ。



これは事件なのか事故なのか。なぜ従業員がいないのか、すでに避難しているのか、どこかで犠牲になってしまったのか。犠牲になったのならなにが原因なのか、誰かに殺されたのか、伝染病による病死なのか。証拠が増えれば、こうした疑問も筋道立てて考えられるようになってくる。そしてフォートソリスで起こった出来事が、自分が想像していたよりもずっと深刻だったことに気づく。



最初は少し暗い施設を探索するくらいの感覚だったのが、証拠をもとに考察を進めていくにつれて、よくわからないが自分はいつの間にかまずい現場を調査していたという流れになるのがおもしろい。それまで何気なく通っていた曲がり角に、何かが潜んでいるのではないかと思うと、これまで探索していたあらゆる場所が途端に怪しくなり、自分の中で次第に恐怖感が増していく。


不安を消そうにもすでにそれを示す証拠はあるし、なにより一度でも思ったことはなかなか忘れられない。開発側が意図しているのかは不明だが、何度も見ているものの印象が進行に合わせて変わっていくという作りは見事だと思った。

歩くしかない不便さが恐怖感をあおる



本作では走れない。どこへ行くにも歩くしかなく、プレイ中はやや不便ではあった。とはいえ、昔ならともかく現代で機能の問題で走れないというのはまずありえないので、本作の移動方法はそもそもそういう仕様なのだろう。歩くしかないのも決して悪いことばかりではなく、情報収集が重要な「フォートソリス」では、そのゆったりとしたペースにより返って手がかりを見つけやすいという一面もあった。



なにより、歩くしかないという不便さが恐怖感をあおる。すでに書いたように、出来事の詳細がわかるにつれてホラー要素が強くなり、ちょっとした暗がりも速く駆け抜けたいと思うようになるのだが、なにぶん走れないので気持ちがまったく休まらない。



そうした状況で、物語では時々イベントも挟まれる。ワイヤーを使って登ろうとすると体制を崩しかけたり、倉庫を歩いているといきなり貨物が迫ってきたりするのだが、このときに特定のコマンドを求められるという仕組みだ。今回は1周しかプレイしていないため断言はできないが、コマンド入力に失敗してもイベントはそのまま進んでいったので、本作のストーリーには大小さまざまな分岐があるようだった。


なかにはAをしたことでBの展開になるというような、プレイヤーが取った行動がイベントやストーリー自体の中身にも影響を与えることも。フォートソリス内部の調査、歩くしかない仕様、コマンド入力を求められるイベントにより、今回のレビューで筆者の気持ちは最初から最後まで張り詰めていた。人を怖がらせるホラーではなく、本作がプレイヤーの緊張感や不安感をあおるスリラーというジャンルになっている理由がわかった気がした。


クリアにかかった時間は5~6時間ほど。ボリュームは少なめだが、そのぶんスリラー系のアドベンチャーとしてコンパクトにまとまっており、短い時間で濃密なストーリーや演出が楽しめる。ゲームにストーリーや雰囲気を求めている人にはとくにオススメできる作品だ。

タイトル情報

  • ■フォートソリス
  • 対応機種:PS5
  • ジャンル:アドベンチャー
  • プレイ人数:1人
  • 発売日:2023年9月7日
  • 価格:4,950円(税込)
  • CERO:C(15才以上対象)
  • 発売元:株式会社3goo

@2023 Dear villagers. Developed by Fallen Leaf. All Rights Reserved “Fort Solis” are registered trademarks of “Fallen Leaf” Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.

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