これがLuce Twinkle Wink☆の練習風景! ルーチェ第2章の幕開けを飾ったお披露目ライブ直前の舞台裏に密着レポート!

2019年04月02日 14:360

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去る2019年2月15日、「うらら迷路帖」や「ゲーマーズ!」などのアニメ主題歌を歌うアニソンアイドルユニット「Luce Twinkle Wink☆」(以下、ルーチェ)が、AKIBAカルチャーズ劇場で行っている定期公演「つくるーちぇ金曜定期公演」で新メンバー・咲本美桜さんのお披露目公演を行った。

その模様はすでに当サイトでも紹介しているが、実は本公演の前、新メンバーを含めた5人でのダンスレッスン風景を潜入取材していたのだ。2か月前のお披露目公演を思い出し、楽しんでもらえればとは思うが、何よりも、ルーチェの鋭いダンスが研ぎ澄まされていく過程、新メンバー・咲本美桜さんの熱い努力、そして新生ルーチェの魅力と未来を感じとってもらうことを願う。

 

 

某日、都内某所で行われたルーチェのダンスレッスンは、公演が近いということもあって、仕上がりの確認に入る段階だった。通しで踊ったあと、ルーチェの振り付けを担当する沢口かなみ先生が修正点を指摘し、修正、再度通しで踊る、というのが基本的な流れで、特に咲本さんが新メンバーということもあり、彼女の修正を軸に進んでいった。

練習曲は「Fight on!」「Twinkle "5" stars!!☆」「刹那ハレーション」「1st Love Story」「go to Romance>>>>>」「恋色思考回路」。まずは入念なストレッチから。激しいダンスレッスンの前には必要不可欠なルーティンだが、ここで全員の身体のやわらかさに驚かされる。180度開脚、そこから前方に身体を倒して床にペタリと付ける。若い女性とはいえ、柔軟性は日々の鍛錬の賜物。ルーチェが積み上げてきた努力と、ダンスが生まれる理由を目前で確認させられた。最後は、座った姿勢から伸ばした足を上げたまま静止させて1分。メンバーの腹が割れてくるという話も納得の腹筋トレーニングで終わった。

 

 

ストレッチが済むと5人はライブ同様の立ち位置へ。マイクも持ち、実際に歌いながらの本格的なリハーサルが始まる。1曲目の「Fight on!」を歌い、踊ると、新メンバーの咲本さんはかなみ先生から個々のアクションがおとなしいことを指摘される。投げキッスの振りを例にあげ、曲や歌詞に少し合っていなくてもいいのでオーバーに表現するように、と。イベントやライブでは客全員がすぐ目の前で見てくれるわけではない。会場の後方に立つ人にも伝わるためには必要なポイントだ。そこから細かいポイントに対するチェックが入っていく。

 

イントロで咲本さんが指摘されたのは、片足で跳ねながら左右に向きを変えるところで、「1、2、3、4!」のタイミングではなく、「1、2」ですでに向きを変えていること。また、腕が真横に伸びているとも指摘されると、深沢紗希さんからは「脇を締める感じがいい」とアドバイスが入る。さらに、3人と2人に分かれたあとでパンチを受けてからジャンプ、ではジャンプが「よいしょジャンプ」になっていると先生から告げられる。つまり、待ちの姿勢から予備動作なしでジャンプ、が正しいが、一瞬ジャンプのタメを作っているという説明だった。確かに「Fight on!」はゲーム的な動きが魅力な曲。それが予備動作のなさが感じさせると知った。

 

 

続いて、かなみ先生が口にしたのは「足の位置が変わらない、というのを伝授したい」という言葉。場所はサビのことで、片足立ちで前を指差したあとに逆足で反った体勢、というのを繰り返すところだが、立っている場所を動かさないように、という要求だ。ここで宇佐美幸乃さんは、「靴1足分しかないの、板が。その板から落ちたら死ぬの」と実践のポイントを説明。そのキレのある表現に、思わず場にいる全員は一瞬にこやかな表情になった。その後、咲本さんはその場で練習するが、足の位置はクリアしてもキレのある立ち姿につながらない。見ていたら、ほかのメンバーは指差しの際はつま先が前に、右足を上げる際は少しつま先が左横を向いていた。前後運動と同じ方向に足が向いていると体が流れやすいので、しっかり足でストップできるようにそうなったのだろう。だが、何度も繰り返すうちに誰に言われるでもなく、咲本さんも自然とその足の向きを習得していた。

 

次に先生は、足の上げ方と高さを揃えるため、先輩メンバー4人を並べ、「振り子みたいに見せたい」と話す。ここでメンバーに「(左足は)曲げるでいいんだっけ?」と質問。ピストルの形で指差しする際、咲本さん以外のメンバーの足が伸び気味だったところが気になったからだ。宇佐美さんほかの、曲げる形で教わったという回答を得て、4人にもそのポイントを意識するように伝える。そして

「(右足を上げたときは)おしりは果穂ちゃんがベスト」

の発言。腰を捻っておしりをプリッと上げた形を褒めつつ、桧垣果穂さんを5人の中心に据えた位置で全員にその個所を繰り返させた。

 

 

こうして咲本さんのクオリティを上げつつ、先輩メンバーの振付もブラッシュアップされていく。実際、最初の通しでは咲本さんだけではなく、深沢さんも「板1枚」に乗れていなかったが修正、深沢さんらしい豪快な「前蹴り」が復活していた。また、間奏部分。手をぐるぐる回転させながら身体全体を使って腕を反時計回りに回すところは、かなみ先生から「回数を重ねれば重ねるほど」できてくるところという言葉が。そこで、宇佐美さんから板山紗織さん・深沢さん・桧垣さんを見ながら「一時期うちら、クセになってたよね」と、昔を思い出す発言も出ていた。

そこからも一歩一歩確認するかのように細かく修正を施されたあと、1曲通しての指示が終わったところで、先生から「メモとってください」の言葉。頭で理解し、体を動かしてみても、人間は忘却の生き物。1曲のクオリティを上げていく中で、かなみ先生はひと通りチェックしたあとで必ずインターバルをとり、しっかりとノートやスマホにメモを残す時間を与える。機会があれば、ルーチェになるためのノウハウが詰まったノートも見てみたい。

 

 

このようにして「Fight on!」を仕上げていったが、すでに1時間が経過。この日の練習予定である3時間の1/3を過ぎていた。しかも次に始まったのは、ハードな楽曲としてウィンカーも知る「Twinkle "5" stars!!☆」。この曲がセットリストに入ることに驚きを感じながら、練習時間内に5曲終えられるのかという不安もあったが、結果から言えば、「Fight on!」がトータルの練習時間が少なかったのか(ゆえに時間をとって最初に練習したのかもしれない)、3時間で5曲を終えた。

ダンスレッスンの内容を詳細に説明していると、膨大な文字量を要するので以降は割愛するが、とにかく非常に密度の濃い3時間であった。その中で興味深かったひとつとして、新メンバーが入ったことによる副産物が意外に多い、ということ。たとえば、「Twinkle "5" stars!!☆」のサビ前~サビで横一列に並んでいた5人が、続いて5つの頂点となって星を形作るところ。向かって右から2番目の咲本さんが、「Precious story」のところで左奥まで移動するのは厳しいという判断のもと、先生はサビでの位置を深沢さんと入れ替えたが、このフォーメーション変更の結果、そのあとのフォーメーションにも小さなズレが生じ、先生と5人はひとつずつ更新していくことになった。

だが、結果的にはこれが功を奏し、フォーメーションがシンプルかつスマートに洗練されていった。続く落ちサビで、対となる宇佐美さん・深沢さんが板山さんを挟んで踊るところで3人の動きがきれいに収まるとか。そこでセンターにいた板山さんが最後方に下がる際に正面を見ながら下がることに変更し、さらにシャープな群体を見せられることにつながるとか。咲本さんのレベルに合わせての調整だったかもしれないが、細かい振り付けだけではない、フォーメーション自体を見直すきっかけにもなったといえ、咲本さんのレベルが追いついたあとも新しいフォーメーションが維持されそうだ。

 

また、これまでは役割の違いはあったとしても5人が対等にあった印象のルーチェだが、咲本さんが入ったことで4人は「先輩」の属性を手に入れたようだ。宇佐美さんは生来のリーダーシップをより発揮していると感じた。振り付けやフォーメーションを変更したとき、先生に対して「次はこうなるんですけど、こう変更していいですか?」、メンバーに対して「外回りに回転するならワン、ツーのワンで足をかけながら回るといい」と、与えられた振り付けのクオリティを上げていた。どのような振り付けやフォーメーションにするかはかなみ先生の役割だとしても、振り付けやフォーメーションの流れ、歌詞などを熟知しているのは宇佐美さんではなかろうか。リーダーとしての矜持、責任感から生まれたとするならば、本当に頭が下がる。

 

 

もちろん、ほかのメンバーも咲本さんにとっては尊敬すべき先輩として輝いていたはずだ。板山さんの振り付けが美しいことは周知の事実であるが、やはりポジショニングのいい例として咲本さんに示されることが多かった。ストップしたとき、あるいは動きの中での高さや位置などなど。いっぽう、よきサンプルとして上げられることが多かったもうひとりのメンバーが桧垣さんだ。特に、前述したおしり――かなみ先生の表現で言えば「おちり」の位置は幾度も褒められていた。桧垣さんのパフォーマンスは、曲あるいは部分部分でのきらめきに目を見張るものがあると思っている。それは無意識のうちにかわいさを追求する、彼女の性格の表れなのかもしれないが、アイドルである以上、桧垣さんのキャラクターは咲本さんにとっても勉強になるはず。表現という意味では、常々女優のような顔を見せると思っている深沢さん。彼女の大きな魅力であるめくるめく表情は練習から健在で、それと裏腹に見せるダイナミックな振り付けというギャップは咲本さんによい刺激を与えるのではないか。

 

そんな4人に囲まれる咲本さんといえば、この日のリハでもまだまだ緊張している様子だった。彼女が初めてみずから発言したのは1時間以上を経過した、「Twinkle "5" stars!!☆」のとき。先に述べたサビ前~サビの確認中でだった。宇佐美さん・深沢さん・板山さんの流れをかなみ先生が通しで確認しようとすると、

「(軽く挙手して)その前にいいですか? ……(しゃがみながら)これってウソですか?」

その場にいた全員が「ウソ???」ときょとんとする。咲本さんとしては、両端にいる桧垣さんと咲本さんが、膝をつくのか、膝をつく「風」なのか確認したいことからの表現だったが、その独特の表現に彼女の魅力が垣間見られた瞬間でもあった。

思わずその場にいた全員が破顔一笑。その後、かなみ先生は「崩れて膝をついてくれれば大丈夫」と伝える。咲本さんは大きくうなずくが、ここで桧垣さんが「嘘ついてたのかぁ、私」と話を引っ張る。あわてて咲本さんはいやいやいやと否定するも、さらに宇佐美さんが乗っかり、桧垣さんに「嘘つくなよ」とツッコミ。すると桧垣さんが「先生が嘘ついてたんだよ」とかなみ先生に話題を振る。すると先生が「私か? ごめん」と返していくといった一連の様子は、女子高の部活さながら。非常にいい空気感が生まれていた。

 

 

咲本さんが必死に食らいつこうとする様はほかでも見られた。「Twinkle "5" stars!!☆」のサビ前で、一列になるところで板山さんと咲本さんがさらに入れ替わることになったとき、先生からの言葉は「入れ替わってくれる?」と、咲本さんへの「斜め上やったことある?」、板山さんへの「斜め下やったことある?」の三言だけだった。「斜め」とは、サビで宙や地を突き刺すように何度も指差す個所のことだが、咲本さんも板山さんも「あります」と素早く答えを返していた。咲本さんがかなみ先生や先輩メンバーと同じ言語レベルで会話できるまで、楽曲と振り付けを体に染みこませてきたのだと感じた。

 

予定の3時間を過ぎ、入念かつ濃密なレッスンが終わりを告げたとき、あらためて咲本さんに対して感嘆の情を抱かずにはいられなかった。レッスンを訪れる前に抱いていた不安に満ちた思いは霧散していた。旧メンバーである錦織めぐみさんの卒業が2018年10月7日に発表され、同年の11月から新メンバーを募集開始。以降、急ピッチで選考が進められはしたが、咲本さんが新メンバーに合格したのは年の瀬に入った頃。ひと通りの振り落としを受け、ようやく最初のレッスン日に参加できたときにはすでに2019年1月19日を迎えていた。それからは、振り付けを体に覚え込ませる自主練習を積み重ねるいっぽうで、1月20日、24日、30日、31日とハードなレッスンに繰り返し参加し、回復する間を与えることなく体を痛めつける毎日だった。

しかも、咲本さんは先日ブログで大学卒業を報告していたが、この時期、まさに卒業試験と重なっていたのだ。ルーチェに臨む彼女の姿は、決死の覚悟、背水の陣、鬼気迫るという言葉がふさわしいものだった。心身の全てを賭けていた。もちろん、その苦労がいかほどのものであったか、見る者は推し量ることしかできないのではあるが、咲本さんは今、目の前でルーチェのメンバーと呼ぶにふさわしいダンスを見せている。そのたったひとつの事実が胸を打たざるを得ない。そして、新メンバーお披露目公演当日に居合わせた者すべては、きっと同じ思いを胸に抱いたはずだ。そして、2019年1月14日の錦織めぐみさん卒業公演からわずか1か月で、新メンバーとのフォーメーションに切り替えてきた4人にも拍手を送りたい。

 

この5人での、最後で、最高のステージ! 錦織めぐみ卒業ライブ「Luce Twinkle Wink☆卒業ライブ 5ール☆!~ゴール~」レポート

 

今、定期公演やJewel Beat!!のような事務所公演、あるいはアイドルフェスなどを経ることで、咲本さん、そしてルーチェ5人のパフォーマンスがどんどんと磨かれている。そこには、潜入取材したレッスンやお披露目公演とは比べようもないほどの変化を感じ取ることができる。再び5つの頂点をきらめかせ始めたルーチェだが、近い将来、そのきらめきは以前よりも一層まぶしい光を放つと確信する。

(取材・文/清水耕司)

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