ライター 箭本 進一さんの評価レビュー

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意義ある表現のカオス

観賞手段:テレビ
ネタバレ
4コマギャグ漫画のアニメ版を見ていたと思ったら、いつの間にか粘土アニメやイケメン声優の顔出し演技に見入っていた。意義ある表現のカオスが展開する濃密な12分+12分、それが「ポプテピピック」だ。
なぜ12分+12分かというと、「主人公2人の声優を番組の前半と後半で変え、ほぼ同じ内容を放送する」という前代未聞のアイデアによる。そこでビリビリと感じるのは、本作に出演する神谷明氏、銀河万丈氏、玄田哲章氏、古川登志夫氏、三ツ矢雄二氏、三石琴乃氏といった実力派声優たちが持つ懐の深さだ。同じ話を異なる声優が演じるのを聞き比べる、なんてのはなかなかできない体験であり、同じ台詞でも声優による解釈の違いが垣間見えたりするのが面白い。混沌としていて知性も刺激される、意義ある表現のカオスなのである。
そして、12分に様々な表現手法がブチ込まれているのも面白い。粘土アニメに砂絵、8~16ビットゲームのパロディ、人形アニメにエスプリ満載のフランス語アニメ、作者が人力でスケッチブックをめくる「高速紙芝居」など、インパクト抜群の表現が次々と飛び出してくる。手がけるのは気鋭のクリエイターたち。絵を動かすというだけでも、これだけ色々な手法があるのだと再認識できるわけで、やはり意義ある表現のカオスといえるだろう。
単なるパロディや単なる露悪趣味、単なるカオスに終わらない、良い意味での問題作。それが「ポプテピピック」なのだ。
プロレビュアー
ライター 箭本 進一
ライター 箭本 進一
ストーリー
3.0
作画
4.5
キャラクター
5.0
音楽
4.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
4.5
満足度 4.0
いいね(0) 2023-06-30 20:12:20

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