2画面が特徴のポータブルゲーミングPC「AYANEO FLIP DS」をレビュー! フルHD画質で大型タイトルを「ながらプレイ」!

2024年05月18日 12:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

2024年6月下旬、天空から「AYANEO FLIP DS」が発売される。本機はポータブルゲーミングPCで、上と下にサイズの異なる画面が備わっているのが特徴だ。なお、発売される予定のモデルは以下のとおり。プロセッサーとストレージは全モデルで共通、バリエーションはメモリーの容量と本体の色のみとなる。

■AYANEO FLIP DS 発売モデル

●ブラック

・プロセッサー:Ryzen 7 8840U/メモリー:32GB/ストレージ:2TB

価格:193,600円(税込)

・プロセッサー:Ryzen 7 8840U/メモリー:64GB/ストレージ:2TB

価格:234,300円(税込)

●ホワイト

・プロセッサー:Ryzen 7 8840U/メモリー:32GB/ストレージ:2TB

価格:193,600円(税込)

・プロセッサー:Ryzen 7 8840U/メモリー:64GB/ストレージ:2TB

価格:234,300円(税込)

 

今回筆者が触れたのは、プロセッサーがRyzen 7 7840U、メモリーが32GBのモデル。プロセッサーの仕様のみ製品版とは異なるため、100%スペックが一致しているわけではないが、今回はこのモデルを通して、「AYANEO FLIP DS」の特徴や性能、一部タイトルを遊んだうえで得た所感などを伝えていきたい。

2画面で別々の作業をしながら遊べるポータブルゲーミングPC

 

 

本機は折り畳み式となっており、広げると、上下に画面が展開。いわゆるデュアルスクリーンでゲームやネットサーフィンを楽しめるようになっている。

 

上の画面はサイズが7インチで解像度が1920×1080、リフレッシュレートは120Hzだ。液晶パネルにはIPS方式を採用しており、色域がsRGB 120%、色域カバー率 100%なのも相まってか、全体的に発色は明るく非常に見やすい。4KやWQHDなどが台頭しつつある昨今において、1920×1080のフルHDは解像度でこそ最先端のハードには及ばないものの、代わりにリフレッシュレートや発色でカバーしているという印象だ。

 

 

下画面のサブスクリーンはサイズが3.5インチで、解像度は960×640。メインスクリーンよりもふた回り近く小さいが、こちらも同様にIPSを採用。画面自体は狭さを感じるものの、ブラウザを展開しても記事などの見出しや本文ははっきりと表示されており、視認性は良好だった。

 

さらに本機の画面は両方ともタッチ機能を備えている。スティックやボタンに加えて指での直感的な操作もできるため、カーソルをいちいち移動させる必要もない。とはいえ、サブスクリーンの場合、ブラウザ内の小さなタブなどを指で切り替えるのは画面のサイズ的に難しく、タッチペンのような機器が欲しいところではある。

 

 

本体の背面。USB4 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-C、OcuLinkのポートと、microSDカードスロットをひとつずつ内蔵している

 

本体のサイズはかなりコンパクト。公式サイトによれば180×102×29.8-37.5mmで、AYANEOがこれまで手掛けてきた「AYANEO2」の約264.5×105×36.1-21.5mmと比べると、その小ささがわかる。実際に持ってみるとかさばる印象もなく、本機下部にあるグリップのおかげで安定感もあった。重量は約650gで、携帯ゲーム機なら決して軽いとはいえないが、重量級の多いポータブルゲーミングPCという枠組みで見ると軽めなほうだろう。仰向けになって本機を掲げながら遊んでみたりもしたが、疲労感はそこまでなく、長時間のプレイにもそれなりに対応しているように感じた。

 

 

なお今回のレビューで使用したテスト機のプロセッサーは、先述の通り「Ryzen 7 7840U」を採用している。「U」というのはRyzenのなかでも消費電力を抑えたシリーズで、7840Uは2023年5月に発売されたモデル。今回のレビューにあたって、このプロセッサーを採用したマシンで大型タイトルをいくつかプレイしたものの、処理速度などはまったく気にならず、終始快適だった。製品版ではこれが新型の「8840U」になっているので、本機よりもさらに使いやすくなっていることだろう。

 

さらにメモリーは32GBのLPDDR5Xを搭載している。LPDDR5Xは、データの転送速度などに優れたDDR5の消費電力を抑えたモデルLPDDR5の改良型で、こちらもRyzen 7 8840Uと同様にバッテリーの持ち時間を延ばしてくれる。つまり「AYANEO FLIP DS」は持ちがよく、ポータブルゲーミングPCにはうれしい仕様だ。

 

必要がなければサブスクリーンの電源だけを落とすこともできるので、こちらも利用すればバッテリーの稼働時間をより延ばすことも可能だ。ちなみに公称ではバッテリーの稼働時間は約2~3時間となる。今回レビューのために試遊したタイトルは、それぞれでグラフィックの質感や描かれる物や量、ジャンルも異なるが、バッテリーの持ちはおおむねそのとおりだった。

デュアルスクリーンで「ながらプレイ」が可能 サブスクリーンには便利な機能が満載

 

 

上下の画面はそれぞれ独立しているため、上と下で違う画面を出力することも可能。たとえば、上の7インチ画面ではゲームを遊び、下の3.5インチスクリーンではブラウザを表示させる、といったプレイも楽しめる。サブスクリーンでYouTubeの動画を流してもいいし、X(旧Twitter)などのSNSを表示させて情報を追いながら遊ぶのもいい。ゲームと並行してほかの作業ができるため、効率化が求められる現代人にマッチしている。

 

サブスクリーンにはほかにも便利な一面がある。それが、「AYASpace」と呼ばれる専用のアプリの表示機能だ。
本アプリは最初から本体にインストールされており、一度起動した後、「デュアルスクリーン キー」というボタンを押すとサブスクリーンが切り替わる。すると、プレイ中のゲームに対し、本体がどのようなパフォーマンスを実行しているかをリアルタイムで確認できるのである。

 

 

フレームレートやTDP(熱設計電力)、冷却ファンの回転率、CPUとGPUそれぞれの消費電力と温度など、表示される項目は多い。とくにTDPは重要で、出力を最大28まで変更できる。TDPの数値が大きいほどプレイ中のゲームのフレームレートをはじめとするパフォーマンスは向上するが、代わりに消費電力が増え排熱も激しくなり、結果バッテリーの消耗も早くなってしまう。TDPの項目をいじる際は、なるべくAYASpaceの機能で本体の状態を確認するようにしたい。

 

再びデュアルスクリーン キーを押せばAYASpaceはオフになり、サブスクリーンは元に戻る。つまりパフォーマンスの確認とネットサーフィンなどの作業をいつでも瞬時に切り替えられるわけだ。ボタンひとつで済むためストレスもなく、非常に便利な機能といえる。

 

ちなみに、AYASpaceにはほかのプラットフォームにインストールしたゲームを直接起動する機能もある。本アプリを起動後、メニューの「Gamemanagement」から「Addgame」を選ぶと、本体に保存されているゲームを検知して登録。以降はAYASpaceからでも起動可能に。Steamのタイトルは自動で検知されたが、EAのほうは対応していないようで、インストール場所にあるexeファイルを自分で指定する必要があった。

3つのタイトルを遊んでパフォーマンスをチェック

 

ここからは、「AYANEO FLIP DS」で実際にゲームタイトルを遊んだうえでの所感をお届け。サンプルとして、「ペルソナ3 リロード」、「エルデンリング」、「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」のSteam版を選んだ。

 

ペルソナ3 リロード」は、2024年2月に発売されたRPG。アトラスの看板シリーズのひとつであり、2006年に登場したプレイステーション2作品「ペルソナ3」のリメイクにあたる。

 

ペルソナ3 リロード:推奨環境

OS:Windows 10

プロセッサー:Intel Core i7-4790, AMD Ryzen 5 1400

メモリー:8GB RAM

グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 1650, 4 GB, AMD Radeon R9 290X, 4 GB

 

グラフィックス設定は最大のHighにしてプレイ。作中で攻略対象となる迷宮「タルタロス」のなかを走り回ったり、ストーリーを進めたりいろいろとしてみたが、フレームレートは全体的に40前後で推移した。TDPを28まで引き上げると、今度は50~60FPSが中心に。さらに設定でリフレクションをオフにすると、ほぼ60を維持できた。

 

 

TDPが初期状態でも30以上のフレームレートは維持できていたので、本作を遊ぶのはとくに問題なさそうだ。60近いフレームレートを求めるなら、上記のようにTDPを変えたりリフレクションの設定をオフにするなどして、一部性能をカスタマイズしてみるといい。

 

つぎに試したのは「エルデンリング」。2022年に発売されたアクションRPGで、その年に発売されたなかで最もすぐれたゲームタイトルに贈られる称号「Game of the Year」を受賞したタイトルでもある。2024年6月21日には、ダウンロードコンテンツ「Shadow of the Erdtree」の発売も控えている。

 

エルデンリング:推奨環境

OS: Windows 10/11

プロセッサー: INTEL CORE I7-8700K or AMD RYZEN 5 3600X

メモリ: 16 GB RAM

グラフィック: NVIDIA GEFORCE GTX 1070 8 GB or AMD RADEON RX VEGA 56 8 GB

 

フォトリアルな映像かつ広い世界を舞台にしたオープンワールドだからか、全体的に処理はやや重め。とはいえフレームレートは30前後を維持できていたため、このままでも問題なさそうではあった。TDPを初期の15から28に上げると40FPS前後まで上昇。反射表現など一部の設定を妥協すれば、状況にもよるが50前後は実現できる。どちらかと言うと処理負荷の高い本作を初期設定でもプレイできたのは、4KやWQHDではなく、フルHD画質を基本とした本機の強みが発揮されたといえるのかもしれない。

 

 

最後は、2019年に発売された「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」。プレイヤーは戦闘機のパイロットとなってさまざまな戦いに身を投じる、フライトシューティングゲーム「エースコンバット」シリーズの最新作だ。

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン:推奨環境

OS: Windows 7 / 8 / 8.1 / 10 (64-bit OS required)

プロセッサー: Intel Core i5-7500

メモリ: 8GB RAM

グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1060 (3GB)

 

今回取り上げたもののなかでは最も古いタイトルだったこともあるのか、フォトリアルなグラフィックでありながらプレイは終始快適。TDPが初期の15でもフレームレートは60前後で推移しており、積乱雲や落雷といった、本作の特徴であるリアルな気候のなかを飛び回っても問題ない。

 

 

TDPを28まで引き上げると、フレームレートは80前後で推移、状況によっては120以上にまで達した。ほかのタイトルにもいえることだが、メインスクリーンのリフレッシュレートである120Hzを活かすには、TDPや処理負荷の重い設定の変更が重要になりそうだ。

 

フルHD画質のため、より高画質を追求したほかのポータブルゲーミングPCには後れを取る。しかし、本体の画面は7インチと3.5インチのためそもそもサイズが小さく、さらにIPS方式の採用をはじめとする各仕様のおかげで粗もなく、むしろ美麗なグラフィックでゲームが楽しめる。折り畳み式なので収納性にすぐれ、携帯機としての利点が強く出ているのもポイントだ。場所を問わずPC版大型タイトルを遊びたい、そんな人にはとくにオススメできる一作だ。

 

AYANEO FLIP DSの主要スペック

OS

Windows 11 Home

プロセッサー

Ryzen 7 8840U

グラフィックス   AMD Radeon 780M
メモリー   32GB/64GB(両方ともLPDDR5X)
 ストレージ  2TB M.2 2230 PCle 4.0 SSD
 ディスプレイ

・メインスクリーン:7インチ/1920×1080/IPSダイナミックスクリーン/フルアングルホバリング 最大180度/リフレッシュレート 120Hz/368PPI/400nit/sRGB色域120%/sRGB色域カバー率100%

・サブスクリーン:3.5インチ/960×640(画面比3:2)/IPSスクリーン

本体寸法 約180×102×29.8-37.5mm
本体重量

約650g

価格

・メモリー32GBモデル:193,600円(税込)

・メモリー64GBモデル:234,300円(税込)

夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。

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