【9/23発売!】VRという新世界に、アドベンチャーゲームの文法を融合させる「ディスクロニア: CA」! 岸上健人(MyDearest CEO)インタビュー&インプレッション

2022年09月20日 19:010
【9/23発売!】VRという新世界に、アドベンチャーゲームの文法を融合させる「ディスクロニア: CA」! 岸上健人(MyDearest CEO)インタビュー&インプレッション

「VRノンストップ捜査アクション」をうたうVRゲーム「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」(以下、ディスクロニア: CA)、そのMeta Quest 2(VR)版が2022年9月23日に発売される。

AIに管理され、犯罪が起こり得ない楽園都市「アストラム・クローズ」で、突如として殺人事件が発生した。プレイヤーは、“過去を書き換える”能力を持つ特別監察官「ハル」となり、夢と現実の捜査フィールドを行き来して真相を探っていく。

2022年9月15日から配信された体験版では、ステルスパートとアドベンチャーパートの一部をプレイすることが可能だ。

 

 

ステルスパートでは、ハルと行動をともにするナビゲーターロボット「リリィ」のアドバイスを受けつつ、警備ロボットの監視をかいくぐって進む。VR空間だけに臨場感は抜群で、警備ロボットのそばを通り抜ける際などは思わず身がすくんでしまうほどだ。

アドベンチャーパートでは、いい意味で懐かしいアドベンチャーゲームのテイストを味わえる。複数の部屋を巡りつつ、そのあちこちに用意された仕掛けを解いていくのだが、VRゲームらしく自分自身の目と手を使わなければならないのが印象的。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を被った頭を巡らせて部屋を調べ、コントローラーを持った手を伸ばすことにより、重要なアイテムを手に取ったり、使用すべき場所に置いたりする。没入感が強く感じられ、アドベンチャーゲームとVRの意外な相性のよさに驚かされることしきりだった。

 

 

そんな「ディスクロニア: CA」を制作したのは、VRゲームに日本アニメのテイストを導入した「東京クロノス」「ALTDEUS: Beyond Chronos」で知られるMyDearest。そのCEOである岸上健人氏に、本作の見所や狙いについて聞いてみた。

 

 



VRという新世界に、アドベンチャーゲームの文法を融合させる。「ディスクロニア: CA」インタビュー

 

――よろしくお願いします。まずは「ディスクロニア: CA」という作品について、概要を教えてください。

 

岸上 SF世界で、JRPG的なルックスのキャラクターが活躍するミステリアドベンチャーですね。過去作「東京クロノス」は2018年の渋谷を舞台としたビジュアルノベル的な側面の強いスタイルでした。「ディスクロニア: CA」はVR空間で謎解きあり、ステルスありといった、よりVRゲーム的な内容になっています。

 

――実際にプレイさせていただきましたが、VRとアドベンチャーゲームの相性がいいのに驚きました。「MYST」(※)を遊んでいるような感じがあり、印象深い作品だと感じられましたね。VR+アドベンチャーゲームという組み合わせもちょっと珍しいですが、しかもアニメルックでSFストーリーとなるとほかにあまりないのではないでしょうか。

※「MYST」:1993年から展開されているパズルアドベンチャー。美しく静的な世界を舞台に、さまざまな謎を解いていく

 

岸上 実は、「手を使って遊ぶ」という点において、パズルアドベンチャーとVRって相性もいいんです。こうした組み合わせって、ほかにはあまりないんじゃないでしょうか。VRにアクションゲームは多いですが、ストーリーものはほとんどありませんし、オンリーワンを目指していきました。VRゲームはアメリカから出てくることが多いんですが、僕らはせっかく日本からゲームを作るのだから、日本が得意とするところで勝負しようと思ったんです。実際、海外のショーケースに「ディスクロニア: CA」を出展した際も、VRゲームかつミステリアドベンチャーという作りが評価されています。

 

 

――SF世界の不思議なアイテムを手に取って、いろいろな角度から見回せるのも楽しかったです。

 

岸上 「自分は今SF世界にいるんだ」というプレゼンス(実在感)を感じられますからね。

 

――VRゲームというと「VR酔い」(※)が心配になる人もいると思います。このあたり「ディスクロニア: CA」では、どんな対策を?

※「VR酔い」:乗り物酔いと同質の現象。VR空間で移動しているのに、現実の身体は静止している……というように、視覚と体感の差が大きいと発生する。慣れや酔い止めの薬が有効とされる。

 

岸上 「ディスクロニア: CA」ではゲームデザインレベルで対策をしていて、「通常の3Dゲームのような移動」と「行きたいところを指定すると、瞬時にテレポートする移動」の2種類を選ぶことができます。VRに慣れていない方は、後者を選んでいただければVR酔いも起こりにくいんじゃないでしょうか。また、通常移動自体も動きはゆっくりしていますし、アドベンチャーというジャンルは自分のペースでのんびり遊べるものですから。

 

――世界観的にも「東京クロノス」との繋がりがあるそうですが、シリーズが初めての人も楽しめるのでしょうか?

 

岸上 「東京クロノス」は背景世界が同じというだけで、直接の繋がりはありません。なので「ディスクロニア: CA」から遊んでいただいても全く問題ありません。

 

 

――物語のボリュームはどれ位になるのでしょう?

 

岸上 「ディスクロニア」シリーズは3部作になっています。本作を終えた後に2本プレイしていただくので、衝撃的な長さになりますよ。過去のVRゲームと比較しても、一番長いんじゃないでしょうか。「ディスクロニア: CA」単体でいうと、本筋のみをスムーズにプレイして5時間くらいかかります……といいつつ、テストプレイの際には5時間程度では終わらなかったんですが(笑)。もちろん寄り道や探索も用意されていて、物語やキャラクターの人となりをより深く理解することも可能ですから、そうしたところまで丹念に遊ぶなら2~3倍かかるんじゃないでしょうか。

 

――VRゲームで最短5時間というのもかなり長いですよね。

 

岸上 舞台となる楽園都市「アストラム・クローズ」は、「せっかくVR空間に入ったんだから、ずっといたくなる場所にしたい」ということで設計していきました。いろいろな場所に移動できますし、VRゲームの特性として自分が移動している体感も強いものになりますから、探索も楽しんでみてください。この世界に関する知識も、プレイヤーさんに押しつけることなく、「アストラム・クローズ」の住人たちの会話を聞いて自然と理解できるようにしていますし。

 

――なるほど。そのほかのアピールポイントはありますか?

 

岸上 わかりやすいところでいうとグラフィックでしょうか。VRゲームの中でも上位の美しさになっていると思います。また「ゲームでしか描けない物語を描きたい」「物語性がVRゲームと一致したものを作りたい」というところがあります。物語好き、ゲーム好きの両方に楽しんでいただけるでしょうし、最終章のEpisode3を終えた時には「これは、ゲームだからこそ描けた物語だ」と感じていただけると思います。

 


――「犯罪が起こり得ない未来都市」「過去に干渉できる主人公」という設定に、いい意味で古典SFの香りが感じられました。それでいてキャラクターたちのルックスやVRゲームという仕組み自体が現代的でした。

 

岸上 世界観はディレクターの末岡青が考えたんですが、彼女はSFとJRPGとミステリが大好きなので、「ディスクロニア: CA」のような作品ができあがったわけです。ただ、物語のテーマ自体は普遍的なものなので、ゴリゴリのSFマニアでなくても楽しんでいただけると思います。

 

――では、結構高めの年齢層の人が遊んでも大丈夫なのでしょうか?

 

岸上 そうですね。若い方はもちろん、高めの年齢層の方も楽しんでいただけます。キャラクターに老人が出てきたりもして、過去作よりもちょっと大人びた感じですなので、先ほど例にあがった「MYST」のようなゲームが好きな、骨太なゲーマーの方にもオススメできますね。また、ほかのVRゲームとはちょっと違ったものを求めている方、VRゲームに少し慣れた方こそ遊んでみてほしいですね。アドベンチャーゲームの文法はまだVRゲームに持ち込まれていませんし、そうした意味でも新鮮な体験になると思います。ゲーム中には、「審問パート」というモードがありますが、こちらもVRらしいものです。普通の裁判だと原告と被告が論を戦わせるだけですが、「審問パート」ではVRゲームとして、プレイヤーさん自身が犯行現場を再現するんです。

 

 

――犯行現場を再現する、というのは状況を説明するということでしょうか?

 

岸上 いえ、「犯人は現場でこのように行動した」とプレイヤー自身で実演します。例えば殺人事件なら、被害者を鉄棒で殴ったりするわけです。

 

――犯人になっての事件の実演ですか。確かに、それはVRゲームならではの体験ですね。仮想空間とはいえ、罪とわかっていて犯すのですから、精神的なインパクトもすごそうです。

 

岸上 皆さんが「裁判のゲーム」と聞いて想像されるものとはまったく違いますし、私は革命的なシステムだと思っています。捜査で得た情報や証拠品を元に行動するため、アドベンチャーゲームとしての推理や情報収集も大切になってきますし。

 

――本作ではキャラクターたちがVR空間に登場し、プレイヤーと会話をします。制作にあたって、これまでのビジュアルノベルスタイルとの違いはありますか?

 

岸上 キャラクターと自分で「目が合う」ところですね。ほかの媒体では絶対に実現できないことですし、僕がVRゲームで一番好きなところです。本作ではキャラクターが「視線を落とす」「見上げてくる」といった芝居をするので、内に秘めた感情がダイレクトに伝わってきます。そうした中、会話シーンで「この人、どんなこと考えてるんだろう……」と思いつつ選択肢を選ぶ。VR空間にいること、「目が合う」ことでコミュニケーションとしての密度が濃く、感情も伝わりやすいわけで、キャラクターの皆に感情移入していただけるんじゃないでしょうか。また、ナビゲーターロボットのリリィは常にプレイヤーさんのそばにいて、なでてあげることもできますので、愛着も半端じゃないと思いますね。

 

 

――非・VRゲームよりも、濃密な感情移入をしやすいと。作り方の違いなどはあるのでしょうか?

 

岸上 非・VRゲームのような大げさな芝居だと、VRゲームではちょっと違和感が生じることもあります。そのため、開発の際は、できるだけ自然な動きを心がけていたりもします。これはほかのVRゲームとの違いですが、本作ではキャラクターの数が多いですね。普通ならコストや、制作にともなう負荷の問題でこういうことはやらないんですけど、そこはMyDearestの狂気であり生存戦略でもあるということで、「やるしかない!」でやり切っています(笑)。

 

――確かにVRゲームといえば、プレイヤーとキャラクターが1対1でやりとりするものが多いのですが、そうでないあたりも生存戦略ということなのでしょうか。

 

岸上 そうです。我々が作ったVRゲームは「ディスクロニア: CA」で3作目ですけど、たくさんのキャラクターが出るというのは他社さんがまだやっていないことですから。いろいろなキャラクターたちがからみ合うことで関係性も見えてきますし、だからこそ描ける物語もあります。主人公のハルはメモリーダイブという過去の記憶を見る能力を持っていますが、そこで皆の思いが見えてくるんです。視点を切り替えながら物語を見ていく、ザッピングシステムのようなものですね。ただ、開発からは悲鳴が上がりましたね(笑)。

 

 

――キャラクターたちの関係性と、過去から見えてくる思いですか。SFというと理詰めのイメージがありますが、情感に訴える物語にもなりそうですね。

 

岸上 プレイヤーの性別に関係なく楽しんでいただける物語ではあると思います。特に男性向け、女性向けと限定することなく作っていますから。格好いいキャラクターがいれば、かわいいキャラクターもいますから、女性ユーザーさんにも刺さるんじゃないかと。我々は「ディスクロニア: CA」を、VRデバイスを買って初めて遊ぶ作品にしたいんです。ゲームとして難しいわけではないですし、アドベンチャーでありつつステルス的な要素もあったりします。また、探索するにしても、自分の視点から世界を見ると思い入れが半端じゃないですから。

 

――今後のVRゲームはどのようになるとお考えですか?

 

岸上 日本と海外で温度差がありますね。海外では「Meta Quest 2」だけでも1500万台出荷されている状態ですから、家庭用ゲーム機並みの規模はあるんです。小中学生も普通に買っているそうで、友達と遊ぶマルチプレイのゲームが必要とされ始めている状態だと認識しています。また、HMDの軽量化やユーザーさんのVRゲーム慣れがあり、VRゲーム自体のプレイ時間も長くなっている状態です。ここで何が起こるかというと物語的要素の重視です。我々はそうした潮流の最先端にいるメーカーではあります。

 

オフィスの風景。大量のSF小説や資料が本棚に並ぶ 

 

開発スタッフたち。Meta Quest2を装着してテストプレイしている 

――友達という地域のコミュニティの充実化、マルチプレイ需要、プレイ時間の長期化と物語性の重視。これまでの家庭用ゲーム機が辿ってきた歴史を早回しで進んでいるような感じですね。

 

岸上 そうですね。VRゲームはファミコンにおける「ドラクエ・FF前夜」の状態にあると思います。

 

――確かに「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」以降は、ファミコンソフトの性質が変化したと思います。短時間のアクションゲームが主流だったところに、長く遊ぶRPGが流行。プレイ時間が長くなるとともに、シミュレーションやアドベンチャーといった思考や物語が重視されるジャンルも作られるようになり、市場はさらに多様なものになっていった。そうした変化がVRゲームにも訪れるのかもしれませんね。では最後に、VR機器を持っていない方に向けてメッセージをお願いできますか?

 

岸上 「ディスクロニア: CA」はアドベンチャーゲームにJRPGの文法が持ち込まれたゲームです。日本人がVRゲームに求めるのはこういう体験じゃないか……というくらいに、日本人が好きな要素が全て詰まっているゲームになっていますので、VR機器を持っていない方も友達から借りるなりして遊んでみてください。VRゲームは黎明期の面白さがあり、新しいものがどんどん作られている状態です。そうした意味でも、VRゲームを体感していただく最初の1本として「ディスクロニア: CA」を遊んでみてください。

 

――ありがとうございました。



(取材・文/箭本進一)

【ゲーム情報】

■DYSCHRONIA: Chronos Alternate 


・発売日:Oculus Quest 2版(VR)第1章 2022年9月23日発売/第2章 2022年冬以降/第3章 2023年春以降

     Nintendo Switch™版(Non-VR) フルエピソード 2023年春以降
・ジャンル:VRノンストップ捜査アクション / シネマチック捜査アドベンチャー
・プレイ人数:1人
・価格:2,208円
・対応言語:日本語 / 英語 / 繁体字 / 簡体字 / 韓国語 / フランス語 / スペイン語
・音声:日本語 / 英語
・対応ハード:Oculus Quest 2(VR) / Nintendo Switch™(Non-VR)
※他デバイス/プラットフォームに関しては追ってお知らせいたします
・開発:MyDearest株式会社(MyDearest Inc.) / 株式会社イザナギゲームズ(IzanagiGames, Inc.)

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