ライター 箭本 進一さんの評価レビュー

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原作リスペクトに溢れたアニメ化

観賞手段:テレビ、BD
連載36年、9部を数える大河シリーズ「ジョジョの奇妙な冒険」。それぞれの部が関係するだけに、最も良いのは最初からアニメ化することだが、それでは長すぎる。そんな「ジョジョ」を第1部からしっかりアニメ化してくれるという長期計画のスタートが本作。物語の流れはもちろんのこと、原作者・荒木飛呂彦氏が得意とする独特の台詞回しやポーズも変えることのない、リスペクトに満ちたアニメ化だ。
初代主人公ジョナサンにとって安らぎの場所である自宅に、害意を持った少年ディオが養子として侵略してくる第1部冒頭は、ある意味で究極のホラー。そんなジョナサンが高潔な青年となって戦う様は、ジャンプ漫画的であると同時に成長物語の王道だ。そして、2代目主人公・ジョセフが、強力な力を持つ柱の男たちと戦うのが第2部。普通の人間では絶対に勝てない柱の男たちとの対決は危機また危機の連続。ジョセフが様々な奇策や心理的揺さぶりを使って勝利の糸をたぐり寄せる様はスリル満点で、クリフハンガー的な面白さがある。
ツボを押さえたアニメ化を飾るのは、神風動画によるオープニング。中でも第1部のオープニングは、第6部までの内容を踏まえて「ジョジョ」を大河ロマンとして解釈したもの。映像の1コマ1コマに原作愛が込められた、濃密過ぎる1分30秒だ。また「当たり前の人間が勇気を振り絞って戦う人間賛歌」「呼吸で特殊な力を得る」「敵となるのは、人間から変質した、日光に弱い存在」といった部分は、同じジャンプ漫画である「鬼滅の刃」に大きな影響を与えているのも興味深い。
「ジョジョ」は第1部からずっと見ていくことで面白さが増す作品で、第1部からのアニメ化は配信が一般的になった現代とも相性がいい。ファン層の拡大をリスペクトに満ちた本作が下支えしている部分も少なくないのではないだろうか。
プロレビュアー
ライター 箭本 進一
ライター 箭本 進一
ストーリー
5.0
作画
4.5
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
4.5
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2023-07-31 19:17:29

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