あにわんさんの評価レビュー

　いまのアニメに出てくる動物は大抵の場合、ろくでもない作画になる。フランダースの犬、家なき子、あらいぐまラスカルなど、昔から動物が主人高級の活躍をする作品は少なくない。犬にいたっては人間の次に出てくる機会が多いのではないかというぐらいだ。ただ、過去の作品が、生物としての犬や猿やアライグマなどのディティールを緻密に調べ上げ、その上でキャラクターとして再デザインされていたのに対し、現在のアニメは登場する動物の写真を見て模写すらもしていないのではないかという低クオリティぶりだ。
　そんな現状の中、無謀にも犬を主人公に据えたラノベ原作アニメが登場した。案の定、犬の描写はダメダメである。明らかに犬を知っている原画の人がいて、犬の毛並みから歯並びまで見事にアニメキャラに昇華させているカットも存在したが、それはごく一部である。
　原画や動画も含めて海外発注が主体となり、コストと納期最優先で質的フィードバックが疎かになっているプロダクションが多数を占める現状では致し方ない面もある。だが、それで良いのだろうか？　
　ストーリーについてはポジティブに語るべき所もない。原作物だけに1クールで結末を付けろとは言わない。この作品は全てが投げっぱなしなのだ。こういうのは作品とは言わない。エヴァンゲリオンも同様に投げっぱなしな作品であるが、かの作品では投げるその課程自体がとても面白く、視聴者を引きつけるのである。
　本作にそんな魅力はあったのか？　悲しいかな自分には見つけられなかった。