【本日発売】強烈なカウンター技「化勁」を駆使した攻防戦が熱い! 三国志を題材にした高難度アクションゲーム「Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)」をレビュー

2023年03月03日 12:000

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2023年3月3日に、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Xbox Game Pass/Steam®/Microsoft Store向けタイトル「Wo Long: Fallen Dynasty」(以下、ウォーロン)がコーエーテクモゲームスより発売された。本作は三国志をテーマにしたダークファンタジーのアクションゲームであり、プレイヤーは義勇兵として、乱世を太平に導くための戦いに身を投じる。

 

本稿では、本作のSteam版のレビューをお届け。世界観や物語を始め、本作の核ともなるバトルから初心者向けのシステムまで、さまざまな要素を解説していく。

後漢末期の中国を描いたダークファンタジー



本作の舞台となるのは西暦184年、後漢末期の中国。異形の存在である「妖魔」と頻発する戦乱の影響によって、長く繁栄してきた漢王朝は滅びつつあった。張角の率いる太平道による「黄巾の乱」が激化する中、主人公は義勇兵として黄巾党討伐に向かった先で謎の少年に出くわす。主人公は少年の助力を得て、三国乱世を駆け抜けていく、というのがあらすじだ。



「三国志」を題材にしていることもあり、本作では魏や呉、蜀といった各国を代表する英雄たちが多数登場する。曹操や孫堅、劉備を始め、関羽に孫権、夏侯惇など、そのバリエーションは豊富。プレイヤー=主人公という構図もあって、疑似的とはいえ三国志の英雄たちと同じ世界を共有できることによる没入感は高い。作中では彼らとともに戦うこともできるのだが、そちらは後ほど説明しよう。


 

史実を元にしたキャラクターたちがいるいっぽうで、本作には妖魔というオリジナルの敵が存在しており、描かれる物語にはファンタジー要素が色濃く出ている。三国志を題材にしたダークファンタジーということで、単に史実を知っているだけではわからない展開が随所に盛り込まれているのもおもしろい。コーエーテクモゲームスと言えば、まさに三国志をベースにした「真・三國無双」シリーズを手がけているため、同シリーズを遊んだことのある人からすると、「ウォーロン」で描かれる三国志のアレンジ具合も含めて物語を楽しめるかもしれない。



妖魔にもさまざまな種類がある


登場人物を含めた用語集も充実。本作の背景にある設定などは、これでいつでも確認可能だ



一瞬の油断が命取りになる緊張感



主人公が乱世を駆け抜ける物語と並行して、プレイヤーはさまざまなステージを攻略する。本作のステージは基本的に1本道で、目的地にいるボスを倒せばクリアとなるが、その道のりには多くの分かれ道があり、部屋の片隅やプレイヤーの死角になりそうな場所などに、アイテムが巧妙に隠されている。


探索要素が充実しているため、強敵のいる先には何があるのか、牢屋の中にある宝箱はどうやって取ればいいのかなど、謎が気になってステージひとつに時間をかけて調べることも多かった。各ステージを念入りに探索するとなれば、それだけでもかなりのボリュームで遊び応えがある。

 


とはいえ、本作は大量の敵を相手に無双するようなスタイルとは真逆の作風になっており、思うようには進めない。基本的に敵の攻撃力は高く、ひとりで複数の敵を正面から相手取ればまず死んでしまう。また、物陰に潜んでいる敵から奇襲されてあっという間にやられることもある。力押しの戦法は、「ウォーロン」では通用しないと考えたほうがいいだろう。


そのため、なるべくこちらに有利な戦法が重要になる。敵が2人以上いるなら片方を誘き出したり、高所を生かして弓矢で一方的に攻撃したりするなど、どう動くかはプレイヤーによってさまざまだろうが、とにかく力押しは避けて死なないようにしたい。
というのも、本作ではプレイヤーが死亡すると2つのデメリットが発生する。ひとつはレベルアップアイテムである「仙氣」(主に敵から倒して手に入れる)の半減。復活後、自分を倒した敵を撃破すれば失った分は取り戻せるが、その前にこちらが再び倒されると完全に消失してしまう。

 


2つ目は、「士気ランク」の低下。士気ランクとはプレイヤーにかかる強化効果のようなもので、攻撃力や防御力などを含めた戦闘力自体に影響する。これが高いほどプレイヤーは強くなるし、逆に低いと下がった分だけ弱体化する。仙氣と同様、こちらも基本的に敵を倒してコツコツ上げるものなので、何度も死んでしまうと、せっかくためてきた分がことごとく無駄になる。仙氣の半減と士気ランクの低下はプレイヤーの攻略を大きく妨げるので、それを防ぐためにも慎重な立ち回りが欠かせない。


なにかと死ぬことの多い本作で、プレイヤーの支えとなるのが「軍旗」と「標旗」。軍旗はいわゆるチェックポイントのような存在で、ステージに複数存在している。調べると体力が回復し、それまでに消費した回復アイテムも補充。さらにレベルアップや装備品の売買もできるほか、最後に触れた軍旗はゲームオーバーになったプレイヤーの復活地点にもなる。特に重要なのは、軍旗や標旗を初めて使うと「不屈ランク」が上がることだ。


不屈ランクは士気ランクの下限を示している。たとえばプレイヤーが死亡しても不屈ランクが10であれば、士気ランクは9より下には下がらない。つまり高めてきたランクを守ることができる。

 

標旗は軍旗の簡易版のようなもので、士気ランクと不屈ランクのみを上げられる


士気ランクはこちらだけでなく敵にも適応されるのがおもしろい。言ってしまえば自分より士気ランクの高い敵は相応に強いので、こちらから仕掛けるかどうかの目安になる。筆者の感覚だと、士気ランクがこちらより1~3ほど高い敵までならどうにかなるだろう。


いっぽうで、士気ランクが5以上離れている敵が相手では返り討ちにされる可能性が高い。諦めるのが無難だが、正面から戦うのが無理なら不意打ちを狙ってもいいし、周囲のザコ敵を倒して1対1の状況を作り出してもいい。やり方によっては勝てるかもしれない。強さをランクで示すのはシンプルでよくある手法だが、いわゆる「死にゲー」である本作ではそのおかげで無駄死にを防げるだけでなく、戦術を考えるきっかけにもなるのがありがたかった。

 


とはいえ、仙氣の半減や士気ランクの低下といったデメリットがあっても、プレイヤーが何度でも復活できる点は大きな強みと言える。仙氣を使い切った後や、ステージ開始直後で士気ランクが低い段階など、こちらが受けるデメリットをなるべく抑えた状況を整えておき、ひとまず玉砕覚悟で強敵に挑んでみるのも手だ。本作では誰しも遅かれ早かれ死にまくることになるので、むしろ早いうちに返り討ちに遭い、死にゲーに不可欠な試行錯誤に慣れておくのもいいかもしれない。



「氣勢」と「化勁」を使った、敵との激しい攻防戦



「ウォーロン」で印象的なのが、「氣勢」と「化勁(かけい)」を用いた攻防戦だ。この2つが本作のバトルの根幹を成していると言っていい。


氣勢とは「仙術」をはじめとする各種行動に必要なエネルギーで、基本的に通常攻撃をくり出すほど増えていき、防御や回避を行うたびに減っていく。攻めれば増え、守れば減るという感覚だ。氣勢が下限になると敵味方を問わず体勢が大きく崩れ、一定時間無防備になってしまう。体勢を崩した敵に対しては、プレイヤーは「絶脈」という強力な技を使って大ダメージを与えることが可能だ。



化勁はカウンターのような技で、敵の攻撃を受ける直前に使うとその攻撃を受け流せるほか、相手の氣勢を削り、同時に自分の氣勢を増やすことができる。氣勢の管理が重要な本作では、防御手段は化勁を中心に、ピンチのときの対応策としてガードや回避を使うという戦い方が個人的にしっくりきた。ただし、化勁は攻撃を受け止める技ではないので、タイミングを誤れば敵の攻撃をそのまま受けてしまう、ハイリスク・ハイリターンな技と言える。


防具には重量の概念があり、防具の重さが100%を超えると化勁自体ができなくなる。化勁を封じられるのは致命的なので、防具の重さは必ず100%以下に抑えたい



慣れてくると、強敵の攻撃を化勁ですべて受け流せるようになる。相手の挙動を見切っているという優越感に浸れるのもよいが、通常攻撃で果敢に攻め、敵の攻撃を化勁で受け流したら再び攻めていき、やがて相手の氣勢を削り切って絶脈で決めるというスピード感がたまらない。


通常攻撃と化勁を決めるほどこちらの氣勢は増えるので、武器ごとに備わっている専用技の「武技」や、魔法のような超常的な力を用いる仙術といった、使う際に氣勢が必要な攻撃もどんどん織り交ぜられるようになる。攻めが高じて新たな攻めにつながっていき、結果的にプレイヤーの取れる戦術も増えていくために、「ウォーロン」の戦いはただ攻めにあるといっても過言ではないだろう。バトル自体が楽しいゲームなので、個人的にはひたすら敵と戦えるようなコンテンツがあるとうれしい。



死にゲーとも言える難しさだが、初心者向けの要素も多い



攻撃力の高い敵や激しい攻防戦など、本作にはプレイヤーの心をくじいてくるような要素が多いが、同時に初心者向けの計らいも多く存在する。 まずあげられるのは士気ランクだ。すでに書いたように、士気ランクが高いほどプレイヤーの攻撃力や防御力は強化される。つまり士気ランク次第では、敵の攻撃にかまわず戦うという力押しも可能なのだ。ランクの差が具体的にどれほど影響するかはわからないが、筆者の経験では自分より士気ランクが3~5ほど低いボスと戦ったところ、明らかにこちらが与えるダメージ量は増えており、逆に相手から受けるダメージは減った。



とはいえ、士気ランクを大きく上げるには軍旗や標旗だけでは足りず、どうしても周囲の敵を倒さなくてはならない。やや効率は悪いので、ステージ攻略というよりは苦戦しているボス戦向けの対策だろう。


2つめは同行者の存在だ。本作のメインストーリーに絡むステージでは、物語に登場するNPCたちがプレイヤーとともに戦ってくれる。同行できるNPCは最大2人まで、体力がゼロになると行動不能になるが、プレイヤーが近づいて助ければ何回でも復帰可能。行動不能から一定時間が経過したNPCはその場から離脱してしまうが、軍旗を使えば復活してくれる。


仲間がいるとバトルの難易度はグッと下がる。人数差で不利になりにくくなるだけでなく、敵の狙いが分散するので、プレイヤーとしては回復したり武器を切り替えたりと、体勢を整えやすくなる。NPC自体は攻撃力も十分で、プレイヤーにひけを取らない活躍をしてくれるし、さらに士気ランクも適用されるためにランクに応じて戦闘力も強化される。ザコ戦だけでなく、ボスとの戦いでも頼れる存在だ。



3つめにあげるのは、挑戦するステージがいつでも変更できるという点。本作ではステージごとに用意された戦場を攻略していくわけだが、軍旗の「移動」という項目を利用すれば自由にステージを切り替えられる。何度やっても倒せないボスがいるのなら、攻略中のステージを離脱して簡単な戦場に行き、満足のいくまでレベル上げや武器集めをしてもいいし、あるいは気分転換に「副戦場」というサブイベント的な要素に挑むのもいいだろう。


 

以前に挑んでいたステージに戻った場合、最後に使った軍旗の場所から再開できる。初期地点から攻略し直すという手間が省かれており、ステージをまたいで寄り道をする際は重宝した。


三国志×ダークファンタジーという独特の世界観を舞台に、「ウォーロン」では史実を元にしたオリジナルの物語や、攻めを重視した激しいバトル、1本道ながら寄り道要素の多いステージ探索が楽しめる。高難度であるのは間違いないが、初心者向けの配慮もなされており、腕に自信のあるゲーマーにはもちろん、死にゲー初心者にもオススメできる1作だ。

(文・夏無内好)

  • 【タイトル情報】
  • ■「Wo Long: Fallen Dynasty」
  • (ウォーロン フォールン ダイナスティ)
  • ジャンル:ダーク三國アクションRPG
  • 対応機種:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Xbox Game Pass/Steam/Microsoft Store
  • 発売日:2023年3月3日 ※世界同時発売
  • 価格:8,580円
  • CERO:D(17歳以上対象)


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