スクウェア・エニックスが送る完全新作「ダンジョンエンカウンターズ」先行プレイレポート!シンプルさをとことん追究した、純粋なダンジョン探索RPG!

2021年10月01日 19:470

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2021年10月1日に配信された「SQUARE ENIX PRESENTS TGS2021」にて、スクウェア・エニックスが開発している完全新作RPG「ダンジョンエンカウンターズ」についての発表が行われた。


今回は本作をいち早く遊ぶ機会を得たので、そのプレイインプレッションをお届けしよう。



数字と線で表現されるシンプルな世界



ゲームに基本あるはずの多くの要素が、本作にはない。明確な物語はなく、激しいアクションもない。美しいグラフィックで街並みや自然が描かれているわけでもない。「ダンジョンエンカウンターズ」の目的は、線で区切られたすごろくのようなダンジョンをひたすら進み、最下層である100階を目指すこと。ゲームシステムそのもののおもしろさを追究して作られた本作は、不要な部分が極限までそがれている。演出も表現も求めない、純粋な「ゲーム」部分を楽しみたい人向けの作品というわけだ。



武器屋や防具屋のほか、冒険に連れていくためのメンバーが集う「アカデミー」といった施設などが本作には存在するのだが、これらは「イベント」という枠組みに分類される。すべて16進数(0~9に加えてA~Fを使って数値を表現する方法)で表現されており、作中の基準になぞらえると、武器屋であれば「14」番、防具屋であれば「17」番となる。さらに、固有の能力を持つ「アビリティ」は、手に入れてもその場では使えず、「03」番の「アビリティ変更所」に行くことで初めて付け替えができる。



ふつう、ゲームであればアビリティの取得と付け替えはセットで使えて当たり前だが、本作ではそうした機能を、プレイヤーが探して自分で呼び出す。このアビリティの付け替えや16進数といった要素からは、要素というよりプログラムという印象を受けた。製品版として形になる前の、その元となる英数字の列に触れているというべきだろうか。後述するが、システム自体はゲームでおなじみのものではある。ただ、それを表現する方法があまりに独特で、筆者にとっても未知の体験だった。




バトルも探索もプレイヤー次第のダンジョン攻略



先ほど「すごろく」と表現したように、本作のダンジョンはマス目上の床で区切られている。プレイヤーは床を移動し、「02」番の階段を使ってどんどん下へ降りていく。逆に上に行きたいときは「01」番の床を調べればいい。数字には白と黒があり、階段や施設といった基本プレイヤーに有利な要素は白で、敵とのバトルを示すものは黒で表示される。なお、バトルに関わる番号を可視化するには、アビリティ「バトル番号表示」が必須となる。

 

数字が高いほど敵も強くなる。本作は16進数を用いているので、10進数でいう10は「0A」、20なら「14」といった具合だ。つまり、16進数を覚えておかないと、バトルで痛い目を見る。16進数で表されている数字を10進数と間違えて、床を踏んだら強敵と遭遇したなんて事態もありえる。



今回の試遊では時間制限があったため、バトルと探索のバランスを考えて遊んだのだが、ほかのプレイヤーはほとんど戦うこともなく、試遊で設定された目的の10階まで到着していた。筆者が探索だけでなくバトルもこなしたのは、途中で起こりうる強制戦闘に備える面もあったのだが、けっきょくなにも起こらなかった。ひょっとすると、まったく戦闘をせずとも最下層まで行くことができるのかもしれない。



詳しいことはバトルの項目で説明するが、本作の戦闘は一撃死が標準といってもいいくらいにシビア。一手が生死を分かつので、黒い数字を踏むかどうかは慎重に決めなくてはならない。ただ、通路が黒い数字の床で塞がれていても、別のルートを通れば突破できるという状況がほとんどだった。さらにアビリティの「仮想階段下り」を使うと、自身の現在地の下のフロアに床があれば瞬時に降りることができる。


施設や階段の場所は、階層と座標(x軸とy軸)で表される


それだけでなく、本作では階層を踏破し、踏んだ床の数に応じて「アビリティポイント」が手に入る。アビリティポイントはアビリティを装備する際に必須となる。バトルを避けて遠回りしても、そのポイントが引き換えに手に入るのだ。探索をしていればそれだけ白い数字のマスを発見しやすいというメリットもある。とくに「05」番の「戦闘不能回復」や「06」番の「HP回復」は攻略の生命線なので、敵と戦う前には必ず見つけておきたい。


一撃が形勢を左右するテンポのいいバトルシステム



「ダンジョンエンカウンターズ」では、バトルシステムとして「ファイナルファンタジー」シリーズではおなじみの「アクティブ・タイム・バトル」を採用している。「速度」の数値に基づいて敵味方の行動頻度が変化するという仕組みで、ターン制がベースにありながらリアルタイムの攻防が楽しめる。


戦闘中は、敵味方の上部にある青いゲージがリアルタイムで増えていく。ゲージが満タンになったキャラクターから行動することができる


本作ではそのアクティブ・タイム・バトルに磨きがかかっており、新たに「防」と「魔防」が追加された。両方ともシールドのようなもので、防は物理攻撃を、魔防は魔法攻撃を数値の分だけ肩代わりしてくれる。数値がゼロになったほうの属性で攻撃されると対象のHPが減少、ゼロになると戦闘不能になってしまう。これは敵に対しても同じことが言える。

このシールドがバトルの戦略性を大きく高めている。敵味方が受けるダメージを単に肩代わりするだけでなく、耐久値を越えたダメージ分も含めて無効化することが可能。シールドが1でもあれば、一度きりとはいえ1000のダメージも防ぎきれるのだ。本作は敵も味方も基本的に攻撃力が高く、直接攻撃を受けるとだいたい即死するので、このシールドをいかに使いこなすかが重要となる。


防と魔防は戦闘が終わるごとに最大まで回復する


シールドの仕様は、味方を守るための有用な手段だろう。一方、敵を倒す際には必ず破壊しなくてはならない障害でもある。仮にシールドを一撃で破壊できなかった場合、対象を倒すために必要な行動回数が1回増える。本作では一撃死が普通に起こりうるので、自身の攻撃力と相手のシールドの耐久値を読み違えた結果、1回多く行動する機会を得た敵によって味方がことごとく倒され、そのまま全滅につながるかもしれない。

シビアな難易度ではあるが、要はいかに少ない行動回数で敵を倒せるか考えればいい。バトルシステムは、順番が回ってきたら行動するというとてもシンプルな構造になっているので、今回の1時間弱の試遊でも充分に活用することができた。シビアであるおかげでバトルのスピード感もよく、ほとんどは十秒~数十秒程度で終わらせられるため探索のテンポもよい。ちなみに、アクティブ・タイム・バトルは設定で「ウェイト」モードにも切り替えられる。このあいだは時間の流れが止まるのでじっくり作戦を練ることも可能だ。



バトルのテンポの良さは、装備品の性能も大いに関わっている。今回の試遊で初期から使えた「ブロードソード」は物理攻撃力が50あるのに対し、序盤の敵の体力は30や40くらい。防の耐久値もだいたい同じだった。ブロードソードより2段階ほど強い「バスタードソード」の物理攻撃力は180、魔法攻撃である「マリアル3」にいっては攻撃力が300もあり、10階の数字が大きい床にいる敵すら一撃だった。装備をいかに整えるかで、攻略の難易度も大きく変わる。



とはいえ、各装備にはコストがあるため無制限に付けられるわけではない。さきほど取り上げた武器のブロードソードなら3、バスタードソードなら7のコストがかかる。ほかにも防具やアクセサリーも含めた全装備のコストを、キャラクターごとに設定された「装備ポイント」に収まるようやりくりする必要がある。装備ポイントはレベルが上がるにつれて増えていくので、バトルを重視するならなるべく多くの敵と戦ったほうがいい。



記事の冒頭に載せたトレイラーの戦闘シーンを見ればわかるとおり、ダンジョン探索の後半になるとHPや防、魔防が5桁を越える。そうなると自身の攻撃力と相手のシールドの耐久値の計算にも時間がかかり、アクティブ・タイム・バトルによるリアルタイムの駆け引きが一層際立つことは想像に難くない。本作のシビアなバトルの神髄を堪能できるだろう。



初めてプレイ画面を見たときは簡潔ぶりに面食らったが、本作は中身がむき出しの未完成品というわけではない。すごろくのようなマス目以外、基本的には地面と文字と数字しかないが、パーティーメンバーに選べる老若男女の人物たちは容姿から衣服まで繊細に描かれているし、一手が勝敗を決めるバトルシステムや数字や座標を活用した演出など、本作を構成するわずかな要素はむしろ徹底的に作り込まれている。純粋にゲームを楽しみたい人やゲームに手軽さを求めている人、ストイックな作風が好きな人も、本作の簡潔さに満足できるはずだ。

 

 

  • 【作品情報】
  • ダンジョンエンカウンターズ
  • ジャンル:RPG
  • 対応機種:PlayStation4/Nintendo Switch /Steam
  • ※いずれもダウンロード版のみ
  • プレイ人数:1人
  • 価格:3,520円(税込)
  • 発売日:2021年10月14日(木)
  • ※Steam版は10月15日(金)
  • CERO:A(全年齢対象)


(C) 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: Ryoma Ito

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