ニンテンドーゲームキューブ発売20周年記念! ゲームキューブ発の名作タイトルをプレイバック!【後編】

2021年09月19日 15:000

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2021年9月14日で、ニンテンドーゲームキューブは発売で20周年を迎えた。世界累計販売台数は約2200万台と先代のNINTENDO 64の約3300万台を下回りはしたが、現在でもリメイクを望まれるタイトルが多く、手になじみやすいコントローラー、タイトル開発のしやすさというコンセプトなど、光る点は多々あった。今回は、前編に引き続き、残り4タイトルをお届けする。

ゲームキューブ発の名作タイトルをプレイバック【前編】

ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡



ジャンル:ロールプレイングシミュレーション
発売日:2005/4/20
メーカー:任天堂

(C) 2005 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS


「ファイアーエムブレム」シリーズ唯一のゲームキューブ作品。スマホアプリ「ファイアーエムブレム ヒーローズ」でもおなじみのアイクが初めて登場したタイトルでもある。

 

前作までの対応機種だった、ゲームボーイアドバンスから据え置き機へと移行したことで、フィールドや映像が3Dで表現され、ムービー限定ではあるがボイスも実装されるなど、新しい試みが多く見受けられた。

 

物語の舞台は、人間である「べオク」、半身半獣の「ラグズ」と呼ばれる2つの種族が暮らしているテリウス大陸。7つの国の均衡で成り立っていたこの世界で、軍事国家のデイン王国が突如クリミア王国に対して武力侵攻を図る。主人公のアイクが所属しているグレイル傭兵団は、陥落した王都から生き延びてきた王女エリンシアの頼みを受け、祖国解放のための長い戦いに臨む。

 

一度やられた仲間は復活しない「ロスト」というシステムの中、マス目上に区切られたフィールドを移動し、物理攻撃向き、魔法向きや防御向きなど、さまざまな能力を持つユニットたちを操作して戦うというシステムは、シリーズ第1作からの伝統と言える。

 

いっぽうで、「ファイアーエムブレム 風花雪月」をはじめとする近年の「ファイアーエムブレム」に見られる、メインシナリオの合間に別のマップに行って、ユニットのレベルを上げるといった要素は本作にはない。順にシナリオを攻略していくトラディショナルなスタイルのシミュレーションRPGであり、物語を進めつつ、いかに勝利と育成を両立させるかが重要だった。HP回復マスに配置されたボスを、倒してしまわない程度に攻撃を繰り返し、延々とレベル上げに勤しんだプレイヤーも多かっただろう。

 

ところで、マルスを始めとした「ファイアーエムブレム」シリーズの主人公は、なにかしらの名家や血統を持つキャラクターが多い中で、アイクは平民の生まれという点で異色だった。とはいえ、歴代主人公たちの中でも屈指のスペックの持ち主なのである。

 

強さのひとつにあげられるのは、彼の専用スキルである「天空」。相手に与えたダメージ分だけ自身のHPを回復する「太陽」と、相手の守備を半減させたうえで攻撃を行う「月光」の2段攻撃を行うというもの。攻撃と回復を両立した技であり、味方の支援に頼らずともある程度は戦える。

 

アイク自身の性能にもよるが、天空さえあればたいていの敵は1撃で倒せる。この天空は、物語の途中でアイクがクラスチェンジをした際に自動で解放されるのだが、解放されたところでメッセージが表示され、イベント発生するようなことはない。自力で気付く必要があるわけだ。さらに、天空に限らず、ユニットに奥義を覚えさせるには「奥義の書」が必須。場合によっては天空を習得しないまま物語を進めるという事態も起こりうる。天空がなければ話にならないほどラスボスは強いのだが、覚えずとも倒すことはできるのだろうか。

 

もうひとつの強みが、「ラグネル」という剣。物語の終盤から使えるようになる。射程が2なので離れた場所から攻撃できるほか、使用回数は無限(通常の武器は使うごとに耐久値が減る)、装備すると守備力が5も上がるなど、至れり尽くせりな性能をしている。ラグネルと天空との組み合わせは鉄板だった。

 

また、「ファイアーエムブレム」といえば、多彩な個性を持つユニットの存在も欠かせないが、「蒼炎の軌跡」のユニットを語るなら、チャップさんは欠かせない。戦闘のプロであるグレイル傭兵団の面々と違って彼は田舎の農民であり、本人いわく、点呼の訓練しかまともに受けたことがないという。彼のクラスは「重歩兵」で、力と守備が伸びやすい。速さの成長率が悪い代わりに防御力で補うというタイプなのだが、私が育てたチャップさんは、とてもよく速さが伸びた。「騎士の護り」という装備をつけると対象の速さが伸びやすくなるので、もしかすると、そのおかげかもしれない(特につけた覚えはないが)。

なので、同じ重装系の敵にはもちろん、騎馬や歩兵系のユニットにもどんどん追撃(相手より速さが4以上高い場合に発生する2回攻撃)する。1回の戦闘で敵を倒すと、その敵がいた目の前のマスに別の敵が殺到し、連続で攻撃されじわじわ追い詰められていくという状況は、「ファイアーエムブレム」ではよくある。そういうこともあって、追撃し過ぎたり、攻撃力が高過ぎたりするのも考えものなのだが、チャップさんは重装系なので、魔法攻撃でもされないかぎりはまず落ちない。重装系の上級職であるジェネラルに昇格すれば、態勢は盤石だ。作中屈指の強敵である「漆黒の騎士」になぞらえて、「漆黒の農夫」と一部でささやかれているのもうなずける。

 

ちなみに「ファイアーエムブレム ヒーローズ」では、現在、チャップさんと同郷のネフェニーはすでに実装されている。ネフェニーからすれば、チャップさんは地元のなまりで遠慮なく話せる数少ない相手なので、ぜひ彼を登場させて、ネフェニーとファンを安心させてあげてほしい。

 

ペーパーマリオRPG




ジャンル:アクションRPG
発売日:2004/7/22
メーカー:任天堂

(C)2004 Nintendo Game Developed by INTELLIGENT SYSTEMS.


NINTENDO 64で発売されたRPG「マリオストーリー」の続編。宝の地図を手に入れたというピーチの手紙を読み、待ち合わせ場所の「ゴロツキタウン」に向かったことをきっかけに、マリオは「スターストーン」と呼ばれる伝説の宝石を巡る大冒険に出る。

「ペーパーマリオ」シリーズ第2作ということもあってか、本作では「紙」要素がより洗練されている。自身を紙飛行機にして遠くまで滑空したり、船になって水上を移動したり、巻かれた状態で隙間をくぐったりと、ペラペラな体を生かしたアクションが特徴だ。

 

そんな薄っぺらい体型の本作のマリオだが、ゲームとしてはむしろ重厚である。ドラゴン退治を始め、闘技場でのランキング戦、走行中の列車で起こる事件など、さまざまな冒険が待ち構えており、プレイヤーを飽きさせることはない。とらわれたピーチを操作して「テック」と呼ばれるコンピューターと交流したり、マリオの宿敵・クッパを操作してステージを攻略したり、群像劇的なストーリー進行も印象的だった。王道のファンタジーが描かれた前作「マリオストーリー」とは違った仕掛けばかりで、小学生の私は興奮してばかりだった。

 

バトル面も進化しており、敵とのバトルは観客が見守る劇場のような場所で行われる。最初は掘っ立て小屋のような外見の劇場だが、マリオのレベルが上がっていくにつれて徐々に豪華になっていき、やがて大人数を前にしっかりした舞台で、スターのような活躍ができるようになる。観客にはキノピオをはじめとするマリオの味方だけでなく、「メガバッテン軍団(本作の敵)」の構成員などもいる。こちらの一挙手一投足に反応したり、たまにアイテムを投げて応援してくれたりと、なにかとバトルを盛り上げてくれるので、特にボス戦のモチベーションは高かった。

 

特に印象的だったのが第3章のウーロン街編だ。ここでの展開は、劇場を取り入れたバトル演出とよく噛み合っていた。第3章の目的が、闘技場で頂点を目指すということもあり、観客の前でバトルをする点になんの違和感もなかった。舞台に上がる前に司会が「ゴンザレス」(マリオのリングネーム)の名を叫び、相手に勝つとバトル中だけでなく物語の舞台であるリングでも、観客たちの歓声が飛び交う。闘技場のオーナーであるガンスから、バトルを盛り上げるためのパフォーマンスとして特定の行動を求められることも、システムと演出の噛み合いに拍車をかけていた。

 

盛り上がりでは3章に劣るものの、衝撃の大きさでは4章もすさまじい。豚の姿に変えられた人々が暮らすウスグラ村に着いたマリオは、ボスとの戦いに挑むも自分の名前と体を奪われ、影のような姿にされてしまう。倒したと思ったボスはマリオになり代わり、仲間は偽物を信じ切って本物を裏切り、そのうえ敵だった「カゲ三人組」の末っ子・ビビアンは、こちらをマリオと知らず仲間になる。

 

怒涛の展開とともに情報が押し寄せてきて、初めて遊んでから10年以上たった今も物語の展開はよく覚えている。マリオ対黒幕という流れに慣れていたこともあり、敵の策とはいえ、その立場が逆になるとは思ってもみなかった。仲間を率いる「マリオ」と戦えるのも新鮮だった。

 

逆境の中で力を貸してくれただけでなく、正体を知ってしまってもなお仲間になってくれたビビアンには格別の信頼もあって、最後まで重用した。相手の攻撃を確実にかわせる「カゲがくれ」、敵全体を攻撃する「まほうのほのお」など、持っている技も優秀である。彼女は女の子のように見えて実は男の子なのだが、そんなことはどうでもよかったのだ。

 

いっぽうで、バトル面では、装備することでさまざまな能力をマリオに付与できる「バッジ」を活用した、よくも悪くも有名なテクニックがある。それが「HP5マリオ」だ。マリオのHPが5になるとバトルでは「ピンチ状態」になるのだが、意図的にこの状況を作り出し、ピンチ時限定で効果を発揮する「ピンチデガンバル」というバッジを複数つけ、マリオの攻撃力を大幅に強化するのである。

 

この状態で「レンゾクジャンプ」をすると、バッジの効果も相まって連続で大ダメージを敵に与えることができ、ラスボスや隠しボスすら一瞬で倒せてしまう。防御力を上げる「ピンチデマモール」や、相手の攻撃をときどき避けられる「ピンチデラッキー」など、ほかにも優秀なバッジがあるため意外に扱いやすい。この状態のマリオであれば、最初から最後まで楽に進められはするが、ゲームバランスが著しく崩壊するため代償も大きい。話を聞いて私も試してみたが、バトルは簡単過ぎるし、ピンチ状態になっていつもどこでもつらそうにしているマリオを見ているのが忍びなく、あまり長くは使わなかった。

 

「ペーパーマリオ」シリーズはその後も続き、続編はWiiやニンテンドー3DSで発売された。数あるシリーズ作品の中でも、個人的には「ペーパーマリオRPG」が一番楽しかった。Nintendo Switchで、いつかHDリマスター版が発売されないものだろうか。

 

F-ZERO GX



▼データ
ジャンル:レースゲーム

発売日:2003/7/25
メーカー:任天堂

(C)2003 Nintendo (C)AMUSEMENT VISION / SEGA,2003

 

任天堂とセガの共同開発によって生まれたのが本作だ。スーパーファミコンからNINTENDO 64を経て、ゲームボーイアドバンスで展開されていた本シリーズであるが、ゲームキューブで発売されたことで、グラフィックはもちろん物語の演出やコースの背景などさまざまな点がパワーアップしているのが特徴。据え置き機で発売された「F-ZERO」作品としては、本作が今のところ最後のタイトルとなっている。なお、この時期、セガが開発したアーケードゲーム「F-ZERO AX」が同時期に稼働しており、両作のコラボも行われていた。

 

大別すると、「F-ZERO GX」には、主人公のキャプテンファルコンを操作して物語を進める「ストーリーモード」と、好きな機体を選んでレースに挑む「グランプリモード」の2つのゲームモードがある。

 

ストーリーモードは全9話とややコンパクトだが、順位を競う純粋なレースだけでなく、制限速度を維持しながらゴールを目指し、防火壁のようなもののすり抜けつつ施設を脱出するなど、ステージごとにさまざまなミッションが用意されている。「NOMRAL」、「HARD」、「VERYHARD」と、難易度も複数存在するため、制覇しようとすると結構なボリュームになる。

 

本作はその難易度の高さでもゲームファンに知られており、筆者が特に苦戦したのは第5章。パイロットのジョディを操縦席に乗せ、制限時間内に爆発する発電施設からともに逃げだすというエピソードだ。コースは一本道なのだが、途中で防火壁が次々と閉まっていくので、走行できるルートが限られるだけでなく、速度もおちおち下げていられない。

 

VERYHARDともなると制限時間はギリギリとなり、ブーストを使った加速を常時しなくてはならず、もし一度でも防火壁にぶつかったら間に合わない。音速を軽々と超える超高速の世界が「F-ZERO」の魅力ではあるものの、その疾走感のせいで防火壁の閉まる向きを見極めるのがとても難しい。走行ルートを覚えるのは当然。そのうえで、ステージ後半ではブーストを使い切るせいでマシンの体力が最低(ブーストに使うエネルギーとマシンの体力は共有)になり、壁にかすっただけでゲームオーバーになることから、速さに加えて繊細な操作も求められる。最終的には全話のVERYHARDを制覇したが、やはりこの5章が一番難しかった。

 

ところで、なぜ私がこのようなやり込みにこだわったのかと言うと、隠し機体のためである。各話のVERYHARDをクリアするごとに、ひとつずつ機体(+パイロット)が解放されていくため、VERYHARDはなんとしても制覇しなければならなかった。

 

もうひとつのゲームモードである「グランプリモード」では、「ルビーカップ」、「サファイアカップ」、「エメラルドカップ」、「ダイアモンドカップ」の4つが用意されている。それぞれのカップで複数のレースをこなし、1位になるのが目的である。各カップには複数の難易度があり、最高峰のマスタークラスともなると相応の技量が求められる。

 

本作には「サイドアタック」と「スピンアタック」という2つの攻撃手段があり、自機で相手を攻撃し、脱落させることも可能だ。相手を脱落させていくとドクロが画面上に表示されていき、5つたまると、残機がひとつ増える。それだけ自分のリトライできる回数が増えるため、レーサーとしての品格はともかく、競争相手のせん滅は合理的な戦法だった。
確かにマスタークラスの攻略は難しいが、低い難易度のコースであればプレイに余裕もあるので、レース中にあえて最下位まで落ちて、競争相手を順番に脱落させていき、最終ラップを自分ひとりで走る、なんてこともした。

 

全レースが終了した後の、優勝者インタビューも面白い。プレイヤーが1位を取ると、「F-ZERO TV」というニュース番組に出演できる。そこでプレイヤーがインタビュアーの質問をひとつ選ぶと、自分が操作した機体のパイロットが答えてくれる。このバリエーションがとにかく多く、各カップはもちろん、難易度によっても質問内容が変わる。私がVERYHARDの制覇にこだわったのには、パイロットのインタビューを少しでも多く聞きたいという理由もあった。

 

キャプテンファルコンをはじめとする通常のパイロットには普通に接するインタビュアーだが、ブラックシャドーやデスボーンといった悪役にはおじ気づきながら質問するのが面白い。声も震えており、それでも仕事を懸命にこなす彼のプロ根性には感心したが、そもそも悪役たちがまともに受け答えしているのもシュールだった。

 

アーケードゲームとしてリリースされていた「F-ZERO AX」も遊んでいた私にとって、本作はとても思い出深い。筐体(きょうたい)にはゲームキューブのメモリーカードを入れるための差し込み口があって、メモリーカードに「F-ZERO GX」のデータがあれば、特別なマシンパーツや機体を入手することができた。家庭用ゲームとアーケードゲームのコラボは新鮮で、現実とゲームがつながったような、不思議な感覚になったことを覚えている。シリーズ作品が最後に発売されてから17年。売上や開発環境など、さまざまな問題があるのだろうが、いつかはまた新作を遊びたい。

 

ソニックアドベンチャー2バトル


※画像はPS3版


ジャンル:アクション
発売日:2001/12/20
メーカー:セガ

(C)SEGA


2001年にドリームキャストで発売された「ソニックアドベンチャー2」の移植版。シリーズおなじみの主人公、ソニック・ザ・ヘッジホッグが登場するヒーローサイドと、本作から登場した新キャラクター、シャドウ・ザ・ヘッジホッグを中心としたダークサイド、そして両方をクリアすると解放される隠しシナリオの3部でストーリーが構成されている。

 

物語の進め方はシンプルで、ストーリーの進行に応じて各キャラクターのステージをクリアしていくというもの。細長いコースをひたすら疾走するスピード系、「カオスエメラルド」の破片を探す宝探し系、マシンに乗って敵を倒しながら進むシューティング系の3種のステージがある。各ステージには「制限時間内にクリアせよ」、「迷子のチャオを探し出せ」、「HARDモードをクリアせよ」といったさまざまなミッションが用意されており、やり込み要素は豊富。

 

「チャオ」という不思議な生物を育てる「チャオガーデン」や、最大2人による対戦モードも実装されており、本作を楽しみ尽くすなら100時間でも足りない。

 

特にチャオガーデンのやり込み要素は特筆もので、チャオたちのスタミナや力、速さといったパラメータを成長させて、育てたチャオを「チャオレース」や「チャオカラテ」で戦わせることもできる。チャオのパラメータを自由に伸ばせるだけでなく、育て方によってはソニックのような姿をした「ソニックチャオ」になるなど、隠し要素もふんだんに盛り込まれており、非常に奥深い内容となっている。この育成要素だけで1本のゲームとして成立するほどの作り込みようだった。

 

そのほかのやり込み要素として、ステージをクリアした際に入手できる「エンブレム」の収集もある。全180枚を集めるには、各ステージに用意された諸々の条件に加え、チャオカラテとチャオレースも制覇しなくてはならない。私の持っていたメモリーカードは接続が悪かったのか、過去に2度セーブデータが飛んだ。そのたびに集め直していたので、累計540枚のエンブレムを集めたことになる。今思うと、どこにそんな時間があったのか不思議だが、あらゆる手間を惜しませないだけの魅力が、本作にはあったということなのだろう。

 

シナリオとその演出もファンの間では語り草である。ソニックたちが宿敵・エッグマンの野望を阻止するために戦うヒーローサイドは、「ソニック」シリーズらしい王道的な展開。いっぽうのダークサイドは、自分の目的のために互いを利用し、だましあうといったサスペンス的な空気がある。

 

シナリオ後半のソニックとエッグマンの駆け引きは特に印象的だった。人質となったエミーを引き渡す条件としてカオスエメラルドを要求するエッグマンに対し、ソニックはテイルスが作った偽物で乗り切ろうとする。取引現場で、ソニックが偽のカオスエメラルドを持って近づこうとすると、エッグマンはスイッチを押して彼を透明な筒に閉じ込めてしまう。

 

「そんな偽物にだまされると思ったか」とエッグマンが言うと、動揺したテイルスは「どうして『偽物』とわかったんだ」と口走ってしまい、結果カオスエメラルドが偽物であることを自ら教えることに。「たった今、貴様が教えてくれたわ」と言うエッグマンの言葉の意味が、小学生の私には理解できなかった。エッグマン自身もカオスエメラルドの真贋がわからなかったために、ソニックたちにカマをかけて確かめようとしたとしたのは、中学生になってから。

 

ヒーローサイドはグッドエンド、ダークサイドはバッドエンドのような幕引きだったが、各サイドともいくつかの謎を残したままだった。そのモヤモヤしたプレイヤーの気持ちに応えてくれるのが隠しシナリオで、ヒーローサイドとダークサイドが、共通の敵を倒すために手を組むというグランドエンドにふさわしい内容となっている。全6人のキャラクター(ヒーローサイドとダークサイドのキャラクターが交互に登場する)で各ステージをクリアしていき、地球の人々の応援を一身に浴びる中、BGM「Live & Learn」に魂を奮わせながら、最後にラスボスと戦う。物語の締めくくりとしてこれ以上ない、夢の舞台だった。

(文・夏無内好)

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