CUDAさんの評価レビュー

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続編としては破綻している

観賞手段:CS/BS/ケーブル、VoD
俺の妹がこんなに可愛いわけがないの1期は一部のエピソードが退屈なことを除けば個人的には満足のいく作品でした。

1期では、オタク文化の外側にいた京介が、隠れオタクだった桐乃を通じてオタク文化を知っていくと同時に世間からの風当たりの強さや偏見を垣間見て、そこに彼なりの若干クレイジーな解決策を提示していきました。
桐乃の交友関係が広がるにつれて、京介にも新しい交友関係が生まれて、定期的に新鮮さを与えてくれていました。
その中で、冷えきっていた妹との関係を修復していきました。
また、読者や視聴者に迎合していない桐乃のキャラクター性もオリジナリティがあって良かったとおもいます。

しかし、2期ではこういった社会的な論評はほとんどなくなっており、結末に向けて京介と女性キャラクターたちの関係にシフトしています。

2期でもコメディの部分においては面白い話はたくさんありますが、ストーリーの中核部分での京介を含めた各キャラクターの動機が理解しがたく、真実味を失っています。

後半で京介が一時的な一人暮らしを強制されます。
ここで各ヒロインたちが次々と押しかけてくるのはラブコメ的な面白さはあるかもしれませんが、あまりに挿話的でこの時点でこういった展開をするのは物語の説得力を大きく損なうことになっているとしか思えませんでした。

また、TV版の最終回となる13話ですが、ここで回想をいきなり持ってくるのは不可解です。
本作では京介以外の心情描写はほとんどないため、幼少期に桐乃が京介に憧れていたという京介が知り得ない情報をあの時点で視聴者が知るというのは些か違和感があります。本来ならストーリーの流れの中で伝える必要があります。


映像は1期よりも順当に綺麗になっています。動きの多い作品ではありませんが、作画レベルは上がっていると思います。
主要スタッフはそのままに、制作会社がAIC BuildからA-1 Picturesになりましたが、1期からおなじみの丸っこいキャラクターデザインと独特なスタイルが変わらなかったのは良かったと思います。
ただし、特筆すべきことはこれといってありません。

音楽は1期同様に神前暁さん作曲で俺妹らしさに溢れていると思います。1期とほとんど変わらないですが、相変わらずコミカルで面白い。縁の下の力持ちです。

一方、オープニングテーマは1期と似ていますがironyほど印象的な曲とは思えませんでした。俺妹2期のオープニングと聞かれても数ヶ月したら忘れているかもしれません。
オープニングの映像自体もそこまで魅力がないように感じました。
一方エンディングが毎回変わるというのは1期と同じです。正直これは良いか悪いかどっちつかずですが、企画としては面白いです。

声優陣は1期からブレることなく3年前と同じ演技または改善された演技をしていると思います。不満は何もありません。


14話~16話があるのでまだストーリーに評価点をつけていませんが、
続編として考えると、1期の内容を蔑ろにするのは良いとは思えません。1エピソード単位で見ると面白い回も、全体として見ると納得がいかないものもあります。
全体を見た時の物語の流れはスムーズではないし、焦点がブレてしまっています。
もちろんこれは原作のシナリオがあるからだとは思います。

視聴者が納得の行く終わり方、もしくは視聴者を驚かせる結末はそれまでの積み重ねがあってこそだと思います。もし残りの3話で評価が一変するようなら驚くべき脚本です。

この内容だとアニメよりゲームにした方が向いているかもしれませんね。ゲームは出るみたいですけど。

【追記】
14話~16話を見ました。
なんとも言えない微妙な気持ちにさせられました。特に最後の5分。
完全に理解の範疇を超えていました。
原作未読なので詳しいことはわかりませんが、これまで京介は散々大層なことを言っておきながらなぜ最後ああいったことになったのか。他のキャラがひたすら不憫です。茶番と言われてもおかしくない。
非常にもどかしい終わり方でした。
CUDA
CUDA
ストーリー
2.0
作画
4.0
キャラクター
3.5
音楽
4.0
オリジナリティ
4.0
演出
3.0
声優
4.5
3.0
満足度 3.0
いいね(3) 2013-08-19 18:12:17

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