てとてとさんの評価レビュー

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難解、というより開き直って世界観を表現?自分は好き。

観賞手段:劇場
ネタバレ
宮崎駿監督による124分の映画。同名の小説とは別内容で冒険ファンタジー系?
太平洋戦争中に坊ちゃんが、神隠し?に遭った叔母と、空襲で死んだけど生きてるかも?な母を探しに謎の塔の異世界に挑む…

【良い点】
独創的な世界観や雰囲気。まさにワンダーランド、予測不能で次はどうなるか終始目が離せず。
主人公の思考や言動も突拍子が無く、次はどう動くんだろう的な興味が持続した。

キャラの掘り下げやストーリーの説明を排する開き直り。
千と千尋をより深化させ、視聴者についてこれる奴だけ付いてこい!的な開き直りあり。
普通ならこれでは自己満足でついていけずつまらない!となりがちだけど、本作は不思議と面白かった。
主人公・眞人(まひと)が順応性凄まじく、ワンダーランドの怪異や唐突な新キャラとの交流に全く動じず超速理解するのでテンポが非常に良い。
視聴者も眞人の行動言動を見て(そういう世界観なんだな?)と受け入れ易かった気がする。
考えるな感じろ!がかなり上手い作品。

非常に難解だったり、戦争中で母が空襲で焼死するなどのハードな舞台な割には、良い意味で空想的で、不快感少なく見られる。
千と千尋などの宮崎駿作品にありがちな説教臭さをあまり感じないというか、思想はあるかもだけど難解で煙に巻かれる感じ故か気にならず。
反戦とか、親子関係とか、こうあるべき!的な明快な主張をあまり感じず。良くも悪くも幻想的な作風。
タイトル通り、どう感じるかを視聴者に丸投げしてくれている。

それでいて宮崎駿特有の死生観や世界観は存分に発揮、むしろ余計な思想臭排してより純粋に見せてくれている。
塔の異世界での生まれる前の魂?的な存在や、それを捕食する鳥、塔の世界の秩序や構築などなど、難解ではあるが何となくの死生観は伝わる。
あの異世界は生前の世界で、時間軸を遡って母や使用人老婆の若い姿と交流して成長する、その構図も良かった。

最初は敵対するが共闘していく鳥のキャラが面白かった。
火の能力者な少女が主人公の母であろう事は分かり易い、少女で母という宮崎駿監督の理想的ヒロイン。
他キャラクターは役割が分かり易く、主人公の理解力もあってか説明不要で印象に残った。

作画は流石で説明不要。

【悪い点】
難解というより、キャラやストーリーを説明する気が一切無いので、ついてこれない視聴者は置いてけぼり。
主人公の思考や行動が唐突だったり、超速理解過ぎたり、共感して見られるタイプではない。
主人公はひたすら脚本に突き動かされている。
交流要素や成長の成果も分かり辛いというか、度外視されている。視聴後、結局何が言いたかったのか分かり辛い。

主人公は、鳥に対してはともかく、大切な母との交流であまり感情が伝わってこないのは非常に物足りない。

良い点とも裏腹だけど、明快に思想やメッセージが伝わる分かり易い作品ではない。
この点もかなり好みが割れそう。

声優陣が素人。
作風には合っているので及第点だけど、本職に対する優位性は微妙。

【総合評価】7~6点
凄く面白かった…かは微妙だけど、開き直った不親切な作りでも魅力的に見せるパワーは流石。
自分の好みとしては、思想や説教臭がきつい千と千尋よりも好き。
良し悪しは別にして、好き。
エヴァ以来の視聴者(君たち)が勝手に考察したり評論してくれ!的なタイプ?評論家肌からは絶賛されそう。
こういう乱暴(良い意味)な作品が許されるのは極一部の実力者、宮崎駿監督は許されると思う。
評価は難しい、自分が無理解なのを承知でとても良い未満の「良い」

比較的近年のアニメとしては2021年の「Sonny Boy」とタイプが近いのかなと。
君たちは…はより開き直ってやりたい表現展開していた、君たち(視聴者)はどう生きる(視聴して感じる)か。
てとてと
てとてと
ストーリー
3.5
作画
4.5
キャラクター
3.5
音楽
3.5
オリジナリティ
4.5
演出
4.5
声優
3.0
3.0
満足度 4.0
いいね(0) 2023-07-20 01:02:39

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