YOU44さんの評価レビュー

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「挿入する」「される」ってどんな感じ

観賞手段:テレビ
「よく知らぬ他人の肉体の一部が
具体的にわたしのなかに入ることだけで、
はたして肉体の関係になるのか
という興味があった」(富岡多恵子『芻狗』)

ずっと素敵なゲイアニメを待っていた。
「素敵」とは何かというと
「おしゃれ」だと言うこと。
リアルにお尻の穴とか使っちゃうのはNG。
キスはあり。イケメンは必須。
映画『君の名前で僕を呼んで』はイケメンだが
お尻のシーンがあるのでちょっと…。
このアニメはお尻使ってるかも知れないが
感じさせないから許す。
日本人だから、そういうとこある。
理想は映画『横道世之介』の綾野剛

この作品はかなりいい。唸る。
「黒ギャル」で、冒頭ビーチナンパだから
ヤンキーのナンパな内容だろうと
高をくくっていたがそれは高度な偽悪だった。
『慎重勇者』の聖哉似の千早瑠依(ちはやるい)
が意外や意外。
黒ギャルになる千原獅音(ちはらしおん)も
ナンパな第一印象と違って
八重歯とか困惑顔とか、かなり「可愛い」。
普通女になったら更衣室とか銭湯とかを覗く
スケベな話を想像するが、
彼はそうではなく恥ずかしがる。
これは新鮮、おしゃれだ。
心も女になったということだろうか。
医者の綴喜創(つづきはじめ)は獅音が
男だと知っていても、魅力的だからと
楽しむことを勧める、例えば自分と…。
こういう考え方好きだ。
総じて男性が男性に好意的。BLっぽい。
好きなレズアニメ『安達』『シトラス』
の男性版のようで嬉しい。
「男子も楽しめるBL」って感じか

男子一番人気、ミスコン1位の真由が
初登場するシーンは秀逸だ。
従来どおり男目線の女獅音と
恋敵と勘違いして張り合う真由。
その格差に
「なんだか知らないけど無性に頭にくる」
と立ち去ろうとする獅音。
さらに良いのは、瑠依が真由ではなく
獅音を選ぶこと。
いろんな布石があって面白い

「黒ギャル」になった親友とヤるのは
複雑な気がする。獅音は躊躇するが
それでも瑠依はヤる。野獣のようにヤる。
更に「黒ギャル」だけでなく男に戻っても
躊躇なく瑠依はヤる。
「オスメスひっくるめて愛してやるさ」
瑠依の感情を推し量る。
そして獅音はどんな気持ちだろうと思う。
これってすごい心的体験だと気付く。
女性になって挿入されることなんて
想像したこともなかった。
挿入する側が挿入され、挿入する側に挿入する。
「ヤる」と「する」、「しちゃう」と「されちゃう」。
恋愛、性差、LGBT、ジェンダー、ダイバーシティー。
画期的だ

瑠依は「男」でも「女」でもなく
「獅音」が好きなのだと分かる。
属性ではないのだ。ラディカル。
一話5分と短い
YOU44
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ストーリー
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作画
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キャラクター
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音楽
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オリジナリティ
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演出
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声優
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満足度 4.0
いいね(0) 2021-05-23 04:43:14

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