2人の少女の大事な時間をこっそり見ているような映画です。
音から絵までの映画を構成する全てが一体となってガラス細工のような毎日を表現しています(個人的には、足音と髪の毛の揺れがすごく印象的でした)。これを壊さないように自然と息を潜めてしまいます。
これまでのユーフォシリーズのように、わかりやすい「問題発生→解決」のカタルシスはきっと得られません。それでも、2人はほんのちょっとだけどこかへ進んだ気がします。
以下、ネタバレ有り
冒頭の音楽室まで2人で歩くシーンだけで、ほぼ2人の関係性も性格も説明してしまうのは流石だと思いました。それと同時に、会話だけじゃなく何ともない細かい所作、風景描写、音等を総動員して表現してくることを宣言しているようで、神経を研ぎ澄ませて見なければならないと緊張感が高まりましたw
全般的にみぞれの希美への強い気持ちの描写が目立ちますが、希美のフルートに反射した光がみぞれの体に当たるシーンは最も印象深かったです。ただの反射光なのに相手が希美というだけでなんだか嬉しくなる、そんな気持ちの透明度に心を打ち砕かれました。
犬猿の仲のようでいてお互いに口に出さずとも相手のことがわかっており、互いにフォローができる夏樹・優子との対比関係によって、希美とみぞれのちょっとかみ合わない部分がより印象付けられました。あと、特に優子が本当にみぞれを大事にしていることが随所から感じられました。
みぞれが鳥かごから放たれて自由にオーボエを吹く瞬間、オーボエの音に一瞬で心を奪われました。それまでの「オーボエとフルートのかけあいがよくない」があまり理解できなかった耳の私でも、これまでのオーボエとの違いが明白でした。
大好きのハグのシーンで希美がやっと出した言葉が「みぞれのオーボエが好き」だったことがすごく印象的です。みぞれを吹奏楽部に誘ったことを「忘れた」と嘘をついてしまう希美なので、本当は他の言葉が言いたかったのかもしれませんし、単純にみぞれのオーボエが好きなのかもしれません(ユーフォ2期でもみぞれのオーボエが好きと言っていましたし)。