総じて非常に完成度が高く、二度目を見たくなる作品であり円盤を買いたくなる作品となっている。展開も演義も映像も文句なし。
以下個人の感想だが、ただ一つ言うとすれば音楽。音楽担当:RADWIMPSという人選は悪いとは思わないし実際に評価するとすればプラスには間違いないが、他の人選ならもっと良くもなりえたろうにというのが率直なイメージ。音楽や歌として作品と切り離してみればいいものであることに間違いはない。ただ、音楽そのものは文句なく十二分に作品にマッチしていたが、歌詞が入ると途端に、世界観には合う反面雰囲気とはミスマッチなものになってしまっていると感じた(砕いていえば、「OPED以外は『音楽』でよく、『歌』はいらなかった」)。良くも悪くも、際どいところを攻めた人選。
ストーリー展開がいわゆる「タイムスリップ」モノということで、『主人公がタイムスリップして大切な人を救う』というよくある題材だが、それを細やかな演出・演技と作りこまれた設定と雑多過ぎないストーリー加工で非常に良い方向に持っていったと思う。タイムスリップの原理・原因についてほとんど語っていない(設定されていない?)のも却って功を奏したのではないか。
声優の演技については、可もなく不可もなくといったところ。良く言えば無難、悪く言えば(もちろんプロ水準の)平凡な演技で、決して文句はなく小奇麗にまとまっているが取り立てて見るべきところがないとも言える。ただ、思い切って方言をふんだんに取り込んでいたのは大きくプラスに出たのではないかと感じるところである。声の担当もそれによく追従していた印象だ。
キャラクターは特別目立ったところがない、平凡なものだが、SFファンタジーによくあることで、好感が持ちやすく感情移入が容易な点で全く文句はない。