tmakotoさんの評価レビュー

この映画はひたすらに綺麗だった。映像、音楽、人物、物語全てを美しいと感じた。この作品をベタで安っぽい映画と思う人もいるかもしれない。しかし私は人の情感をはっきりと震わせることのできる作品だと感じた。
よく背景の美麗さを新海作品は上げられるが、この映画はそれだけではなくキャラクターの動きも綺麗だった。キャラクターが美しい背景に負けていなくぴったり合っている。この作品の東京と田舎は決して現実では体感できないような美しさを持っており、かつそれを不自然に感じさせない調和を持っていると感じた。
音楽も綺麗だった。主題歌四曲というのは人によっては多いし、くどいと感じる人もいるだろう。私もそう思っていた。一回目を見終わった時に流石に四曲はくどかったなと感じた。しかし二回見たからこそ言えることがある。あの四曲はこの作品を構成する上で絶対に無くてはならないものである。
人物も綺麗だった、がそれはキャラクターデザインの話ではなく(キャラデザも充分に魅力的でオタク臭さを感じさせない素晴らしいものだった)、内面的な話である。主人公とヒロインを応援しない視聴者はいないのではないだろうか？そう思わせるだけのひたむきな美しさがあった。
物語も導入から引き込まれるものがあった最初のコミカルなストーリーから段々と映画に引き込まれていく感覚。とあるシーンでは劇場全体が映画に飲み込まれていくような錯覚を覚えるほど皆が集中していた。
ここまで書いて結局この映画がどんなものかわからないし絶賛しかしてない信者みたいなレビューだな、と思った人もいるかもしれない。だが私の文章力ではこの映画の魅力を簡潔につたえることは無理だった。だから映画をみて思ったことをそのまま書いた。人は綺麗な物に惹かれる。この映画は徹底的に美しさを書いている。それがベタや安っぽいと思われるかもしれないが私はその美しさに心を揺さぶられた。スタッフロール中の張り裂けるような嬉しさと狂おしいほどの切なさを忘れられない。