にゅまさんさんの評価レビュー

「ヤマノススメ」や「ワルキューレ・ロマンツェ」等の良作を積み重ねて信用を築いてきたエイトビットが挑む初オリジナル企画。事前に公開された宣伝PVの反応も良好と言う事で期待されていた本作だったが、終わってみればその信用を大きく裏切っての体たらくであった。
　とにかく視聴者に対して何を見せてどう思わせようとしているのか、全般的に無駄としか思えないシーンが序盤から続き、締めくくりは説明ゼリフ連発で何の感慨も残さずに駆け足で畳まれ、キャラ達のドヤ顔のエピローグを見せられてもポカーンである。
　12回をどの様な構成で使って行くのかを十分に練らずに、ただやりたいシーンだけを並べただけでは、視聴者には何も伝わらない。よく「2クールあれば」と甘い擁護をする人もいるが、それは全編隙無く内容を詰め込んでもダイジェストにしかならなかった密度の作品に対してなら言えることで、本作の様な無策でこうなってしまった作品にはいくら時間を与えても無意味なモノにしかならない。
　物語の無策さに対して絵作りの方はかなり頑張っていた方だが、それでも終盤は息切れして平板で楽な構図に逃げざるを得なかった様だが、この辺は終盤の見せ場への余力を確保する様なペース配分を踏まえた構成が出來なかったスタッフの失態でもある。
　結局良かったのはTURUさんの挿入歌だけだったが、PVはともかく効果的に使われなかったのは残念である。
　キャスト陣も悪くはなかったが、やはり本がダメなら引き出される演技も無く、皆様の次回作に期待してますよ、と言うしか。