にゅまさんさんの評価レビュー

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その先にある真の禁断こそが見たい。#009VSデビルマン

観賞手段:劇場
ネタバレ
同掲載誌内での合作とか、同作者またはグループ内のコラボならともかく、かつてアシスタントであった関係があるとは言え、石ノ森章太郎作品と永井豪作品のコラボが成立するのか? と言う疑問を投げかけた企画だったが、出来上がってみれば実にしっくりする組み合わせであった。
 両者の表面的な作風こそ正反対だが、両者とも「人間ではないモノになってしまった」そして「悪に生み出された力を持って、自分の意志で戦う」と言う共通軸が存在する。そしてブラックゴーストと言う「悪魔に魂を売った人間ども」とデーモンと言う「悪魔そのもの」と、相対する敵側にも共通軸がある。
VSものの枠組みとして「両者遭遇→対決→敵側が手を組む→共闘→勝利」の図式に意外なほどしっくり塡っていた。
 石ノ森作品での「姉の強さ」を上手くスパイスとして使い(アバンにミュートス編クライマックスを使った意味が出て来る!)、更には「人間として守りたい物があるなら(身体が機械でも)人間だろ」とジョーに自己肯定を促す不動明を見せられると、最初からそう言う構想があったと言われるて信じたくなるくらいの親和性である。

 たた、それ故に逆に破天荒な勢いと高まっていた期待に比べ、視聴前の期待より綺麗に、しかしややこじんまりとまとまってしまった感がある。
 そして何よりも、このクロスオーバーに期待した者が本当に觀たいのは、009の天使編とデビルマンの最終戦争編の融合であろう。強制合体によって悪魔に乗取られる者達、人間でありながら疑心暗鬼と利己主義より悪に染まる者達。護るべき対象の人間達が悪魔に変貌していく時、ジョー達はそれでも人類を護ると言い切れるのか。そして美樹の死により人類防衛を諦め対悪魔に目的を絞る不動明に対し、今回の様に共闘出来得るのか。
 今企画も禁断のクロスオーバーと呼ばれたが、デビルマン最終戦争編と言えば漫画史におけるとてつもない偉業であり、そこに大きく手を付ける事は実に恐れ多い。009にしても石ノ森の遺留メモより完成させたばかりのGODS WAR編に手をつけるなど、石ノ森が故人であるがゆえに更に恐れ多い。
 だが、だからこそ、禁断の扉の先にあるものを観てみたいのである。
にゅまさん
にゅまさん
ストーリー
4.0
作画
4.5
キャラクター
4.5
音楽
4.0
オリジナリティ
4.0
演出
4.5
声優
4.5
3.5
満足度 4.0
いいね(1) 2015-10-25 10:58:17

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