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「ゲットゴーイング」は、今までにないサウンド感の曲になりました
── 2曲目は「夏のキセキ」。「STAGE:0(ステージゼロ)」という高校生のeスポーツ大会のスポンサーとなった企業の、目薬のCMソングとして制作された曲で、作詞は幹葉さんと重永亮介さん、作曲・編曲は重永亮介さんです。 幹葉 重永さんのメロディを初めて聴いたときから、溢れ出る青春感がありました。重永さんは2ndシングル「小さな勇気」のカップリング曲「桜が咲く頃」から私たちの制作に関わって、今はライブも一緒にやってくださっている、スピラ・スピカを知り尽くしている方です。だから、この曲もスッと体に入ってきました。
寺西 重永さんは、明るい青春感のある曲の中に儚さを含ませることができるんです。「儚さ(はかなさ)」というのは僕にはなかなか出せない部分で、そこをしっかり支えていただいているという感じですね。この「夏のキセキ」にも、たっぷりその要素が入っていました。
幹葉 出だしからドキッとするもんね。「どういう曲が始まるんだろう?」と、先が読めない始まり方をしつつ、どんどん盛り上がっていって、最終的にはみんなで大合唱みたいな感じになっていくんです。テラくんとますだはもちろん、重永さんやスタッフの皆さんにもコーラスをしてもらって、レコーディングでは貴重な光景が見られました(笑)。
ますだ コーラスって緊張するんですよね(笑)。
幹葉 ライブでも早くみんなで声を出して歌える日が来てほしいです。
── それから、クラップ(手拍子)が入るところも、すごくよかったです。青春だな、という感じで。 幹葉 CMではサビしか使われていないので、クラップはアルバムで初めて聴いていただけるところです。スピラ・スピカのファンはライブ好きな人が多いので、喜んでいただけるんじゃないかと思います。
── ライブで声を出すことはできなくても、手拍子はできますからね。そして3曲目は「君なんか好きにならない」(作詞:幹葉、作曲:寺西裕二、編曲:If I)。マンガ「今度は殺されたくないアザラシさん」のテーマソングで、去年6月にデジタル配信された曲です。この作品は社会人の男女のラブコメディで、メインキャラの前世がアザラシだったりシロクマだったりして、かつては天敵同士だったという設定なんですよね。 幹葉 そうなんです。しかも、織田信長とか戦国武将が前世のキャラクターもいて、面白いんですよね。ステキな作品に楽曲を作らせていただいたんですけど、最初は「マンガのテーマソングってどういうことなんだろう?」って思いました。
── なかなかないパターンのタイアップですよね。作曲の寺西さんは、最初、どう感じましたか? 寺西 そうですね。たしかにアニメ主題歌を作るのとは、ちょっと感覚が違いました。
幹葉 原作の情報も少なくて。でもその分、想像を広げて作るワクワク感がありました。結果的に楽しい曲が生まれたんですけど、ライブで演奏したら私たちの想像を越えて、盛り上がるというか暴れる曲になりました(笑)。「楽曲はライブで完成する」って私はいつも言っているんですけど、作っているときはわからない領域にまでファンのみんなが連れていってくれることを実感した曲ですね。
── サウンド的にはピコピコのシンセ音が入っていたりして、かわいらしさもあるんですけど、リズム楽器がドンドン鳴っていて、テンションが上がります。 寺西 ヒロインの海野まひるの前世がアザラシで、その相手役の北村律の前世がシロクマなんですよね。2人の関係性に弱肉強食感があったので、パンキッシュな楽曲になっていきました。
幹葉 まひるは前世で律に食べられているので、絶対に好きになってはいけない相手なんですよね。だけど惹かれてしまう……というストーリーです。危険な相手を好きになってしまうことって、現実にもあるじゃないですか。サウンドで弱肉強食感を出してくれた分、歌詞は恋にドキドキしている女の子の、かわいい気持ちを書いていきました。
── 4曲目は「ゲットゴーイング」。アルバムの新曲で、作詞は幹葉さん、作曲はJazzin'parkの久保田真悟さんと栗原暁さん、そして編曲はSakuさんです。Jazzin'parkのお2人は、幹葉さんが敬愛するクリエイターだそうですね。 幹葉 そうなんです。ラジオのレギュラー番組をたくさんやらせていただいている中で、ラジオってふいに流れてきた曲が気になる瞬間があるじゃないですか。いいなと思った曲の作り手を調べてみると、何曲か連続してJazzin'parkさんのお名前があったんです。「いったいどんな人たちなんだろう?」という興味が、スピラ・スピカにも楽曲を書いていただいたら、新しい扉が開けるんじゃないかという思いに変わって。メンバーとも情報を共有してから、Jazzin'parkさんに熱い気持ちをぶつけてみたら、快く引き受けてくださったんです。
寺西 僕は嵐が好きなんですけど、「untitled」というアルバムの「光」という曲を前からよく聴いていて。「光」は久保田さんが手がけてらっしゃっていて、幹葉が提案してくれたときに、一緒にできたら面白いことになるんじゃないかなと思いました。僕らが作る90年代的なロックサウンドとは全然、感触が違うんです。
幹葉 Jazzin'parkさんは嵐だけでなく、ジャニーズのほかのグループや女性アイドルなどたくさんの方に楽曲提供をされていて、そういう方たちとのコラボは、今までのスピラ・スピカにはなかったので新鮮でした。ファンの方にも「え、これもスピスピ?」って驚いていただける曲になったと思います。
── そんな楽曲に、幹葉さんはどういうイメージで歌詞を書いていったのでしょうか? 幹葉 テラくんが作ってくれた曲に歌詞を乗せるときは、「メンバー内なので、何をやってもいいわ」みたいな気持ちが、正直あるんですよ(笑)。
寺西 あははは(笑)。
幹葉 でも、この曲は自分から望んで作曲していただいたものなので、プレッシャーを感じて、考えをまとめるまでに時間がかかりました。スピラ・スピカの曲はいつも、みんなのことを引っ張っていくエネルギーがありまくり、みたいな感じなんですけど、この曲は一歩引いた感があったので、自分の弱さみたいなものを歌詞に入れ込んでみてもいいかもなと。自分は力いっぱい生きているつもりなんだけど、世界全体から見たら小さい存在だし、もしかしたら誰も見ていないかもしれないけれども、ありのままの姿で一歩踏み出したい。そんな思いを素直に書いていきました。同じ思いを持っている方の背中を、ポンと押せるような曲になっていたらいいなと思います。
ますだ サウンドだけでなく、曲が表現する感情もほかとは違っているので、ライブの幅を広げてくれる曲になったと思います。