【新連載】アニメ業界ウォッチング 第1回:「ジョジョ」OP制作の神風動画

2013年12月25日 13:000

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アニメの萌えについて


―――女性視聴者が増えれば、状況も少しは変わるのでしょうか? でも女性向けで逆ハーレムアニメもありますからね(笑)。男性から見て「こんな男いないよ!」みたいな。

清水さん:
あれも嫌ですよね。イケメンが出てきたら当然うれしいけど、これ見よがしに“BL要素”がチラホラすると……ね。

佐藤さん:
もう不自然! ゴリ押しは何でもよくない!

水崎氏:
顔がやたら近いとかね(笑)。山本蒼美さん()の「この男子、人魚ひろいました。」知ってます? 山本さんの前作「この男子、宇宙人と戦えます。」を見たんだけど、超面白かった。

※アニメーション作家。23歳で、TVアニメ「メガネブ!」監督


 


水崎氏:
ここまで振っていると、僕はいいなと思う。「こんな男いねえよ」なんだけど、それがむしろ面白い。

佐藤さん:
これは好きな人が買うからいいけど、全部のアニメにそれを入れるのはどうかと……。

先名さん:
そう!

佐藤さん:
男性が喜ぶ“ボインボイン”()を全部に入れちゃうから。それで均一化してしまっている。

※お色気や萌え要素

―――ラノベ原作アニメが多いのもあるんでしょうか。

佐藤さん:
“ボインボイン”ちゃんが出ていても、面白いものは面白いんですけどね。でも何にでもそういう要素を入れる風潮は、どうかなと思います。

―――増えてきたのは、“萌え”という言葉が出始めた頃からでしょうか。

水崎氏:
不思議なことに、そんな子いないよってノリもあるけど、街の女の子のファッションに取り入れられていますよね? ミニスカートにニーハイソックスの絶対領域みたいなの。

清水さん:
メガネのフレームの内側に前髪を入れるのとかもありますよね。

佐竹さん:
設定を作る時、実際の写真を参考にしたりするので、どっちがどっちとかはないと思うんですけど。

水崎氏:
前ほど乖離はないから、一概に否定できませんよね。

―――一般の女性誌にも“萌え”とかのキーワードは普通に出てきますしね。

佐竹さん:
たまたま、ここに集まったメンバーが、そういうものにあまり良いイメージを持っていないということなんですけどね。


魔法少女まどか☆マギカ
佐藤さん:
魔法少女まどか☆マギカ」みたいに、ボインで魔法少女で萌え要素なんだけど、ストーリーがシリアスなアニメは、見ていても気にならない。内容がちゃんとしていれば、“ボインボイン”でもいいんじゃないかな。

(C) Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS


―――そういうの“ボインボイン”って呼ぶんですね(笑)。はじめて聞きました。

先名さん:
キレイなお姉ちゃんと“ボインボイン”はまた違うので難しいんですけどね。桂正和先生(が描くような女性キャラクター)とは違うと思っています。

佐藤さん:
うん。峰不二子ちゃんだってボインだけどカッコイイ。

―――(アニオタにニーズがある)幼女っぽさがある女性キャラクターがダメなんですかね?

佐藤さん:
あ、そうかも。あと、1人の男性に群がったりするからいけないのかも(笑)。いろいろな色の髪の毛の女の子がいっぱいいたりね。

―――ちょっと自虐的になっている(コアな)視聴者が、アニメに“リア充”要素を求めているのかもしれないですね。


時をかける少女
清水さん:
でも、登場人物全員がリア充とかだと、「ペッ!」ってなりますよね(笑)。「私、こんな理想的な青春時代過ごしてないわ!」って。

佐藤さん:
時をかける少女」はリア充なんですが、切なくてつらくてうらやましすぎて……見られない(笑)! あんなにうらやましいことはない。

(C) 「時をかける少女」製作委員会2006


水崎氏:
一時期のTVドラマとかも、おかしいよね? サラリーマンなのに3LDKとかに住んでて、もっとリアルに描こうよと。

清水さん:
リアリティがあると心をつかまれるんですけどね。

先名さん:
アニメに求めるものって難しいですね。

佐竹さん:
それぞれ違うものを求めていますからね。

佐藤さん:
私はアニメだったらリアルじゃないものが好きですね。

水崎氏:
ドラマはリアルじゃないとね。僕は夏くらいに「半沢直樹」にハマったんですが、出向する近藤役を演じている俳優の滝藤賢一さんの芝居がとてもリアルで、このドラマがヒットするのもうなずけるなと。でもアニメは、せっかくアニメという手法ですからね。

先名さん:
アニメにしかできないものをやりたいですよね。

佐竹さん:
そこで“萌え”が出てきたんでしょうね。


「神風動画」のアニメ表現


―――
これだけの多様な意見が出たうえで、今後「神風動画」がどのような方向に進まれていくのかとても興味が沸きます。

水崎氏:
たとえば、うちの新作「未来光子 播磨サクラ」は、萌えって言葉がなかった90年代の感じありますよね。




佐藤さん:
「サクラ」みたいに、“カッコイイ”映像の中に胸やお尻のアップがたまにあると、昔の男の子は「おっ!」ってなってたんじゃないですかね。今はパンツが全部出ていますよね。

先名さん:
想像の余地がないですよね。何のパンツをはいてるかが大切なのに(笑)!

―――私は「ドラゴンボール」とか好きで見ていたのですが、ブルマのエロが限界でした。あれが青年の夢をベストな形にした感じ(笑)。


らんま1/2
佐藤さん:
嫌らしさのないエロですよね。今考えれば「らんま1/2」とか結構露出してると思うんですけど。何でこんなに違うんだろう。

(C) 高橋留美子/小学館



佐竹さん:
「サクラ」はいわゆるエロではなく、“カッコイイ”というイメージが全面的に出てきますよね。このデザインをしたのは「カクレンボ」の桟敷君で、モデリングしたのは21歳の女性スタッフ、テクスチャーは佐藤さん?

佐藤さん:
大変でしたね。

水崎氏:
エフェクトは先名さんだよね。

先名さん:
この素晴らしいエフェクトは作画チームですよ!私はパイプの色とかこだわりました!

水崎氏:
ここまで90年代風にするなら、納品サイズも4:3にしてほしかったな~(笑)。

画像一覧

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(C) 2006 FREEDOM COMMITTEE

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(c)YAMATWORKS/D.I.C

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