遊びごたえ底なしのシミュレーションRPG『ユニコーンオーバーロード』レビュー 超王道の冒険戦記×オープンワールド×独創的バトルシステム!

2024年03月11日 19:210

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2024年3月8日、『ユニコーンオーバーロード』が発売となった。本作は、『十三機兵防衛圏』を手掛けた「アトラス×ヴァニラウェア」による完全新作となるシミュレーションRPGだ。その美麗なグラフィックやユニークなシステムなどから発売日前より話題となっていた本作について、今回は筆者の視点からファーストインプレッションをお届けしていきたい。なお、本記事はPS5版をプレイして作成している。

主人公は亡国の王子! 巨悪の手に堕ちた世界を取り戻すため、仲間たちとともに立ち上がる!


『ユニコーンオーバーロード』は、アトラスとヴァニラウェアのタッグが贈る新作シミュレーションRPGだ。『ペルソナ』や『真・女神転生』など数々の人気作を手掛けたアトラスと、唯一無二の美麗なグラフィックが特徴的なヴァニラウェアは、これまでも『十三機兵防衛圏』や『ドラゴンズクラウン』、『オーディンスフィア』などの名作を世に送り出してきた。そんなタッグによる新作『ユニコーンオーバーロード』は、超王道の物語と濃密なファンタジーの世界観、そしてていねいに作り込まれたシミュレーションRPGの戦略性を存分に楽しめるタイトルである。



 

まずは本作のストーリーからご紹介しよう。

物語の舞台となるのは、5つの国家からなる「フェブリス大陸」。コルニア王国での将軍ヴァルモアの反乱によって巻き起こった戦火は、やがて大陸全土を覆い尽くし、世界を支配してしまう。



主人公は、そんな亡国コルニアの王子として生き残り、解放軍を率いることとなった青年・アレイン。母である女王イレニアから託された伝説の「一角獣の指輪」を手に、民を導くため、自軍の旗を掲げる。はたしてアレインは、出会った仲間たちとともに、巨悪の手に堕ちたこの世界を、取り戻すことができるのか……。



巨悪に支配された大陸、亡国の王子、解放軍、仲間との出会いと絆、そして母から託された伝説の指輪と、戦記もの・ファンタジーものの王道とも言える重厚なストーリーがプレイヤーをグッと引き込んで離さない。さらに、この王道ファンタジーなストーリーとヴァニラウェアの魅力的な手描きビジュアルが非常にうまくマッチしており、物語世界への高い没入感を生み出している。

舞台は広大なオープンワールド! 自由に駆け回り、数多くのクエストをクリアせよ!


プレイヤーの目的は、主人公であるアレインを操作し、解放軍を率いて、皇帝ガレリウスが治める新生ゼノイラ帝国を倒すことだ。そのために、広大なフィールドを探索し、ステージでのバトルに挑み、数々のクエストをクリアしながら自軍を育成していくこととなる。


特筆すべきは、本作のフィールドにはオープンワールドシステムが採用されている点だろう。決められたストーリーを一本道に進んでいくのではなく、広大なフィールドを自在に駆け回って、好きな順番でクエストを攻略していくことができるという、非常に自由度が高い作りとなっており、わかりやすい例を挙げれば、とある条件を満たせばなんと序盤からいきなり最終決戦に挑むことまで可能となっている。

地道に自軍の育成を積み重ねていくことが重要となるシミュレーションRPGというジャンルにおいて、自由な攻略を楽しめるオープンワールドシステムを採用しているというのはかなり珍しいケースのように感じられ、新鮮なゲームプレイを味わえた。



フィールド上には、さまざまなクエストが多数存在する。
メインストーリーを進行するための「MAIN QUEST」を始め、新しい仲間や人物と出会うこととなる「SUB QUEST」、アイテムを集めたりロケーションを巡ったりといったおつかい的な依頼をこなす「FIELD QUEST」、ゼノイラ軍に支配された町や砦を解放するための「LIBERATE QUEST」、宝の地図のヒントを頼りに隠されたお宝を見つける「TREASURE QUEST」など、その種類は多様で、バトルが発生するものもあればそうでないものもあり、実にバラエティ豊かだ。

先述のとおり、本作はオープンワールドであるため、発見したクエストをどういう順に攻略していくかもプレイヤーの自由。「SUB QUEST」で仲間を集め、「LIBERATE QUEST」で装備やアイテムを購入できる拠点を増やしていきながら、自軍の戦力をどんどん鍛え上げていく感覚は、これぞRPGといった面白さがあり、ついついやめどきを見失ってしまう。



主人公のアレインが率いる解放軍は、最初は数人しかいない小規模な軍だが、先述のとおりクエストをクリアしていくことで新たな仲間と出会い、どんどん大きな軍へと成長していく。本作で仲間になるキャラクターの数は、なんと60人以上というので、そのボリュームには驚きだ。ファンタジー風の世界観ということで、出会うキャラクターは人間のみではなく、エルフや獣人、天使といった、さまざまな種族が存在する点も面白い。



さらに、キャラクターとは戦いや食事イベント、贈り物などのコミュニケーションを通して交流を深めることもできる。仲が深まると「親密度会話」という特別な会話イベントを見ることができたり、同じ部隊に組み込むことで戦力が向上するといった恩恵を得られるので、積極的に交流をしていきたい。特に親密度会話は、キャラクターたちの普段は見えない内面やバックボーンを深く知ることができ、キャラクターへの愛着とともに物語への没入度が格段に増す。登場キャラクターが多い本作ならではの、群像劇的な面白さが味わえる作りとなっている。



ストーリー中でプレイヤーに選択を委ねられる局面が存在することも、本作の物語のポイントだ。しかもそれは得てして軽い選択ではなく、追い詰めた敵将を「許すか、処刑するか」といった重い選択が多い。これらのシリアスな決断を、一本道の展開にせず、あえてプレイヤーの手に委ねることによって、本作の持つ重厚さがさらに増しているように筆者は感じた。



バトルの進行はリアルタイム! ユニット編成とスキルの組み合わせが攻略のカギ!


シミュレーションRPGの醍醐味は、バトルにこそあると言っても過言ではないだろう。ここからは、本作のバトルシステムについてご紹介していこう。

 

本作の戦闘は、敵味方のユニット同士がリアルタイムで進軍していく。味方ユニットに指揮を出し、ステージごとに定められた敵将撃破などの勝利条件を制限時間内に満たせばステージクリアとなる。味方ユニットは、青い旗の「拠点」から出撃できるが、出撃の際には画面左上に表示された「ブレイブ」というコストを消費する。ブレイブは、敵の撃破や施設の解放、落ちているアイテムを拾うことで増加するが、「ブレイブスキル」というスキルを使用する際にも消費するので、無駄使いは厳禁だ。

ユニットを出撃させたらカーソルを使って目的地や敵を指定し、移動指示を行う。このあたりのプレイは、リアルタイムストラテジーゲームの感覚があり、制限時間があることもあって、手に汗握る体験が味わえる。



敵と接触するとエンカウント状態となり、「戦闘」を選ぶとバトルへ移行する。戦闘内での行動順は各キャラの「行動速度」に応じて決まり、行動順が回ってくるとAP(アクティブポイント)を消費して、そのキャラが持つ「アクティブスキル」が発動する。互いのAPがすべて無くなるかどちらかいっぽうが全滅すると、戦闘は終了となる。



キャラは、アクティブスキルのほかに「パッシブスキル」と、それを発動するためのPP(パッシブポイント)を所持している。パッシブスキルは「攻撃を受ける際」や「ほかの味方が攻撃した際」、「戦闘開始時」「戦闘終了時」などの発動条件が設定されており、条件を満たすと自動的に発動する。つまり、アクティブスキルもパッシブスキルも、すべて自動的に発動していく仕組みになっており、基本的に戦闘はすべてオートで進行するという点が本作のバトルの大きな特徴となっているのだ。



すべて自動で進行するオートバトルと聞くと、戦略的な要素が薄いのではないか?という懸念を抱く方もいるかもしれないが決してそんなことはなく、むしろその逆で、プレイヤーが考えるべきことは非常に多岐に亘る。

まず頭を悩ませるのは、1人~5人までを編成できるユニットに、どのキャラクターを編成するかということだ。キャラにはそれぞれ兵種(クラス)が決められており、得意とする武器やスキル、ほかのクラスとの相性が存在する。たとえば「ファイターはハンターに強い」「ホプリタイは物理防御に特化」「シーフは回避率が高い」などで、それらの特性をいかせるようにユニットの前列・後列および位置を決めていかなければならない。本作に登場する兵種は、なんと60以上にも及ぶ大ボリュームなので、編成にはかなり深い思考が必要になってくるのだ。



キャラクターごとに設定できる「作戦」も、プレイヤーが考えるべき要素だ。これは、使用するスキルの優先順位や使用条件を設定できるというもので、特に使用条件は「隊列のどの位置の相手に使うか」「HPが何%以下の相手に使うか」「どの兵種の相手に優先して使うか」など、かなり細かな条件を、スキルごとに2つまで設定可能となっている。うまく設定することでスキルがコンボ的に発動し、有利に戦いを進められるといったことも起こるため、カードゲームのデッキ構築のような面白さもあり、考える楽しさ・試行錯誤の楽しさをじっくりと味わうことができるのだ。なお、作戦や装備は自動で設定してくれる「おまかせ」機能もあるので、設定を難しく感じるプレイヤーでも安心して楽しめるのはうれしいポイントと言えるだろう。



とにもかくにも、本作のバトルはオートバトルシステムでありながらも、考えるべき要素と戦略は豊富に用意されており、プレイヤーを飽きさせることがない。

ヴァニラウェア特有のなめらかに動く美麗なアニメーションで描かれるバトルシーンは迫力があり強く引き込まれることは間違いないが、実は本作のバトルの真の醍醐味はバトル中ではなくその前段階、ユニット編成やスキルの作戦設定を試行錯誤する段階にこそあるのではないかと強く感じた。

 

そのほかにも、経験値によるレベルシステムや、先述のキャラクター同士の親密度による編成ボーナス、上級クラスへと昇格させられるクラスチェンジなど、育成要素もたっぷりと用意されており、RPGとしての王道の面白さも十二分に備わっている。

また、シミュレーションRPGではなかなか見かけないやりこみ要素として、オンラインでの対戦や一人用のオフラインバトルができる「闘技場」というものもあり、その遊びのボリュームは底知れない。物語を進めていく中で、登場する国や人物に関する内容が次々に追加されていく「アーカイブ」のようなコレクション要素も、好きな人にはたまらない。


『ユニコーンオーバーロード』は、シミュレーションRPG初心者から熟練者まで幅広いプレイヤーにオススメの大作!


というわけで、『ユニコーンオーバーロード』のファーストインプレッションをお届けした。

 

超王道かつ濃厚な物語、美しいグラフィック、個性豊かな60人以上の仲間キャラクター、自由で広大なオープンワールド、そして高い戦略性と独自性を兼ね備えたバトルシステムと、魅力と遊びごたえにあふれている『ユニコーンオーバーロード』。CASUALからEXPERTまで4段階のゲーム難易度が用意されているので、シミュレーションRPG初心者から腕に覚えのある熟練者まで自分に合った難易度で楽しめるのも非常にうれしいポイントだ。春休みやゴールデンウィークなど、長期休暇にがっつり腰を据えて遊ぶのにも最適なタイトルなので、気になった方は序盤を約5時間遊べて、製品版にセーブデータを引き継げる「体験版」も配信されているので、まずは「体験版」をプレイしてしてみてはいかがだろうか。

【タイトル情報】

■「ユニコーンオーバーロード

  • 発売日:2024年3月8日(金)
  • 対応プラットフォーム:Nintendo Switch、PlayStation4、PlayStation5、Xbox Series X|S
  • 価格:通常版8,778円(税込)
  • 限定版:17,578円(税込)
  • ダウンロード豪華版:13,178円(税込)
  • ジャンル:シミュレーションRPG
  • プレイ人数:1人(オンラインプレイ要素あり)
  • CERO:C(15才以上対象)

ゲーム公式サイト:https://unicorn-overlord.com/

百壁ネロ

百壁ネロ

ゲーム買いすぎちゃう系ライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件」(星海社)、「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)など。
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