「バイオハザード RE:4」クリアレビュー! オリジナルを忠実に再現しているだけでなく、体術+ナイフの激しいアクションやアイテム管理のひりつくサバイバルが楽しめる

2023年04月05日 17:180

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2023年3月24日より、PS5/PS4/Xbox Series X|S/PC向けに「バイオハザード RE:4」(以下、RE4)が発売。本作は、2005年にゲームキューブ向けに登場したサバイバルホラー「バイオハザード4」を原作としたリメイク作だ。現行機の性能を生かした圧倒的なグラフィックや質感が楽しめるだけでなく、アクションや探索要素をはじめとする原作のいいところがリメイク&アレンジされている。

 

今回は、本作のPS5版をクリアしたうえでのレビューをお届け。原作との違いや類似点のほか、リメイク版からの新要素を加えた各種要素の感想などを交えて、「RE4」の魅力を解説していく。

 

原作を忠実に再現しつつ、現代向けのアレンジも加えた理想のリメイク

 

 

「RE4」の原作となる「バイオハザード4」は、今から18年前の2005年に発売されたサバイバルホラー。「バイオハザード2」の事件を経て成長したレオン・S・ケネディを主人公に据え、それまでの仕様だった固定視点を主人公の背後から追従する「ビハインドビュー」に変更。さらに体術を加えてアクション面を大幅に強化するなど、新しい「バイオハザード」を示した名作として、今も国内外で高く評価されている。

 

 

「RE4」を遊んでまず印象的だったのは陰影の表現。光の加減による影の変化が原作よりも格段に進化しており、同じ場所を探索しているだけでも、懐中電灯やかがり火によって照らされはっきり見える部分はもちろん、減衰した光源によって輪郭だけがぼんやりと浮かび上がる部分も細かく描写されていて、プレイした際に感じられる臨場感は雲泥の差だ。

 

原作と「RE4」の物語序盤を比べてみると、影の違いははっきりわかる。原作は昼下がりといった具合で、明暗はほぼ均等か濃淡がはっきり分かれている部分が多い。いっぽう「RE4」は夜明け前と思しき時間帯で、木漏れ日で屋根が白んでいたり、ランプの光の死角によって、影が黒で塗りつぶしたように真っ暗になっていたり、プレイを始めてわずかな時間の間にもさまざまな影が見られる。

 

 

懐中電灯などの明かりを頼りに進むシーンは、影の強みがとくに表れていた。先の見えない真っ暗闇にいると距離感が狂わされてしまい、敵に襲われてがむしゃらに逃げていると現在地がわからなくなり、かえってパニックに陥ることも多かった。影の演出が強化されたことで、ホラー要素も原作を超えていると言っていいだろう。

 

 

影のほかに印象深かったのは、原作の再現度の高さ。「RE4」を振り返ってみると、体感では9割がた原作を再現していたと思う。ストーリーについては、大統領の娘を救うためにレオンがヨーロッパのへんぴな村に向かうという大筋は変わらない。展開に小さな違いこそあるが、基本的には原作「バイオハザード4」と同じ結末に収束していく。村から始まり、古城、孤島と物語の舞台が移っていく流れもそのままだ。

 

 

ゲーム的な要素でいえば、各マップの地形やアイテム、小ネタなどにも徹底的に再現されている。チャプター1でレオンが訪れる集落もそうだが、その奥の農場も地形はほとんどそのままで、ただ撃つと汚水に落ちて「(臭)」がついた状態になってしまうトレジャーも変わっていない。湖に面した桟橋で何回か発砲すると化け物に食われる即死イベントもあり、場所こそ違うが玉座にふんぞり返るネタもある。原作を知っている人ほど、再現された要素を懐かしんだり、アレンジ具合を確かめたりして楽しむこともできるだろう。

 

 

ただ、原作では特定のシーンで2つ必要だった専用アイテムがひとつに減ったり、イベントシーンでボタン操作を求められる「クイックタイムイベント」が通常の戦闘として組み込まれていたりと、遊びやすさにも配慮されている。ただのリメイクとしてではなく、再構築する際に現代向けとして最適化もされているのだ。

 

 

再現度の高さについてあれこれ書いたが、原作を遊ばずに本作から「バイオハザード4」を始めても問題はない。細かな展開こそ違ってもストーリーの大筋は同じであり、「RE4」自体は続編ではなくリメイクなので、前作の知識がなくても十分楽しめる。リメイクやアレンジされた部分については、あくまで知っているとニヤリとできるような小ネタの範ちゅうなので、わかればプラスにこそなるが、マイナスになることはない。むしろ、飛躍的に向上した技術や性能を使って表現された「バイオハザード4」を本作で初めて触れられることのほうが、個人的にはうらやましくもある。

 

体術にパリィを加えた、よりシビアで激しいアクション

 

 

ビハインドビューを採用している本作では、プレイヤーは武器を構えて自由に照準を定めることができる。頭や足を撃たれた敵はひるみ、こちらが近づくことで「メレー」という体術を使った追撃が可能。メレーは体術の総称のようで、回し蹴りやバックドロップ、一部ボスでの特殊な攻撃も同様にメレーと表記されている。

 

 

ゲームを始めるときに選んだ難易度やそのときの状況により、何発で敵がひるむのかはランダムで変わるが、銃撃で相手を怯ませ体術で追撃するのが本作の基本的なコンボになる。村人ひとりくらいならまず負けないうえ、2~3人が一度に襲ってきても体術で一網打尽にすることも可能。エージェントとして成長したレオンの腕前と自分のプレイイングがリンクしているような一体感を得られるだけでなく、並みいる敵を蹴散らしていく爽快感も味わえる。

 

本作の戦闘ではナイフの存在も欠かせない。これで敵の顔や足を斬りつけても、銃を撃った際と同様に体術につなげられる。とくに原作の「バイオハザード4」ではナイフは屈指の性能を持つ武器だったが、「RE4」ではその強みをほぼ受け継ぎつつ、相手の攻撃に対してタイミングよく構えることで「パリィ」が発動するようになった。パリィとは敵の攻撃を受け流す技で、成功すればダメージを受けずに済む便利な技だ。ほかにも、倒れた敵への追撃や、こちらに気付いていない敵に対する「ステルスキル」にも応用できる。

 

 

ナイフの使い道が増えたことで、攻撃や防御、反撃がスムーズにできるようになり、戦闘のテンポはとてもいい。銃撃と体術を織り交ぜながら敵を倒していき、不意打ちを受けそうになったらナイフによるパリィで受け流して反撃に出る、というスタイリッシュな戦闘もこなせるため、腕前が上がると戦い自体が楽しくなっていく。2023年4月7日には、敵を倒してスコアを稼ぐコンテンツ「ザ・マーセナリーズ」が配信予定なので、遊ぶ予定の人はなおさら「RE4」の戦闘に慣れておくといいかもしれない。

 

耐久値や新アイテムの導入でリソース管理もより刺激的に

 

 

銃撃に加えて体術やナイフという方法もあることで、より多くの敵を倒せるのが「RE4」の特徴だ。出てきた敵をすべて倒して進むというスタイルは、原作にもあったが、本作ではナイフにも耐久値が設定され、弾薬同様にシビアなアイテム管理というサバイバル要素も加えられている。

 

 

原作のナイフは無制限に使えたため、弾薬が尽きた際の奥の手という意味合いもあった。とはいえ、慣れてくるとナイフと体術だけでザコ敵やボスを倒せるようになり、枯渇させないように備蓄していたはずの弾薬がいつの間にかあふれることも。敵を圧倒するのは楽しい半面、サバイバル要素がやや薄れていると感じていた。

 

「RE4」では、そのナイフに耐久値がついた。敵に攻撃を当てたり、拘束から抜け出す際などに使うと耐久値を表すゲージが徐々に減っていき、ゼロになると折れてしまう。すでに書いたように、本作のナイフは攻撃にも防御にも使える便利な代物だが、その代償もあるわけだ。

 

これによってプレイヤーは敵を攻撃や体術にコンボをつなげる際、ナイフの耐久値と弾薬のうち、どちらかを消費しなくてはならないようになり、常にアイテム管理の選択を迫られる。ナイフをさらに強化しつつ耐久値を設ける采配は絶妙で、強みを打ち消すことなく弱みを設定できているように感じた。

 

 

各地で装備品の売買をしている武器商人と取り引きすれば、初期から持っているナイフに限って修理することもできる。とはいえ修理にはお金がいるため、ここでもアイテム管理が欠かせない。物語を進めていくと手に入るボディアーマーも耐久値を消耗するタイプなので、前述のナイフと合わせ、よりバランスはシビアになっていく。新しい武器の入手・改造や、回復アイテムである救急スプレーの購入に充てる分との兼ね合いで頭を悩ませるのは、原作にはなかった新鮮な経験だった。

 

 

アイテム管理により緊張感をもたらしている要素でいうと、弾薬のクラフトもあげられる。道中や武器商人から手に入る「ガンパウダー」や「素材S」といった特定のアイテムを組み合わせることで、プレイヤーはハンドガンやショットガン、スナイパーライフルなどの弾を自由に作ることができる。

 

一見すると弾薬のやりくりが簡単になるだけに思えるが、本作ではそのクラフトに必要な「ガンパウダー」や「素材S」などは、アタッシェケースに収納しなくてはならない。ナイフの耐久値や弾薬の残りを気にするのとはまた違った、スペースをいかに活用するかという戦略性も楽しめる。

 

 

弾薬に余裕があるなら、不足した分を補えるよう素材を温存しておきたくなるが、放っておくとあっという間にアタッシェケースが埋まってしまう。しかしスペースを作ろうと安易に弾薬を作ると、今度はほかの弾薬がしばらく作れなくなる。その作らなかった弾のせいで火力が足りず、倒しきれなかった相手に反撃されてゲームオーバーなるかもしれない。リスクとリターンを秤にかけた、そうしたひりつくようなせめぎ合いが楽しい。限りある資源やスペースを生かさなくてはならない点では難しいが、代わりにそれらを使いこなして次々と修羅場をくぐり抜けていく緊張感と達成感は、「RE4」ならではだ。

 

 

本編のボリュームはたっぷりながら、やり込み&周回要素も充実

 

 

筆者が難易度「STANDARD」でクリアにかかった時間は、16時間ほど。体感では原作の「バイオハザード4」と比べても中身の濃さは負けていなかった。それに加えて、本作には初心者向けの「ASSISTED」、原作をやり込んだ人向けの「HARDCORE」、極限の難しさを求める人に向けた「PROFESSIONAL」といった4つの難易度が用意されている。それぞれを周回するだけでも最低4回は本編を楽しめるため、ちょっとしたRPGにも負けないくらいのボリュームだ。

 

 

HARDCORE以上の難易度になると、敵が明らかに攻撃的になるだけでなく、こちらの攻撃にもひるみにくくなる。さらに一部の謎解きの配置や答えも変化。戦闘だけでなくギミック面も変化しているため、新鮮な気持ちで周回でき、作業感もあまり感じない。さらに謎解きがあるゲームにはよくある話だが、答えを知っていれば手がかりを集めるくだりを丸々スキップできるので、「RE4」でも同様にショートカットできるような場所を探す楽しみもある。

 

 

さらに特定の難易度を高評価でクリアすると、特別なコスチュームや武器が入手できるようになる。特典を使ってASSISTEDの敵を相手に無双するのもいいし、特典のみでPROFESSIONALに挑むなどの縛りプレイをするのもいい。セーブデータを引き継いで周回プレイをする際、以前とは違う難易度を選べるようにもなっているので、ゲームが苦手な人は、ASSISTEDで初めて徐々に慣れていくとともに武器を整えて、周回するごとに難易度を上げていくという選択肢も取れる。

 

ナイフの耐久値や弾薬のクラフト機能でオリジナル以上のサバイバル要素を実現しているいっぽう、ストーリーや各マップの地形はアレンジを交えながらも原作を忠実に再現しており、「RE4」は原作のよさと現代向けのアップグレードを絶妙なバランスで成り立たせている。その完成度はきわめて高く、原作「バイオハザード4」をやり込んだファンはもちろん、今回から同作を初めて遊ぶ人にもオススメできる1作だ。

 

(文・夏無内好)

【商品情報】

■バイオハザード RE:4

・発売機種:PlayStation5、Playstation4、Xbox Series X|S、PC

・販売価格:

各機種で発売:ダウンロード 通常版:7,990円(税込)

ダウンロード デラックス エディション:8,990円(税込)

PlayStation5、PlayStation4のみ発売:

パッケージ 通常版:8,789円(税込)

・プレイ人数:1人

・好評発売中

・CEROレーティング:Z(18才以上のみ対象)

 

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