美しき魔女ベヨネッタが8年ぶりに堂々降臨! 「ベヨネッタ3」プレイレビュー

2022年11月07日 19:290

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2022年10月28日、任天堂からNintendo Switchソフト「ベヨネッタ3」がついに発売となった。シリーズ3作目となる本作の発売を心待ちにしていたファンの方も多いのではないだろうか。今回は、そんな「ベヨネッタ3」について実際にプレイしたファーストインプレッションをお届けしたい。なお、筆者は本作がベヨネッタシリーズ初プレイとなる。そのため、これまでのシリーズとの比較などはできず、また、シリーズ初体験のプレイヤー目線の内容が多くなることをあらかじめご留意いただきたい。

美しく残酷な魔女ベヨネッタが世界消滅の危機に立ち向かう! 渋谷や新宿など、現代の東京も戦いの舞台に!


「ベヨネッタ3」は、プラチナゲームズが開発を手がけるアクションゲームシリーズ「ベヨネッタ」の最新作だ。シリーズ1作目「ベヨネッタ」は2009年発売(発売元:セガ)、2作目の「ベヨネッタ2」は2014年発売(発売元:任天堂)となっており、13年もの歴史を持つ人気シリーズである。


主人公である魔女・ベヨネッタの圧倒的な存在感、映画のクライマックスシーンが連続するような、息をつく暇もないド迫力のバトル、そして直感的な操作で楽しめるハイクオリティな3Dアクションなど、数々の特徴を持つ「ベヨネッタ」シリーズは、そのあふれる魅力で世界中のゲーマーを魅了し続ける“∞(ノンストップ)クライマックス・アクション”である。筆者のようにシリーズ未プレイであっても、「ベヨネッタ」というゲームの名と、眼鏡をかけたクールで美しい主人公のことは知っているという人は多いのではないだろうか。



前作「ベヨネッタ2」から実に8年ぶりのナンバリング最新作となる「ベヨネッタ3」。まずは、そのあらすじから紹介していこう。

物語の始まりの舞台は、崩壊したニューヨーク。あらゆる文明が破壊され、すべての人類が死に絶えたその世界で、ベヨネッタは、悪魔とも天使ともつかない未知の敵・ホムンクルスとの熾烈な戦いを繰り広げていた。そして激闘の末に、ついに精根尽き果てたベヨネッタは、満身創痍で人類最後の希望を込めた弾丸を撃ち放つ……。



舞台は変わり、再びニューヨーク。先ほどまでの絶望的な光景は跡形もなく消え、そこは青空の下に摩天楼がそびえ、人々の活気があふれる普段どおりのニューヨークである。その街で、自由気ままな生活を送るベヨネッタのもとに、ある日、ひとりの少女――新米魔女のヴィオラが現れる。謎の存在「シンギュラリティ」がホムンクルスを率いて並行世界を次々に襲い、世界の消滅を図っていると訴えるヴィオラは、この未曾有の危機に立ち向かうため、“この世界” のベヨネッタに助けを求めにきたのだった……。



本作のストーリーのキーとなる「並行世界(マルチバース)」とは、多元宇宙のことであり、我々が今いる宇宙だけでなく別に、また無数に、宇宙が並行して存在するかも知れないという仮説で、昨今のSF小説や映画、アニメなどでもよく取り上げられるテーマである。本作のストーリーで言えば、最初に登場した“崩壊した世界の精根尽き果てたベヨネッタ”と、次に登場する“ニューヨークで優雅に暮らすベヨネッタ”は、異なる次元の存在ということだ。天界や魔界など、ファンタジー要素のある世界観に、マルチバースというSF的な世界観が加わった「ベヨネッタ3」は、その壮大なスケールの物語も大きな魅力となっている。



本作の物語は、ベヨネッタやヴィオラが、ほかの次元の宇宙にある世界へと移動を行いながら進んでいく。物語が進むたびに、新たな武器や新システムなどが解放され、できることの幅が広がっていく仕組みとなっており、また、各ステージはチャプターごとに区切られている。


ベヨネッタたちが訪れる並行世界は、現実の世界がモチーフとなっており、なかには現代の日本が舞台となっているステージも存在する。渋谷や新宿、雷門など、見覚えのあるなじみ深い景色の中で、ベヨネッタが華麗かつダイナミックに敵をなぎ倒していく光景は、不思議なワクワク感があり面白い。ちなみに、山手線と思しき電車の車内で、敵の軍勢相手に大立ち回りをするような場面も存在する。車内の電光ディスプレイや流れる車内アナウンスも含めてリアリティのある作りになっており、必見だ。



日本以外にも、本作でベヨネッタたちは人間界のさまざまな場所へとおもむく。ホムンクルスに襲われて各地が大混乱状態になっていることを置いておけば、その展開は、さながら“旅”のようであり、「次はどんな場所を旅するんだろう」というワクワク感をプレイヤーに与えてくれる。これもまた、「ベヨネッタ3」ならではの大きな魅力だと言えるだろう。


“別の並行世界”のベヨネッタも登場!? 駆け出しの魔女・ヴィオラによるひと味違ったバトルも見逃せない!


本作の物語と世界観を紹介したところで、キャラクターについても触れていこう。


本作の主人公は、言わずもがなの「ベヨネッタ」である。より正確に言うならば、「ニューヨークで優雅に暮らしていた世界線のベヨネッタ」と言ったところか。

ベヨネッタは、光の力を操る「ルーメンの賢者」と、闇の力を操る「アンブラの魔女」との間に生まれた禁忌の子だ。数百年の時を越えて現代に生きる魔女のベヨネッタは、一族に伝わる強力無比な魔導術を操り、華麗に敵を殲滅していく。その圧倒的な存在感と、セクシーでサディスティックなキャラクター性は、筆者のようなシリーズ初プレイの人間もあっという間に魅了する。



本作は先述のとおり、さまざまな並行世界を旅する物語となっているため、各地で「別の並行世界の自分」であるベヨネッタに遭遇する点も見どころだ。ヘアースタイルや服装など、それぞれが異なる見た目でありながら、トレードマークの眼鏡であったり性格であったりは、まごうことなく“ベヨネッタ”である点が面白く、まだ見ぬ次元のベヨネッタについつい思いをはせてしまう。



本作から登場する新キャラクターのヴィオラは、パンクファッションに身を包んだ駆け出しの魔女だ。


背中の日本刀を武器に戦い、魔導術も操るが、その能力は未熟で戦士としては半人前。明朗快活で裏表がない元気そのものといった性格で、大好きなアニメ「トーチャー・キャッツ」のキャラクターがプリントされたTシャツがお気に入りだ。


本作には、そんな駆け出しの魔女であるヴィオラを操作するパートもあり、愛用の日本刀「魔舞太刀(まぶだち)」と魔獣・チェシャを召喚して戦いを繰り広げる。ベヨネッタとはひと味違うバトルを楽しめるヴィオラの存在も、本作を語るうえでは欠かせないポイントとなっている。



ジャンヌ、ロダン、ルカ、エンツォといったベヨネッタシリーズではおなじみのキャラクターたちも登場する。シリーズ経験者にとっては今さら説明するまでもない面々だが、筆者のようにシリーズに初めて触れるプレイヤーも、彼らがどういった存在でありベヨネッタとどういった関係であるかについては、物語を進めていくとおのずとわかってくるほか、ゲーム内のアーカイブの「登場人物回顧録」から情報を閲覧することもできるので安心してほしい。



爽快感あふれるバトルを徹底解剖! 巨大な魔獣を召喚する「デーモン・スレイブ」のスケールは必見!


本項では、「ベヨネッタ3」のバトルについて紹介していきたい。


ベヨネッタシリーズの最大の特徴は、直感的な操作で大迫力のバトルが楽しめる「∞(ノンストップ)クライマックス・アクション」である。ステージを移動しながらシームレスに戦闘が始まり、並みいる敵の軍勢や巨大な敵をスタイリッシュに殲滅していくベヨネッタシリーズのバトルは、見ているだけでも爽快感を感じられるほどだが、そんな本作のバトルの代名詞とも言えるのが「ウィッチタイム」だ。シリーズプレイ経験者には言うまでもない要素かもしれないが、ここで改めて説明をしておこう。


ウィッチタイムとは、敵の攻撃をタイミングよく回避することで発動する護身魔導術で、周囲の敵の動きが一定時間遅くなる効果がある。


ちなみに、実はこれ、周囲の時の流れが遅く見えるほどベヨネッタが“超加速”している、という点は補足しておきたい。このウィッチタイムを駆使することで、敵に一方的に連続攻撃をお見舞いできるほか、発動までに時間を要する技も危なげなく使うことができるため、本作のバトル攻略には欠かせない要素となっている。


「敵の攻撃を食らうかもしれない」というリスクと、「一方的に反撃ができる」というリターンが得られるこのウィッチタイムは、スリルと爽快感を同時にプレイヤーに与えてくれる、非常にすぐれたバトルシステムだ。さらに本作では、攻撃をギリギリまで引き付けてウィッチタイムを発動すると通常より長い時間の加速が得られるため、よりスリリングなバトルが楽しめる。



「武器」の要素も、本作のバトルを語るうえでは欠かせない。
魔界の名工ロダンが制作した4丁拳銃「カラーマイワールド」をはじめ、魔獣ゴモラの生体組織を用いて造られた巨大なアンチマテリアルライフル「ジー・ピラー」、4つで1組のヨーヨー風の武器「イグニスアラネアヨーヨー」など、本作にはバラエティ豊かな武器が多数用意されている。

操作感や威力などの特徴だけではなく、武器に紐づく特殊アクション「デーモン・マスカレイド」も武器によって異なるため、戦闘時のみならず、探索時にも状況を見ながら武器を使い分けていく必要がある。性能や手触りこそ違うものの、どの武器も「使っていて気持ちがいい」という点では共通しており、新しい武器が手に入るたびにプレイヤーに新鮮なワクワク感を与えてくれる。



本作の目玉と言える新たな要素が「デーモン・スレイブ」だ。これは、魔力を消費して、みずからの髪の毛を触媒に召喚した魔獣を、ベヨネッタが直接操作することができるという魔導術だ。装備している3体の魔獣の中から1体を召喚し、魔力ゲージが尽きるまでの間、自由に操作して敵を攻撃することが可能となっており、そのスケールと破壊力は圧巻のひと言。

ただ、巨大な敵や固い敵に対して非常に有効だが、魔獣召喚中はベヨネッタ自身が無防備になってしまう点は注意が必要だ。ここにも、ウィッチタイムと同じく“リスク&リターン”が効いている。ちなみに、デーモン・スレイブのこのリスクは、「ウィッチタイム中に召喚を行う」ことである程度軽減することが可能となっており、バトルシステム同士がうまく噛み合った作りとなっていることが見て取れる。



デーモン・スレイブで呼び出せる魔獣は、闇と暴虐の淑女「マダム・バタフライ」をはじめ、魔界の森に生息する竜のような怪物「ゴモラ」、怨霊を宿して悪魔化した武装機関車「戦闘機関車 轟怨(ごうおん)」などさまざまな種類が存在し、攻撃方法や性能がそれぞれ異なる。たとえばゴモラは動きが遅いが威力の高い攻撃を繰り出すことができ、マダム・バタフライは強力な投げキッスを放ち、敵を一定時間行動不能にする、といった具合だ。ゲーム内で見られるアーカイブでは、魔獣たちの紹介が、どこか懐かしさを感じる怪獣図鑑風に描かれており、こちらも必見となっている。



武器の紹介の際に触れた「デーモン・マスカレイド」も、本作からの新要素。デーモン・スレイブが魔界から召喚した魔獣そのものを自在に操る技なのに対し、武器に宿った魔獣の魂でベヨネッタの姿を変化させるのが、デーモン・マスカレイドだ。外見が変わるだけでなく、蝶の羽で空をふわふわ浮遊したり、蜘蛛の糸をフックショットのように使ってスイング移動したりと、特殊なアクションが行える。これは戦闘以外でも使用可能となっているため、マップの探索時などにも重宝する。このデーモン・マスカレイドも、デーモン・スレイブ同様、本作のバトルや探索を奥深いものにしている。



ココがスゴい!「ベヨネッタ3」の筆者的推しポイント


さて、ここからは、本作における「筆者的推しポイント」を紹介していこう。


1、バトルに詰め込まれたさまざまな種類の「爽快感」


とにもかくにも、筆者の感じた本作最大の魅力はこれである。

「バトルでの爽快感」とひと言で言っても、その種類はさまざまだ。たとえば、スピーディーに動き回り華麗に敵を撃破していく爽快感、敵の攻撃をすんでのところで巧みに回避する爽快感、無敵状態中に一方的に敵に連続攻撃を繰り出していく爽快感、重たい一撃を敵に思いっきりお見舞いする爽快感……。本作「ベヨネッタ3」には、そんな思いつくかぎりの種類の“爽快感”がこれでもかとばかりに盛り込まれている。なにに爽快感を感じるかというのは人それぞれだが、本作をプレイすれば、誰でもひとつは「あっ、これ気持ちいい!」という、自分の“爽快感のツボ”を発見できることだろう。



しかも、この爽快感あふれるバトルを手軽な操作で楽しめるというのもポイントだ。武器操作も魔獣操作も、基本的には殴るボタンと蹴るボタンを連打し組み合わせるだけで、簡単にコンボを繰り出すことが可能となっている。射撃ボタンによる遠隔攻撃も、手軽でありながら使い勝手がよく気持ちがいい。全体的に複雑なコマンド入力はないので、その豪快で骨太なアクションの見た目とは裏腹に、想像以上に手軽な操作で楽しめる作りとなっているのは、間違いなく本作の推しポイントと言えるだろう。


さらに、より手軽にサクサク遊びたいプレイヤーや、シナリオを楽しみたいプレイヤー向けに、「CASUAL」という難易度設定も存在している。逆に、腕に自信があるプレイヤーには歯ごたえのあるバトルに挑める「EXPERT」難易度も用意されているので、幅広いプレイヤー層が遊べる点もうれしいポイントだ。



2、ゲーム全編に詰め込まれた数々の「遊び」と「驚き」


本作は一般的なジャンルで分類するならば、言わずもがな、3Dアクションゲームである。しかし、ゲーム内には時おり、そのジャンルの壁を軽々と超えた “遊び”の要素がプレイヤーの目の前に現れる。


そのひとつが、ジャンヌを操作するサイドチャプターだ。このチャプターではこれまでの3Dアクションとは一転し、横スクロールアクションゲームが始まる。エレベーターを操作してフロアを進み、扉や通気孔に隠れて敵をやり過ごしつつ先に進み、ときには死角から敵にステルスキルを決める。クラシックゲームを連想させるそのユニークな展開は、もはや“別ゲー”をプレイしているようで、新鮮で刺激的だ。



ほかにも、巨大な魔獣ゴモラに乗って障害物を避けながら都市をスライダーのように滑っていくシーンや、相手の行動に目を光らせながら「打撃」「ガード」「投げ」の三すくみのアクションを繰り出していく巨獣同士のボスバトルなど、ゲーム性がガラリと変わる場面が本作には多数登場する。これら“遊び”の要素が、常にプレイヤーに“驚き”を供給し、本作のゲームプレイを刺激に満ちたものにしていると筆者は感じた。



「ベヨネッタ3」では息をつく暇もない刺激的なゲーム体験があなたを待っている


というわけで、「ベヨネッタ3」のファーストインプレッションをお届けした。


先述のとおり、筆者は本作がベヨネッタシリーズ初プレイだったが、本作をプレイするまでは、その骨太なアクション性や個性の強いキャラクター、濃厚な世界観などから「なんとなく難しそうで、ちょっと近寄りがたい」という印象を、正直なところ持っていた。しかし今回、実際にプレイしてみたところ、本作は想像していたのと真逆をいく遊びやすさを持ち、さらに、幅広い層のゲーマーを迎え入れてくれる間口の広い作品であると実感した。


筆者のようにシリーズにまだ触れたことがないという方も、少しでも興味があるならばためらうことなく、この「ベヨネッタ3」からベヨネッタシリーズの世界に飛び込んでみていただきたい。息をつく暇もないほど刺激に満ちあふれたゲーム体験が、きっとあなたを待っているはずだ。

筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)、「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)など。
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