異世界で生配信!? コメントさばきが重要な新感覚ダンジョンRPG「●LIVE IN DUNGEON」ゲームレビュー

2022年02月26日 12:000

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屋外でライブ配信をしている人に出会ったことはありますか? 筆者は、ある日ぼんやりと配信サイトを眺めていた時に、近所の商店街でライブ配信をしている最中の外国人のストリーマーの放送を見つけてビックリした経験があります。というわけで、ご紹介する「●LIVE IN DUNGEON」は、そんなライブ配信がテーマとなっている作品です。



「●LIVE IN DUNGEON」は、配信技術だけが発達した特殊な異世界「ワンダルシア」を舞台に繰り広げられる、1人称視点の3DダンジョンRPGです。

このワンダルシアでプレイヤーは駆け出しの異世界配信者となって、相棒の黒猫とともにダンジョン探索を進めていくこととなります。ファンタジーRPGの主人公と言えば、「世界を救うために冒険する勇者」が定番ですが、本作の主人公は勇者でも戦士でもないただの配信者であり、しかも冒険の動機も「生配信をして『いいね!』をたくさんもらうため」というもの。異世界モノながらなんとも現代感覚でユニークな世界観に、さっそく心をわしづかみにされてしまった筆者です。



ゲームをスタートするとさっそく最初のダンジョンの攻略が始まります。前後左右に移動してマップを探索していく、オーソドックスなスタイルの3DダンジョンRPGなのですが、突如、画面右側に「初見です!」という謎のセリフが表示されました。これは何を隠そう、視聴者からの「コメント」。というのも、プレイヤーはただダンジョンを攻略しているのではなく、その模様を絶賛ライブ配信中なのです。

 

その証拠に、画面の左上には「●LIVE」(生放送中)の表示が。これこそ、本作のタイトルである「●LIVE IN DUNGEON」の由来です。ちなみに本作、操作方法や遊び方を教えてくれるチュートリアル的なものについて、この「コメント」が教えてくれる形になっています。右も左もわからない駆け出し配信者に視聴者がコメントであれこれ教えてくれるという、「配信あるある」な風景を再現したこの演出は、世界観に見事にマッチしていて、プレイヤーの心をグッとひきつけます。



さて、視聴者からコメントが来たら配信者は何をするべきでしょうか。その答えは、「コメ返」こと、コメント返し。プレイヤーは「↑」「↓」「←」「→」のマークが付いたコメントには、対応するキーを押すことで返事をすることができるのです。と言っても、文字を打ったりしゃべったりしてコメントを返すわけではなく、表示される選択肢の中からひとつを選ぶというテキストアドベンチャーゲームのようなスタイル。よりよい選択肢を選べば、「いいね!」がたくさんもらえます。



ちなみに、画面下部に表示されている主人公のステータスですが、攻撃力や守備力といったRPGならではの要素にまぎれて、フォロワー数といいね!数が表示されていたりします。実はこの「いいね!」数、ある意味では攻撃力や防御力よりも大切なステータスだったりするのですが……詳細はのちほど説明しましょう。



RPGと言えば避けて通れないのが敵とのバトル。本作では、ボス戦以外は、ダンジョン探索中に一定の確率で敵と遭遇するランダムエンカウント形式が採用されています。バトルはRPGではおなじみのコマンド選択方式ですが、リアルタイムで進行していくため、モタモタしていると敵からどんどん攻撃を受けてあっという間に敗北してしまいます。それなら相手が攻撃してくるよりも早く、連続でガンガン攻撃コマンドを実行すればいいのでは……と思いきや、プレイヤーのアクション後には必ずクールタイムが発生するため、連続で行動をすることはできません。



そこでキーとなるのが、視聴者からのコメントです。
凶暴な見た目の敵とのバトル中とは言え、絶賛ライブ配信中なので、視聴者からはガンガンコメントが飛んできます。それらのコメントに適切に「コメ返」をすることで、コマンドを使用するまでのクールタイムが短縮されるんです。



ただボーッと自分の次の手番を待つのではなく、視聴者からのコメントにバシバシ返事をして再行動までの時間を縮めることが本作攻略の大きなカギ。敵と視聴者の両方をさばいていく必要があるため「攻撃! コメ返! コメ返! コメ返! 必殺技!」というように、バトルはかなり忙しいものになりますが、この忙しさこそが本作最大の醍醐味(だいごみ)です。コメントに気をとられるあまり、気づいたらやられていた、なんてこともついつい起きてしまいますが、「自分の命よりも視聴者へのコメ返を優先した神対応配信者」として、プレイヤーの名は後世に語り継がれていく……かもしれません。



さらに、ゲームが進むと、スパチャ……ではなくスパコメこと「スーパーコメント」というシステムが解放されます。これは、バトル中に一定時間経過すると使用可能になるスペシャルなコメントで、視聴者に「攻撃、回復、強化」のいずれかを直接お願いできるというもの。バトルでピンチに陥ってもスパコメをお願いすれば戦況を逆転させることも可能で、配信における「視聴者の力」の大きさをこれでもかと感じさせられます。なるほど、現実世界においてスパチャで視聴者からお金を贈られるということは、RPG的な視点で考えると、視聴者から攻撃力増強や体力回復にあたる“力”を贈られているのに等しいと言えるのかもしれません。



本作はRPGでありながら、レベルの概念が存在しません。プレイヤーは新しいエリアに進むたびに増える武器や防具、戦闘時に使えるスキルを購入することで、パワーアップをしていくこととなります。たいていのRPGでは、ショップで装備品を購入するためにはお金を用いると思いますが、本作で用いる通貨は、なんと「いいね!」。そう、ここで視聴者へのコメ返で稼いだ「いいね!」が効いてきます。

「いいね!」を消費してアイテムを買うという、あまりに斬新すぎる経済システムには驚がくの一言ですが、そもそも本作はとにかく「配信」を中心にすべてが回っている世界。ダンジョンで出会ったほかの冒険者からは「俺のフォロワー数を超えたらアイテムをやるよ」と言われたり、建造物やキノコなど気になるオブジェクトを調べたら、主人公が必ず「視聴者に喜んでもらえそうだ」と考えたりと、ほかのRPGではまず見かけることがなさそうなイベントの数々が、プレイヤーを常に楽しませてくれます。



先述のとおり本作にはレベルの概念がありませんが、パーティーという概念もありません。主人公は常にひとりで探索し、ひとりで戦うこととなるのですが、しかし、配信を見に来てくれる視聴者の存在と、彼らからのコメントや応援によって、プレイヤーはまるで大勢のパーティーを引き連れて冒険しているような不思議な感覚を味わいます。特に、ボス戦での嵐のようなコメントの数は必見。「俺はひとりじゃない! 俺にはたくさんの仲間がついているんだ!」という、物語の主人公気分を存分に体験できることでしょう。



ライブ配信とダンジョンRPGという、一見まるで結びつかなそうな2つの要素が絶妙に融合し、唯一無二のゲームとして完成された「●LIVE IN DUNGEON」。なにか新しいゲームで遊んでみたいという方にはぜひプレイしてほしい、オススメのタイトルです。



  • 「●LIVE IN DUNGEON」」(Heaviside Creations)
  • ジャンル:RPG
  • 2021年6月5日発売
  • 価格:980円(2022年2月9日時点)
  • コピーライト:(C) 2021 Heaviside Creations
筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)、「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)など。
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