流行を取り入れ千変万化! 新作登場でシリーズ35周年も盛り上がる「忍者じゃじゃ丸」の歴史を振り返る!【ゲーム、レジェンド語り!第2回】

2020年03月28日 17:000

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「忍者じゃじゃ丸くん」シリーズは、ユニークな運命をたどっているタイトルである。1985年にジャレコよりファミリーコンピュータ用ゲーム「忍者じゃじゃ丸くん」の主人公として登場したじゃじゃ丸くんは、当初こそUPLのアーケードゲーム「忍者くん 魔城の冒険」の主人公・忍者くんの弟(「忍者じゃじゃ丸くん」説明書3pより)という設定があったものの、その後はアクションからコマンドRPGまで多彩すぎるジャンルで縦横無尽に大活躍。2019年12月12日には、シティコネクションより最新作であるNintendo Switch用ソフト「忍者じゃじゃ丸 コレクション」が発売された。

今回は、今年で無事に35周年を迎えた「じゃじゃ丸くん」シリーズを、「忍者じゃじゃ丸 コレクション」を通して振り返ってみよう。

 

 

元気な忍者・じゃじゃ丸くんが活躍する『忍者じゃじゃ丸くん』

さて、今回コレクションが発売された「じゃじゃ丸くん」シリーズであるが、主人公が“他社のゲームの弟”として誕生したゲームというのはほかにあまり例がない。1984年からUPLが健在だった1992年までは「忍者くん」とジャレコの「じゃじゃ丸くん」が平行して展開。兄弟それぞれが別のメーカーのゲームの主人公として活躍していたという、なかなかレアなケースと言えるだろう。

 

 

「忍者じゃじゃ丸くん」のじゃじゃ丸くんは、妖怪たちにさらわれたさくら姫を助けるべく戦う。

手裏剣とジャンプ、体当たりを武器とするあたりは、兄が登場する別ゲーム「忍者くん 魔城の冒険」と似ているが、その立ち回りは大きく異なる。ステージは縦長ではなく横長になっているのに加えて、じゃじゃ丸くんは足元に床があると自由に下の階層に降りられない。たくさんの敵と同じ階層で鉢合わせてしまうと、すぐに逃げられず撃ち負ける可能性が高いし、下の階層に手頃な敵がいても、飛び降りて体当たりすることができない。そして、自由に下に降りられないのは妖怪どもも同様である。つまり、上下の位置関係については、ある意味「忍者くん 魔城の冒険」よりもシビアな管理を求められるわけだ。そのいっぽう、頭突きで破壊できる床からはさまざまなアイテムが出現し、派手な展開を楽しめる。敵をひけるトロッコ、無敵化する薬、取ると死ぬ(!)爆弾など、その効果はさまざまだ。

なかでも、小さな忍者「小丸くん」や特定のアイテムを揃えると登場する「ガマパックン」は強烈で、一定時間巨大ガマを操作し、妖怪どもを食べてしまえる。これぞ忍術という爽快さだ。つまり本作は「忍者くん 魔城の冒険」の雰囲気を受け継ぎつつ、自由に下へ降りられない制限と、運がよければ一気にクリアできる強力なアイテムによって、よりわかりやすいゲーム性を提示したというわけである。こうした面が評価されたのだろうか、「じゃじゃ丸くん」はシリーズ化することとなった。

 

 

 

翌1986年の「じゃじゃ丸の大冒険」は、派手なパワーアップ要素は存続しているものの、ゴールへとたどり着くことを目的とした面クリア型横スクロールアクションゲームになっている。妖怪とのバトルを主眼に据えた前作とはなる内容となっており、これは大きな変化と言えるだろう。もちろん敵を食べてしまうガマパックンも続投し、ここにじゃじゃ丸くんのよき相棒としての地位を確立した。
敵の種類も増えており、なかでも「虚無僧」「カミナリパンツ」「ザビエル」「らしゃ面」ら四天王との対決は迫力満点だ。ここでは空中にいる四天王を、じゃじゃ丸くんが上に放つ手裏剣で狙い撃つ、シューティングゲーム的なシステムに。爆弾や雷、鎌に火炎といった敵の攻撃をかいくぐって戦うさまは正に忍法合戦の趣がある。なまず太夫との戦いでは、ガマパックンに乗った状態で戦う。通常ならステージ内に隠されているのを見つけ出さなければならないガマパックンも、ここでばかりは最初から登場しているというわけで、決戦にふさわしい盛り上がりがあるのだ。

 

 

 

 

1988年の「じゃじゃ丸忍法帳」では、なんとRPGになった。敵はこれまで同様の妖怪だが、戦闘はコマンド式+ターン制。当時のRPGは剣と魔法の西洋的世界が舞台となっているものが一般的だったが、本作では諸要素を和の「じゃじゃ丸くん」世界にふさわしくアレンジされている。

いたこばあさんから「お祈り」を聞いて状態を記録し、魔法ではなく不思議な「忍術」を使う……と、和のRPGとでもいうべき作品になっているのだ。

本作においてじゃじゃ丸くんは多彩な忍術を使用。「わらかしの術」で敵を笑わせて行動不能にしたり、「てきむすびの術」で敵をおむすびに変えたりといったコミカルなものから、雷を落とす「いかづちの術」や、雪で攻撃する「ゆきつぶての術」など迫力のあるものまで多種多様。こうした忍術はテキストで描写されており、プレイヤーの想像力を刺激すると同時に、いろいろな忍術で敵を翻弄する、じゃじゃ丸の忍者としての側面をより強調している。

相棒をつとめるのは、なんとさくら姫。回復・サポートの忍術や弓矢で戦う戦闘メンバーとなった。これまでの助けを待つだけの「さらわれ役」から脱却し、みずからがじゃじゃ丸くんを助けるようになったのは大きな変化だ。複数の仲間が協力する姿を描くのに適したRPGならではの“最強タッグ”と言えるだろう。

同時に、ビジュアル面の強化も見逃せない。これまで頭巾だったじゃじゃ丸は、ワイルドヘアーをなびかせた快男児に。そして、さくら姫も旧作のイラストで見られたはかなげなたたずまいとは打って変わり、元気で頼もしげな姿となっている。いい意味での児童漫画的な趣があり、「じゃじゃ丸くん」世界のイメージがふくらんだという人も多いのではないだろうか。宿敵だった「なまず太夫」も仲間となり、潜水艦を操縦して活躍。彼の力を借りて広い海原を探検する際のワクワク感は、古きよきRPG的と言えるだろう。

全四章構成で、一~三章は自由に選択でき、章をクリアするたびにレベルなどが初期化される。少ない収入をやりくりして宿代や装備代を捻出し、1回のレベルアップで着実に強くなっていく序盤の感覚を繰り返し味わえるあたりがユニークだ。

 

 

 

 

 

 

1990年の「じゃじゃ丸撃魔伝 幻の金魔城」は、打って変わってアクションRPGになった。「じゃじゃ丸は前作と同じシステムでは出さん!」というこだわりがジャレコにあったかどうかは不明だが、シリーズを初めて遊ぶ人にも入りやすいと言えるだろう。

 

フィールドは見下ろし型で、じゃじゃ丸の武器は分銅と、制限付きの手裏剣や爆弾。分銅は敵を攻撃するだけでなく、落ちたアイテムを回収することもできるあたりが忍者らしい。

敵を倒しても経験値が手に入ることはなく、お金がいらないならフィールド上の敵はスルーして進めてもよい。とはいえ、ダンジョン内には触れただけで入り口に戻されるという敵もいて、この辺りの難易度の付け方がファミコン時代ならでは。画面を切り替えた直後に敵の配置を判断し、走り抜けられるようならそのまま進み、そうでないなら一度戻って再配置させるのがポイントだ。敵を一定数倒すと体力が回復するのだが、薬を節約しようとしてダメージを食らってしまうこともしばしばあり、いい意味でゲームデザイナーの手のひらの上で踊らされている感覚がある。

マップの奥にはボスが待ち構えており、個性的な攻撃を仕掛けてくる。最終ボス「大魔獣」には面白い工夫がなされており、触手と胴体、頭部をそれぞれ別のボスとすることで、その巨大さを表現している。現代のように大きなキャラクターを扱えなかった、ファミコン時代ならではのアイデアと言えるだろう。

ボスを倒すと「霊術」が手に入り、土の中に潜る「土とんの術」や、火を放つ「火球の術」、分身を呼び出す「分身の術」など、忍者らしいアクションが可能になる。ユーモラスなのが「敵だんごの術」で、敵を団子に変えて体力を回復できる。前作の「てきむすびの術」もそうだが、敵を食べ物にしてしまう忍者というのは、いかにも児童漫画的で愉快だ。

なお、この年は4か月後にゲームボーイで「おいらじゃじゃ丸!世界大冒険」が発売され、手裏剣を真上に投げられるようになったじゃじゃ丸が活躍している。まさにじゃじゃ丸イヤーだった。

 

 

 

 

 

1991年には「忍者じゃじゃ丸~銀河大作戦~」が登場、ジャンルは「~忍法帳」に続いて横スクロールのジャンプアクションゲームになった。じゃじゃ丸とさくら姫は、ついに宇宙へ進出。舞台が宇宙だけに、登場するアイテムや術もメカニカルなものに。宇宙服「コスモスーツ」に身を固め、どう見ても機械な「ホバホバの術」で空を飛び、ロボットのような「メタル・ガマパックン」で敵を食べる「メカメカの術」などの「コスモ忍術」を駆使して冒険する。

時代劇からSFというのはかなりの変貌と言える。武器もおなじみの手裏剣からハンマーになっており、大胆なイメージチェンジを図った1作だ。

じゃじゃ丸はダッシュに、そしてもうひとりのプレイヤーキャラであるさくら姫はジャンプ力にすぐれており、ステージ内にあるパイプに入ると別の場所へ移動できる……というあたりは、“あの”国民的横スクロールアクションよろしく、パイプを見つけるたびに入れるかどうかを試してみたくなる。ファミコンの円熟期に発売されたタイトルだけにグラフィック表現にすぐれており、大きなじゃじゃ丸やさくら姫が躍動する様は見ていて楽しい。

独自のアイデアとして面白いのが「お助け魔獣」。ステージ内に出現するアルファベットのアイテムを揃えると、その種類に応じて4種の魔獣が出現。画面枠の外からアイテムを投げてプレイヤーをサポートしてくれる。スピードやジャンプ力が上がるなどその効果はさまざまだが、アルファベットが揃っていないと「失敗魔獣スカスカ」が登場。本当に何もしてくれないあたりがコミカルだ。

 

 

 

 

 

 

その後、シリーズは、じゃじゃ丸が3Dの回廊状となったステージを進む1997年の「忍者じゃじゃ丸くん 鬼斬忍法帖」(ハードはプレイステーションとセガサターン)で小休止。2004年の「じゃじゃ丸Jr.伝承記 ~ジャレコレもあり候~」(ゲームボーイアドバンス)、2011年の「忍者じゃじゃ丸くん」(携帯電話用ソーシャルアプリゲーム)、2013年の「忍者じゃじゃ丸くん さくら姫と火竜のひみつ」(ニンテンドー3DS)で復活と休止を繰り返し、ついに2019年に新作「じゃじゃ丸の妖怪大決戦」を含む「忍者じゃじゃ丸 コレクション」が発売されるに至った。

 

こうなると気になってくるのが「『じゃじゃ丸くん』らしさとは何か?」ということである。

ジャンルもアクションからコマンド式RPG、アクションRPGに横スクロールアクション、3Dアクションと移り変わり、舞台も基本的に時代劇を中心にしつつ、SFの作品も存在する。

つまるところ「『じゃじゃ丸くん』らしさ」というのは、「元気で強い忍者のじゃじゃ丸くんと、かわいいヒロインのさくら姫が登場すること」にあるのではないだろうか。じゃじゃ丸の姿は、頭巾姿から素顔をさらし、再び頭巾を被って分銅を装備、宇宙に出た際は宇宙服を着つつも頭巾は外さない……とさまざまに変化しているものの、彼が忍者であることは一貫している。忍者であることは、すぐれた身体能力や不思議な忍術による派手な活躍に、説明不要の説得力が出るということだ。だからこそ、シリーズは多彩な武器や要素を柔軟に取り入れられたのだろう。

 

 

そうした中で、「じゃじゃ丸くん」らしさとは?という問いかけにひとつの回答を提示しているのが、「忍者じゃじゃ丸 コレクション」に収録される新作「じゃじゃ丸の妖怪大決戦」だ。本作は初代「忍者じゃじゃ丸くん」のシステムを踏襲しつつ、スピーディーで派手な展開と、キャラクターのコレクションという現代的な要素を取り入れた点が特徴だ。

 

「忍者じゃじゃ丸くん」同様、階層型のステージにはびこる妖怪たちを退治していくのだが、本作は自由に下のフロアへ降りられるため、頭を踏みつけての奇襲がより重要となり、ゲーム展開がスリリングになっている。味方も敵もHP制で、攻撃を食らってもそうそう倒れないため、飛び道具の撃ち合いが熱い。どんどん出現する敵を連続で倒すとコンボボーナスが入る辺りはスピーディーで現代的だ。

 

 

アイテムは強烈な効果を発揮するものばかり。おなじみのトロッコやガマパックンはもちろんのこと、大量の水を放出したり、火炎バリアを展開したりといった忍術もあり、運よく強力なアイテムを引けば一気に攻略が楽になるあたりは、原点である「忍者じゃじゃ丸くん」っぽい。

必見なのが「ジャレコマーク」だ。取ると歴代ジャレコキャラクターに変身し、無敵状態で敵を一方的に攻撃できる。「シティコネクション」のクラリスカーはオイル缶を撃ち、「燃えろ!!プロ野球」のバッターはバントで敵をホームランするなど、ジャレコファンにはたまらないものがある。

 

 

 

そして魅力的なのが、さまざまな性能を持つキャラクターたちだ。本作では、じゃじゃ丸に加えて忍者の仲間たちが多数登場。毒手裏剣で敵をシビレさせる「紫じゃじゃ」、得点アイテム「金つぶ」を自動回収する「黄じゃじゃ」、バウンドする豆を放る「緑じゃじゃ」など、個性豊かである。特に印象的なのが、前述したゲームボーイ版のように多方向に苦無(くない)を投げる「桃じゃじゃ」。苦無は非常に射程が長いうえに壁も貫通して飛ぶため、安全地帯から敵を狙い撃つスナイパー的な戦法を採れるのが面白い。

さらに今回は妖怪たちも自機として使える。カクタンだと足は遅いが体力が非常に多いので強引に攻められるし、ピン坊は撃った目玉が跳ね回るため天井を崩してから上の階に撃ち込むのが有効だったりと、それぞれに立ち回りが異なるため、やり込みがいがある。

 

ゲームをプレイすると、入手した金つぶとタマシイが「ジャレコイン」に換金され、それを貯めると新キャラクターや新要素がアンロックされていくのだが、貯金箱が「じゃじゃ丸ポップコーン」(じゃじゃ丸の形をしたポップコーン販売機で、かつてゲームセンターや観光地などに設置されていた。頭巾はなぜか青色をしている)の形をしているあたり、もう本当にコアなジャレコ愛にあふれている。

たとえステージをクリアできなくても、手に入れた金つぶとタマシイはジャレコインに換金されるほか、使用可能キャラクターが解放されたり、歴代作の設定資料などアンロック要素が多いため、再挑戦へのモチベーションも高まるというものだ。

 

 

 

 

 

シリーズ第1作「忍者じゃじゃ丸くん」を現代的にアレンジした「じゃじゃ丸の妖怪大決戦」が、じゃじゃ丸くんらしさに対してひとつの回答を出したことにより、じゃじゃ丸くんのリブートは成功を見た感がある。

本作はこの後、「遊び」の部分を拡張するアップデートを現在検討中とのこと。気軽に楽しめる忍者アクションとしてさらなる展開を期待したいところだ。

 

(文/箭本進一)

 

【製品情報】

■Nintendo Switch版『忍者じゃじゃ丸 コレクション』

・発売中

・パッケージ版価格:4,200円(税別)

・ダウンロード版価格:3,619円(税別)

 

■PlayStation 4版『忍者じゃじゃ丸 コレクション』

・発売日:未定

・パッケージ版価格:4,200円(税別)

・ダウンロード版価格:3,619円(税別)

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