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「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」ドラマを、子どもたちに感じ取ってもらえたら──「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!」坂本浩一監督インタビュー

2018年03月10日 10:000
「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」ドラマを、子どもたちに感じ取ってもらえたら──「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!」坂本浩一監督インタビュー

2017年に放送されたテレビシリーズ「ウルトラマンジード」の映画版となる「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!」が、2018年3月10日(土)より全国劇場にてロードショー公開される。今回の映画はテレビシリーズの最終回を受けた後日談となり、全宇宙の平和を脅かす強大な人工頭脳・ギルバリスと、ロボット怪獣・ギャラクトロン軍団が襲来。これを迎えうつのは我らがウルトラマンジードと、頼もしい味方のウルトラマンゼロ、ウルトラマンオーブである。


本作の監督を務めたのは、テレビシリーズでもメイン監督を務めた坂本浩一さん。2015年公開の「劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦! ウルトラ10勇士!!」以来、久々に手がける劇場版ウルトラマンとあって、坂本監督も気合い十分。お得意のダイナミックなアクション演出が冴えわたる、超豪華エンターテインメント作品がまたひとつ誕生した。

 

――今回の映画は、「ウルトラマンジード」のテレビシリーズとどのようなつながりを持たせているのでしょうか。

 

坂本 テレビシリーズ最終回で、ジードは地球の人々にとってのヒーローとして認められました。映画では最終回の「その後」を描くのをテーマに置いています。しかし、映画単体でも楽しめるようにしたかったので、テレビシリーズとのリンクはそれほど強く打ち出してはいないんです。

 

――全宇宙規模で展開した壮大なスケール感が魅力のテレビシリーズでしたが、今回の映画にもそれは受け継がれていますか?

 

坂本 もちろんです。テレビシリーズでは宇宙的規模の世界観ではありましたが、舞台は主に地球上でしたよね。今回はせっかくの映画なので、よりスケール感のある強大な敵がいいと考えていて、そこですべての宇宙の知的生命体を滅ぼそうとする「ギルバリス」という設定に行きつきました。そこに、並行宇宙を行き来することのできるウルトラマンゼロと、前作のヒーロー・ウルトラマンオーブが加わって宇宙最大の危機に立ち向かう、そこを大きな見どころとしました。

 

――1体だけでも相当ウルトラヒーローを苦しめたギャラクトロンが、軍団になって攻めてくる場面にはかつてない危機感がありましたし、満を持して出てくるギルバリスもまた、ウルトラヒーローが束になっても勝てるかどうか、といった強敵感がすごかったですね。

 

坂本 見た目的にも、あれだけのルックスだともうヤバイやつに決まっている!というものにしたかったんです。ポイントは、まったくの感情や痛みも持たずにとにかく突き進んでいく、という無機質な恐怖ですね。ふつうの怪獣や宇宙人なら攻撃されると何らかのダメージを受けるんだけれど、ギルバリスにはそれがないという。単純だけど、恐いんじゃないかと。そんな強敵に対して、ジードをはじめとするウルトラマンたちが力を合わせ、熱い思いを込めて撃破していく、そこが映画の醍醐味だと思います。

 

――映画ではテレビシリーズ最終章と並行して沖縄が舞台に選ばれ、美しい自然の景色が神秘的なムードを高めていましたね。沖縄ロケについてのご感想をお願いします。

 

坂本 沖縄でロケを行ったことは、作品としてすごくプラスになりました。素晴らしい景観によってビジュアル的にスケールアップができましたし、特撮シーンのミニチュアも沖縄らしさを強く意識して、従来とはひと味違ったものになっています。美術の木場太郎さんが現地におもむいて、写真をたくさん撮影したり、資料を集めたりして、タイトなスケジュールの中で素晴らしいミニチュアセットを作り上げてくれました。最初は実景とミニチュアがどのようにつながるか、少し心配だったんですけれど、映像を観るととてもシームレスにつながっていて、嬉しかったですよ。

 

――夏の沖縄らしく、照りつける太陽の下で、リク役の濱田龍臣さんもテレビシリーズ当初よりもたくましく見えました。

 

坂本 龍臣くんは幼い頃から子役として経験を重ねてきていて、常に本人が納得したうえでお芝居を作ってきてくれますね。なのに、すごく純粋なんですよ。この業界は長いはずなんですけれど、気持ちいいくらい純粋さを保ってくれています。そして、彼が心から愛してやまないウルトラマンを演じるということで、気持ちの入れ込み方が強いんです。プロの俳優として取り組んでいると同時に、無邪気さも持ち合わせている。僕にとっても、息子のようにかわいい存在です。同じレベルでふざけあったり、時には父親のように見守ったり、すごくいい子だなって作品を通して実感しています。いま17歳ですから、撮影開始した昨年から比べても、身体的な成長がすごいんですよ。リクの衣裳も、彼の成長に合わせて何度も作り直していますからね。

 

 

――そして今回は、「ウルトラマンオーブ」のクレナイ ガイ役、石黒英雄さんとジャグラス ジャグラー役の青柳尊哉さんが「ジード」チームと共演するところが重要ポイントですね。お2人の印象はいかがでしたか。

 

坂本 僕は「オーブ」にはほとんど関わっていなくて、純粋にファンとして作品を観ていました。ガイを出すにあたっては、彼の持ち味を最大に生かそうと思って「ラムネ」「銭湯」「歴代ウルトラマン“さん”付けで呼ぶ」なんて部分を入れ込もうと考えていましたね。石黒くんも青柳くんも、年齢的にも大人ですから、楽しい仲間というレベルの付き合い方ができる人でしたね。現場でも、石黒くんのテンションが高くて、とても面白かったですよ。お2人はこれまで「オーブ」テレビシリーズや配信作品で長くガイとジャグラーを演じてきていますから、こういう状況なら2人はどう会話する?とか、どう距離を置くのか?とか、いろいろディスカッションをしながら、納得したうえでお芝居をしてもらいました。彼らから意見をもらい、こちらも意見を投げ返していくっていう作業は楽しかったですね。

 

――リクが「少年の純粋さ」なら、ガイは「大人の頼もしさ」が持ち味というべきでしょうか。映画でも2人の立ち位置がはっきりしていて、ダブルヒーローの個性が十二分に発揮されていました。

 

坂本 アクションひとつとっても、リクは戦闘に特化したタイプじゃないので、がむしゃらに向かっていくんですが、ガイはこれまでも数々の敵と戦ってきたわけで、格闘をしても息ひとつ切らしていないという、一種の余裕を見せます。ガイのそういった強さを表すためには、リクたちがみんなでがんばって戦っていたところに、いきなりひとりでやってきて、敵を一網打尽にする「ザッツ・ヒーロー」みたいな演出がいいだろうと、石黒くんとも相談して作り上げていきました。

 

――「ジード」最終回で分離したレイトとウルトラマンゼロが、今回の映画でいつふたたび一心同体となって敵と戦うのか、という部分にも注目が行きました。レイトを演じる小澤雄太さんは、ゼロが乗り移っていないときは平凡なサラリーマンで、基本的に「弱い」という部分が素敵でしたが、今回はそんな普段のレイトのままで宇宙人たちとアクションをする、という珍しい場面がありました。

 

坂本 そこも今回のポイントなんですよ。レイトはジャグラーとのコンビネーションで敵の宇宙人を蹴散らしていくのですが、どんなアクションになっているか、お楽しみにしてほしいですね(笑)。もともと、レイトとジャグラーをコンビのように組ませたい、というのは最初から決めていたんです。2人とも芸達者で、表現力にすぐれているので、組ませたほうが面白くなるなと。作品的にシリアスなトーンが多いので、合間合間にコミカルなシーンを入れるようにしたんですが、この2人のやりとりは入れやすかったですね。テレビシリーズのオープニング映像から延々やっていますが、レイトがバナナの皮を踏んですべるというカットも、なかなかうまくやるのって難しいんですよ。小澤くんの特技であるブレイクダンスなど、優れた身体能力と経験があってこそ。感情などを身体で表現するのが得意なパフォーマーという部分が、キャラクターとして生きていると思います。

――映画のゲストヒロインとして、神秘的なムードを醸し出している比嘉愛琉役・本仮屋ユイカさんの印象はいかがでしたか。

 

坂本 すごく真面目な方でした。ウルトラマンの映画に出演するにあたって、これまでの作品をすごく勉強してきてくださったんです。衣装合わせのとき、事前にどんな作品を観ておいたらいいかとか、台本に出てくる用語などの質問があったのですが、次にお会いしたときにはそれらをすべて把握してくれていました。撮影でも、率先して現場に出ていって、役者としてみんなを引っ張ってくれた感じです。龍臣くんと2人でいるシーンが多かったのですが、彼にとってもいい経験になったんじゃないでしょうか。

 

――ライハ、モアとはタイプの異なる、やさしい大人のお姉さんという存在ゆえ、映画ではリクがアイルに淡い恋心を抱くかのような場面が見られましたね。

 

坂本 今までリクが出会ったことのなかったタイプの女性がいい、と思ってアイルの役柄を作りました。少年時代には誰だって、年上の女性に憧れるものでしょう。リクには母親がいませんから、アイルにお母さんを見たのか、お姉さんを見たのか、わからないですけれど、今までの「ウルトラマンジード」にはいなかったヒロイン像を描いてみたかったんです。リクをやさしく見守り、大きな期待をかけ、最後には彼の心を奮い立たせてふたたび戦いにおもむかせるという。

 

――映画の中でリクは、自分ひとりで地球を守るという気負いが強すぎて、今までにないほどの挫折を味わってしまいますね。

 

坂本 リクがどん底にまで落ちて、かつてないストレスをかけた後、より強い姿となって“復活”を遂げます。映画に出てくるジードの最強スタイルは「ウルティメイトファイナル」、つまり究極にして最後という名前ですから、リクにはそこに到達するだけの経験をさせて、成長をしてほしいという願いをストーリーに込めました。

 

――リクを支える仲間の存在も、映画ではていねいに描かれました。ライハ役の山本千尋さんによる刀剣アクションも冴えわたっていましたね。

 

坂本 映画ならではのライハの見どころとしては、黒のタンクトップ姿で戦うアクションシーンを推します。「エイリアン」のシガニー・ウィーバーさんや、「ターミネーター2」のリンダ・ハミルトンさんのように、タンクトップの女性はかっこいいという思いが僕の中には強くあって、千尋ちゃんにも最初のうちから「最後はタンクトップ姿で!」と要望したんです。リクの復活を信じて、仲間たちが全力で敵と戦うシーンでは、それぞれのキャラクターたちがただ戦っているのではなく、戦い方やお芝居で各自の性格を伝えることができれば、と思って演出していました。

 

 

――映画の中でコミカルなムードを出していたのは、宇宙人がたむろする怪しい酒場の中にいた、モノマネ芸人の「ジャッキーちゃん」さん演じる「情報屋」の登場シーンですね。もちろんジャッキー・チェンさんのモノマネでの出演でしたが、ジャッキーちゃんさんの起用はやはり監督からですか?

 

坂本 そうです。お話がシリアスムードに寄ってしまわないよう、どこかで“お笑い”の要素を入れたくて、ジャッキーちゃんさんに出ていただきました。あのシーンは台本上ではセリフのやりとりが多く、ふつうに撮ったら子どもたちが退屈してしまいかねないので、できるだけ面白く、状況を伝えたいと思ったんです。そんなとき、お笑いの人をキャスティングしてはどうか?という意見が出たので、以前お会いしたことのあるジャッキーちゃんさんを推薦したんです。

 

――ジャッキーちゃんは最近テレビでの露出が増え、ジャッキー・チェン世代のお父さんを中心にウケていますよね。ジャッキー・チェン主演のカンフー映画を知らない子どもたちにも、あのコミカルなアクションは楽しく映っているのではないですか。

 

坂本 そうだといいですね。ジャッキーちゃんさんは長年のジャッキーファンである僕から見ても、まったく違和感なくそっくりですし、アクションもお上手でした。撮影スタッフも僕と同じ世代でジャッキー映画のファンが多いですし、現場で笑い声を抑えるのがたいへんだったそうです。いちばんウケていたのは千尋ちゃんだったな(笑)。

 

――ジードもオーブも、歴代ウルトラマンの力を借りることで、強敵に対抗するためのタイプチェンジを行うのが特色でしたが、映画の中でも次々にタイプチェンジを繰り返して戦うという、サービス満点のアクション演出がありました。これも坂本監督のこだわりの部分でしょうか?

 

坂本 やはり近年のウルトラマンの魅力のひとつにタイプチェンジがありますから、映画の中でもそれをあますところなく見せたい、という気持ちがありますね。それがジードやオーブの強さの演出につながると思いましたし。これまで出てきたタイプチェンジを、可能な限り出していきたかったんです。

 

――クライマックスで大活躍するジード、オーブ、ゼロ、ジャグラー(魔人態)に加えて、ミラーナイト、ジャンボット、ジャンナイン、グレンファイヤーという「ウルティメイトフォースゼロ」がひさびさに結集するほか、M78星雲・光の国ではウルトラの父、ウルトラの母、ゾフィー、初代ウルトラマン、ウルトラセブンといった歴代ヒーローも姿を見せています。

 

坂本 ウルティメイトフォースゼロは、ウルトラマンゼロを語るうえで欠かせない存在ですからね。実は、僕が彼らを演出するのはこれが初めてなんです。それだけに、ぜひとも出してみたかった。ジャンボットと龍臣くんとの関係(アベユーイチ監督「ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」)も含めて、今回の映画には外せないヒーローたちでした(笑)。グレンファイヤーの声を演じられた関智一さんをはじめとする、声優のみなさんがものすごくアドリブをきかせながら、それぞれのキャラクターをどんどん面白くしてくれています。楽しみにしていてください。そして「ジード」はM78星雲出身のウルトラマン直系のお話ですので、重要なポジションにあたる父や母、ゾフィーたちも大切に扱っています。ニュージェネレーションのヒーローもいいですが、レジェンドのヒーローの勇姿も絶対に忘れてはいけません。いまの子どもたちにも初代ウルトラマンやウルトラセブンは人気がありますからね。昔のヒーローという感覚はないです。

 

――エンディングテーマ「絆∞Infinity」を、「アナと雪の女王」でも有名なMay J.さんが歌われるというのも、映画の大きな話題ですね。May J.さん起用のポイントを教えてください。

 

坂本 作品のテーマを担う主題歌は重要ですので、音楽プロデューサーチームのほうから何人か候補の方を出してもらって、その中にMay J.さんのお名前があったんです。しかし、最初は「まさか……」みたいな感覚がありましたね。その後、May J.さんには快く承諾していただいて、主題歌を歌っていただくことが実現したんです。「絆∞Infinity」については、実際に映像を観てもらったうえで、作品内容に合った歌を作っていただきました。主題歌が作品全体を物語っていると言えますね。

 

――最後に、映画を楽しみにしているファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

 

坂本 スタッフ、キャストのみんながウルトラマンを大好きで、自分たちの作る作品に誇りを持って参加しています。やはり、50年以上培ってきたウルトラマンの「歴史」はすごいなと、改めて感じました。シリーズが違っていても、一度ウルトラマンシリーズに関わると、お互いファミリーのような思いがあるんです。作品をまたいでのつながり、というのもすばらしいですね。

今回の映画では、テンポをもっとも重要視しました。リクがふたたび「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」という言葉に行きつくまでのドラマを、子どもたちに感じ取ってもらえたら嬉しく思います。

 


『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』は、2018年3月10日より全国劇場にてロードショー公開。

 

(取材・文/秋田英夫)

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