史上初! およそ半世紀にわたる日本のロボット玩具史を辿る大著「ロボットアニメビジネス進化論」発売! 著者・五十嵐浩司インタビュー

2017年08月21日 17:570

本書で若い世代がロボット玩具に目覚めてくれたら

 

――本書のもうひとつ面白いところが、90年代後半について「エヴァ」などに代表される委員会制度やパッケージビジネスの確立で、マーチャンダイジングの構造が変わったため、ロボットアニメの性質も変わった……のようなよくある語られ方では終わらず、同時期の「なんでも鑑定団」ブームが遠因となって「超合金魂」の誕生に繋がる、という飛躍です。

 

要するに、私くらいの世代のおっさんが「鑑定団」をきっかけに、おもちゃ業界に戻ってきちゃったんですね。

 

――そこに至るまでの玩具の歴史を、本書で一度まとめてくださったのは玩具ファンとしても嬉しいでしょうし、推薦文にもある通り、本書がロボット玩具研究の第一歩となるのかなと思います。

 

そうなってくれるとありがたいです。今まで時代順にロボット玩具が整理されることがなかったので、どこから始まってどういうルートをたどったか、という最低限のものを作らないと、研究の下敷き、たたき台にもならんだろうということで、まず叩き台を作ったつもりです。

 

――ロボット玩具の一時代を築いた、当時の関係者も次々と引退されていきますからね。

 

それもあります。私も来年50歳。今年でライター生活25年目になるんですけど、昔のことをいつまでも覚えていられるとも思えないので、とにかくアウトプットしておかなければいけないと思っているんです。だから、今回こういう機会をいただけて、本当にありがたいです。

 

――ちなみに五十嵐さんが一番印象に残ってるロボットおもちゃってなんですか?

 

……悩みますね。

 

――では、お墓に1個持っていくとしたら?

 

それは絶対選べなさそうですね(笑)。時代ごとでいけば、70年代は超合金マジンガーZに驚きましたし、翌年はライディーンで驚いたりと毎年驚かされるのでもうめちゃくちゃなんですよね。今見ても、40年以上前にあれを考えたのはとんでもないと思います。まあ突き詰めて考えると、ショックを受けたものとして超合金マジンガーZですかね。ダイキャストで、パンチが飛ぶっていうのがプリミティブだけどやっぱりすごかったです。

 

――今後、ロボット玩具はどうなっていくと思いますか?

 

僕は作る側ではないから、どうなっていくかということは基本的に予想はできません。ただ、ロボットはなくならないし、人間のアイデアは不滅ですからなくなることはないと思います。もしかすると今は昔に比べると勢いがないかもしれないけれど、また勢いは戻ってくるかなと思うし、勢いを作るのは私のような人生が半分終わった人間ではなくて、若い人たちだとも思います。若い人たちのあり余るアイデアと情熱があれば、ロボット玩具はもう1回いけるんじゃないか、という気がします。だから、今回の本は若い人に読んでほしいという思いはありますね。

むしろ、この本を読んで若い人たちが「俺だったら、こんなロボットを作れるんじゃない?」と思っていただければ。今はいろいろとアイデアを発表できる媒体も、届けられる媒体もあるので、ぜひ若い人たちの手でロボットでひと旗あげていただきたいですね。

 

逆に、元気がない時のほうがチャンスなんじゃないかとも思いますね。70年代後半当時も、スーパーカー、テレビゲーム、LSI(電子)ゲームで、ロボット玩具が押されがちだった時に、クローバーの「ザンボット3」がスマッシュヒットしましたし、スーパーファミコンやSDガンダムの影響でロボットおもちゃが元気のない時代に、タカラが「勇者エクスカイザー」を当てたりしていました。

今、仕事がなかったり辛い人も多いじゃないですか。そういう人も「俺、ロボットならできるかもな」って思ってくれれば大変嬉しいです。河森正治さんは20代でバルキリーを、大河原邦男さんは30代でガンダムやザクをデザインしてるんですから。今もやれる人はやれると思いますし、才能はどこかに必ず眠っていると思うので、この本で目覚めてくれたらそれに勝る喜びはありません。

 

【著者略歴】

五十嵐 浩司(いがらし・こうじ)

1968年青森県生まれ。アニメーション研究家。学生時代からライターの活動を始め、’92年よりフリーのルポライターとして独立する。主なジャンルはアニメーション、特撮と、玩具や模型のホビー関連。’92年に株式会社タルカスに参加し、編集者兼ライターとして、多くの書籍や映像ソフトの解説書を手がける

 

【イベント情報】

■五十嵐浩司×野中剛×いんちき番長「ビジネス視点で読み解く『ロボットアニメ』」『ロボットアニメビジネス進化論』(光文社)刊行記念

・日時:2017年8月27日(日)15:00~17:00 (14:30開場)

・会場:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)

・入場料:1,500円(1ドリンクオーダー)

・出演:五十嵐浩司(アニメーション研究家)、野中剛(デザイナー/プランナー)、いんちき番長(いんちき玩具研究学者)

・詳細URL:http://bookandbeer.com/event/2017082701bt/

・イベント内容

刊行を記念して、著者の五十嵐浩司さんをお迎えして刊行イベントを開催します。ゲストに、フリーのデザイナー/プランナーである野中剛さん、いんちき玩具研究学者のいんちき番長さん。

 

主に以下のようなテーマでお話いただきます。

 

・なぜマーチャンダイジングからロボットアニメを俯瞰する必要があるのか?

・日本のアニメの進化に、ロボットアニメのマーチャンダイジングが果たした役割とは?

・マーチャンダイジングに対するアニメ現場の攻め方の成功・失敗例

・業界の専門家が語る! これだけは覚えておきたい名作ロボットオモチャ

 

今まで語られることのなかった角度から、「ロボットアニメとビジネス」について語り尽くしていただく予定です。

初心者から業界関係者、そしてビジネスマンも必見の内容です。

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