それは40年の絆の奇跡。伝説一歩手前の声優ユニット「FULL Kabs(水島裕、井上和彦、三ツ矢雄二)」解散ライブレポート

2017年04月10日 16:300

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アニメ・声優の歴史のはじまりと今を歌う

 

フリートークでは3人が昔から一緒にイベントをやってきた間のエピソードなども語られ、水島さんと三ツ矢さんが井上さんの持ち歌「P.S I LOVE YOU」の歌唱を再現してみせたり、井上さんが体験した有線マイクならではのトラブル。ステージで落としたマイクをあわてて拾ってくれたのが先輩の野沢雅子さんだった、というようなエピソードも飛び出した。

 

ステージではCDでもカバーした、アニメ「ラブライブ!」2期オープニングテーマ「それは僕たちの奇跡」を3人で披露。井上さんは「今この3人が若い人のこの曲を歌うこと自体が奇跡」と表現した。この曲では客席からの紙テープが投げられ、テープにまみれながらベテラン男性声優が美声で歌う「ラブライブ!」楽曲という、後にも先にもこの日だけになりそうなステージが繰り広げられた。この次に披露されたのは、3人より前の世代、最初の声優ブームを担ったと言われる故・富山敬さんが当時必ず歌っていたという「アニメーション・ドリーム」。そんなメモリアルな楽曲に、新たに3番の歌詞を捕作したものを「FULL Kabs」が熱唱した。一世を風靡するほどの人気を誇った男性声優の元祖というべき先達の楽曲と、若いアニメファンに愛される「ラブライブ!」の楽曲。それらをアニメ史の生き証人である役者たちが歌い、その姿をずっと追いかけてきたファンたちがサイリウムを振り、身体を揺らしながら楽しんでいる。それはアニメーションと声優、アニソンの歴史の、大河のような流れの中に、我々が確かに立っていることを感じる、不思議な時間だった。

 

締めの挨拶で三ツ矢さんは「まだまだ高齢に関わらず仕事をしていきます。応援よろしくお願いします」と挨拶。井上さんは感謝の言葉と共に「くじけそうな時、FULL Kabsを思い出してください。FULL Kabsはいつも、あなたの傍にいます」ととっておきの美声を響かせた。企画の中心になった水島さんは、客席の再結成を望む声に「ランティスさんがアニメ番組のEDとか歌わせてくれたら」とリップサービスで答えながらも、「正直僕、すごく満足しています。たくさんのスタッフが力を貸してくれて、このイベントが実現しました。一緒にコンサートを楽しめた奇跡に感謝します。ありがとうございました」と、感謝の言葉と共に頭を垂れた。最後の楽曲を歌い終えた3人は、ステージにそっとマイクを置いた。

 

終演後の客席の満ち足りた空気を感じながら、若い世代の自分たちも10年後、20年後に、若い頃に応援していた作品やキャストに、変わらぬ声援を送ることができる奇跡に出会ってみたいなと思わされるイベントだった。

 

(取材・文/中里キリ)

 

 

【セットリスト】

1.  キャンディ・キャンディ

2.  うゐろう売り

3.  誰がために

4.  タッチ

5.  宇宙の王者!ゴッドマーズ

6.  それは僕たちの奇跡

7.  アニメーション・ドリーム

EN.キャンディ・キャンディ

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