それは40年の絆の奇跡。伝説一歩手前の声優ユニット「FULL Kabs(水島裕、井上和彦、三ツ矢雄二)」解散ライブレポート

2017年04月10日 16:300

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40年前のラジオドラマの空気がそのままステージに

 

そんな彼らがプロの顔になったのが、朗読「夜のドラマハウス リターンズ」のコーナーだ。「夜のドラマハウス」は1976年から1983年までニッポン放送で放送されたラジオドラマ番組で、当時の若者向けにジャンルを問わない先進的な声のドラマを放送していた。今回のイベントでは「明日の父と今日の父」「看護婦さんはなんでも御存知」「友情判定士」の3篇を朗読。いずれも本格的でウィットに富んだ作品だったが、それもそのはず。脚本は「夜のドラマハウス」放送当時の脚本家に依頼したというから驚きだ。先ほどまで水島さんの進行を引っかき回して笑ういたずら小僧のようだった井上さんが、死を目前にした高齢男性と、彼の替え玉に用意されたそっくりのアンドロイドを巧みに演じ分ける。脚本の文字が霞んで読めないと笑っていた三ツ矢さんが、老人に終生寄り添った老婆の最後の手紙で客席を涙させる。いざ役に入った瞬間に「何者か」に豹変する姿は、いずれも芸歴40年以上の名優たちならではの至芸だった。

 

ライブパートでちょっと毛色が違ったのは、水島さんの「うゐろう売り」ライブラップ披露だ。うゐろう売り(「外郎売り」と書くことが多い)は、役者の基礎修行には欠かせない発声練習用のテキストのこと。ラップ版「うゐろう売り」は、10年以上前に水島さんがラッパーのBANANA ICEさんと協力して作り上げたもの。この曲を形にして残すために、今回のCDに収録することになった。元々滑舌の練習になるほどテクニカルで長い「うゐろう売り」を超高速でラップに乗せる生歌に、水島さんはゲストとして登場したBANANA ICEさんと共に挑戦。歌唱前の水島さんは張り詰めた様子で、客席にも「息を止めていて!」とお願いしたほど。それだけに、やり遂げた時には「これで俺の仕事は終わった!」と、安心した様子で破顔していた。1か所、自分のパートが飛びかけたところをBANANA ICEさんにフォローされた水島さんは、「この曲を2人でいつか完璧にやろう!」とライフワークにする宣言も飛び出した。

 

後半は、アダルト担当・井上さん、アイドル担当・水島さん、ラブリー担当・三ツ矢さんの3人によるライブコーナーだ。1曲目は井上さんが主演した「サイボーグ009」主題歌「誰がために」。水島さんと三ツ矢さんが、冒頭の「うっう!」の合いの手を生声で入れるという、とてつもなく豪華な組み合わせだ。三ツ矢さんが歌う「タッチ」主題歌「タッチ」はボサノバ調のゆったりしたアレンジで、軽やかな中にも時に情感たっぷりに歌い上げた。腰をゆらしながらちょっとセクターなダンスでサポートする2人の姿も楽しい。

 

ソロライブのラストは水島さんによる「六神合体ゴッドマーズ」主題歌「宇宙の王者!ゴッドマーズ」。逆光の中、両手を広げて、「六神合体!」と高らかに叫ぶ水島さんの姿はまさに現役のヒーロー! 驚いたのは後ろでハモりを担当していた三ツ矢さんが、突如「六神合体ゴッドマーズ」のマーグ役としての台詞を口にしたこと。そう、「六神合体ゴッドマーズ」の主人公・明神タケル=マーズ役は水島さんだったが、その兄・マーグを演じたのは三ツ矢さんだった。そこからは三ツ矢さんも本格的にボーカルに参加。三ツ矢さんの「戦っている間だけ、生きていられる」というマーグの名台詞のカッコよさは、主役の水島さんを食ってしまいそうなほど。当時のマーグ人気を彷彿とさせる一幕であった。

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