NK_mirageさんの評価レビュー

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制作陣の惜しみない愛の結晶。最高だったので2期待ってます。

観賞手段:テレビ、動画サイト
漫画U149からのファンです。できるだけ客観的に書くつもりでいますが、贔屓目が入るかもしれないのはご了承ください。

◎総評
全12話を見終わった今、アニメU149は「良い作品にしたい」という"だけ"では決して到達し得ないそれ以上を、制作陣のU149という作品への愛によって実現してみせた快作、マスターピースであり、本当に素晴らしい作品だったと感じています。
脚本、作画、演出、音楽…1話から12話まで、全てがその愛を裏付ける高水準を維持していました。惜しい点があるとすれば、もっと注目されてもよかったのにということ、2期でやってほしいことがもっとたくさんあるということくらいでしょうか。

このレビューをご覧の方には面白そうならこれから見るという方もいらっしゃると思うので、まず想定される前提知識系の懸念点に簡潔にお答えして、それから各評価の説明に入ります。
Q1.アニメU149の"原作"って何?
A1.「アイドルマスターシンデレラガールズ」というコンテンツ(以下「デレマス」)と、そのコミカライズ「U149」です。公式には漫画U149は"原案"という表現をされています。
Q2.原作知らなくても大丈夫?
A2.大丈夫です。読み解くのに必要な情報は全て描写されています。ただ原作を知っていれば、この子たちは同い年で仲が良いんだよなとか、この子たちはユニット組んでるんだよなといった「文脈」をより楽しめるのも事実です。好きな子を見つけたらぜひ原作に触れに来てくださいね。デレマスのゲームに触れたければ「デレステ」で、漫画U149に触れたければ「サイコミ」で検索をどうぞ。
Q3.アニオリ展開あるの?
A3.あります。体感6割程度がアニオリであり、それゆえに原作履修は必須ではありません。身構えるかもしれませんが、漫画U149のファンである私も完全に屈服するくらい、U149という作品の魂を継承しつつ全てが説得力を持つよう再構成されていて完成度の高い改変ストーリーでした。これこそが制作陣の愛の賜物なんです。


◎評価の説明
〇ストーリー(4.5):
私自身はメインメンバー全員の魅力や課題、そして作品としてのメッセージ性を非常に高い完成度かつアニメ単体で楽しめる内容にまとめていて文句なしの5.0だと思っています。
しかし、もともと興味が薄い人に見せる場合に限り、人を選ぶ点がいくつかあるとも思うので少しだけ下げて4.5にすることにしました。
以下、具体的な理由と楽しむためのコツを書いておきます。

・台詞よりも描写で説明する作品なので、よく見ていないと「結局どうなったの?」が伝わらない場合がある
→ご興味があるなら、何度も繰り返し見て欲しいです。例えば初歩的なヒントとして「光が当たっている人と影に入っている人」の対比はよく使われています。そういった心情を表していそうな細かい要素を拾っていったり、一人一人の心情にフォーカスしてどういった変遷を辿ったかを考えたりしながら見直してみるのも面白いですよ。演出5.0は伊達ではないので!

・輝く子供たちと対比するため意図的に大人パートのリアリティ(えぐみややるせなさ)をかなり高めて作られており、単純な癒し系や勧善懲悪を好む人の需要には合わない場合がある
→視聴者の好みは如何ともしがたいですが、この作品は単なる癒し系にとどまらずアイドルたちもプロデューサーも深刻な悩みを抱えることがありますし、単なる勧善懲悪ではなくこいつを倒せば終わるという悪人は存在しません。その点だけご理解いただいて「思ってたのと違う」というミスマッチが事前に減ればいいなと思います。そしてそういった世界観はこの作品に確かな深みを与えているので、受け入れることができたなら面白さは保証します。あとはそこで輝けるよう頑張るアイドルたちを見守っていて欲しいです。

以上、少しマイナスに見えるかもしれないことを書きましたが両方とも受け取り方の話であって、繰り返しますが私自身はストーリーも文句なしの出来だと思っています。
その根幹については文末でも触れるとして、他項目も軽く説明させていただきます。

〇作画(5.0):最初から最後まで安定しており、特にライブパートは近景と遠景で手描きと3Dを使い分け違和感なく融合させるという、激しいカメラワークに堪えうる最高水準の技術が使われており圧巻です。

〇キャラクター(5.0):各アイドルに「当番回」が与えられ、1話を使って各々の課題に向き合い成長する様子が描かれます。全員の魅力をとても真摯に描き出してくれました。

〇音楽(5.0):漫画版では表現しきれない要素である音楽もとても有効に使われていました。大幅な再構成の賜物だと思います。それぞれの楽曲の素晴らしさについてはネタバレや歴史の話を含んでしまうため割愛しますが、一つ分かりやすいものを挙げると、「ゆず」さんが作曲された曲が入っています。ぜひ探してみていただければと。

〇オリジナリティ(5.0):年少組だけで一つの作品が作れるというのはアイドルの数が多いデレマスならでは、です。

〇演出(5.0):演出に関しては5点満点中10点をつけたいくらい素晴らしいです。心情を表す様々な手法のほか、そもそもデレマスというコンテンツが「シンデレラ」をモチーフにしていることもあり有名作品からのオマージュも多数仕込まれています。本当に一人では拾い切れないレベルなので、見た後で有識者の感想を調べてみるのもいいかもしれません。

〇声優(5.0):声優陣のこの作品に込めている愛は本当に凄まじく、ひとつひとつの演技のニュアンスにとてもこだわっていることが様々な場所で語られていました。これも詳細は歴史の話になってしまうので割愛しますが、気になる方はYouTubeで「U149の夜ふかし放送部」と検索してみてください。

〇歌(5.0):声優陣の熱量から推して知るべし、文句なしです。

〇満足度(5.0):アニメの全12話が終わった後に溢れるほどの充足感と未来への希望が得られる経験は今までありませんでした。本当に素晴らしい作品でした。


◎おわりに
アニメU149は、夢を追う人や夢を追えなくなってしまった人、家庭を持つ大人や家庭を顧みる暇もなく仕事に奔走している大人など、様々な立場の人に刺さるようなテーマを散りばめたアツい青春が見られる作品です。
「ゆーて子供の話でしょ」そんな先入観から敬遠していませんか?それもこの作品のテーマの思うつぼです。私がこの作品の真髄を表していると思った台詞をひとつ引用して締めとさせていただきます。

「子供だからと…何もさせていただけないのは、悔しいですわ」

漫画、アニメで共通しているU149の真髄は、そのような先入観がもたらす「壁」への抵抗なのです。あなたが彼女たちの「壁」になるのではなく、共に彼女たちを見守る側でいてくれるのならとても嬉しいです。


ここまで読んでいただきありがとうございました。第3芸能課のみんながもっとたくさんの人に愛されますように。
NK_mirage
NK_mirage
ストーリー
4.5
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(1) 2023-07-10 16:20:16

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