坂本夏樹さんの評価レビュー

「小説家になろう」でも絶大なる人気を博す
「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」は、
アニメ化の大ヒットにより
更に多くの方に知れ渡ることとなりました。

大原ゆい子さんによるシーズン１の楽曲も、
異世界感溢れるオリエンタルなアレンジと
これぞ冒険譚な躍動感が作品と
とてもマッチしていました。

そして期待のシーズン２では、
LONGMANが、
足掻き、苦しみながらも、一歩踏み出した、
主人公ルーデウスの心情を、
バンドだからこそと感じさせられる
リアルな熱さで歌い上げます。

とにかくサビがめちゃくちゃ良い！
誰がどう聴いてもサビと感じ惹きつけられるメロディー、
そんなメロディーを、口ずさみたくなる語感で
更に心地よくグルーヴさせる歌詞、
これらが、これ以上ない硬度に突き詰められ
融合しているからこそ、
メッセージが深く浸透する。
突き抜ける、ではなく、浸透する、なんです。
満ち広がり留まるからこそ、
身体が芯からじんと熱くなってしまうんです。

そんなサビが、OP尺で
なんと３回も繰り返されるんです！
ここまでのハマりの良さは、
単なる帳尻合わせのサビ追加では実現出来ません。
ここまできっちり考え抜かれ放たれてしまうと、
爽快なまでに潔く「やられました」と
降参するしかありません。

これがたたの計算された楽曲というだけだったら
こうはいかなかったと思います。
バンドという、一筋縄ではいかない
揺るぎなき個性を強く持った者達の集まりが
表現するからこそ、形よく整えられた商品ではなく
消費されることのないアートとして形を現し、
０と１の演算を超えた感動を与えてくれたのです。

LONGMANは３ピースバンドです。
「spiral」には、３人が奏でた以外であろう音色も
アンサンブルされています。
もしかしたら、バンドメンバー以外が奏でる音色が
入ることに葛藤があったかもしれません。
（いらん心配、お節介だったらすみません…）
でも、一歩踏み出してみてくれたから、
LONGMANの特別に素敵な音楽が、
より多くの人に届いたと思います。

もしこの歌詞が、
バンド自身のことを歌っているものでもあるとしたら、
という世界線で聴いてみると、
また違った熱さが込み上げてきます。
人それぞれの聴き方で
その人それぞれの受け取り方が出来る、
これも音楽ならではの楽しみ方であると思います。
これからも応援しています！