設定自体は、ありがちなMMORPGがコンセプト。
ただし、現代の至って普通な少年少女達が、その世界に突然放り込まれた時の心境や情景がよく描かれている。
「生きるって、簡単じゃない」というキャッチコピーが表すように、常に死と隣り合わせの中、それぞれのキャラが、それぞれに想いを巡らせ生き抜こうとする姿には心が震えた。
また、敵対するモンスター(?)達の設定もよく練り込まれていて、それらの生活や関係性にまで触れている所も観応えを感じた。
キャラクター、作画はキャラクター達の不安、葛藤、魅力を引き立てている。
特に美術が素晴らしく、この『グリムガル』が持つ冷淡さ、残酷さ、美しさを上手く表現している。
この儚くも美しい舞台があってこそ、表現できる絶望がある様に思えた。
序盤の数話は、観る人によってはスローペースに感じるかもしれないが、序盤をきっちりと描いていることで、キャラクターの不安や絶望を色濃く感じ取れた。
また、それによって中盤、終盤でのキャラクターの心情に感情移入出来た。
生と死、強さと弱さを意識させられる作品。
昨今の「俺、TUEEeeeee!!」チート系アニメとは一線を画す。
キャラクター達だけでなく、ゴブリン達にまで情が湧いたアニメが今までにあっただろうか?