面白い作品だったが、非常にバランスが悪い作品だとも感じた。
一番盛り上がったのが、助けられたと思っていた雛月加代がその翌日に行方不明になってしまう瞬間で、犯人が分かってからが完全に惰性。というよりは加代の置かれた状態やされていた事がショッキング過ぎて、他の2人との扱いの差が酷かった。せめて元の歴史の中西彩やヒロミの最後ぐらいは映像化されているべきだった。後の2人に関しては悟に何としてでも助けてやってくれと感じる事が殆ど無かった。
そして、それだけ加代の救出にスポットを当てておいて、目を覚ました悟の前に別の男との間に出来た子供を抱えて現れる大人加代。このシーンは本当に開いた口が塞がらなかった。ベタかもしれないが、そこは目を覚ますまで待っているのが涙腺を緩ませる展開じゃないんかな。主人公が頑張りました、でも頑張ったことが報われるとは限りません、なんて話はフィクションでまで見たいと思う人はそうそういないのでは。
そして最後の最後に再登場する片桐愛梨。これが悟の救いなのかと期待したけど、愛梨は元歴史のことを全く覚えていないように見えた。悟と心が繋がったことがある人にだけは別の世界線の記憶が断片的にでも戻るとか、そういう展開があっても良かったのでは。リバイバルみたいな不可思議な力を中心に物語が展開しているのに、不思議な出来事が他に一切ないというのもちょっとさびしい。また、ケンヤの年齢不相応な理解の良さは別種、または同等の能力を持っているからじゃないのかと考えたりもした。公式の登場人物の項で書かれていることが意味深過ぎる。
犯人に関しては、サスペンスモノをたまにでも読んでいれば、かなり序盤の段階で犯人候補が八代学しかいないことに気がつくはず。この手の謎解きの下策は、これまで出てこなかった人物が犯人として突然あらわれるというやり方。逆に言えば犯人は序盤から必ず出てくる人物ってことになる。その中でも八代は綺麗すぎて目立っていた。
アニメだと削られているシーンもあると思うので原作も読むつもり。