氷さんの評価レビュー

「我等全員、殺し屋稼業！」

深刻なお話かと思いきや、
コメディ・タッチの場面が多いので意外に感じました。

一転して戦いになるとシリアスに。
標題どおり剣戟の描写が目立ちます。
特に残虐性を強調した演出ではありませんが、
流血が多いので受け手を選ぶかもしれませんね。

内容にメリハリをつける狙いなのでしょうけど、
わたしには劇中でのコメディとシリアスが
乖離したものに感じられてしまいました。
文字どおり木に竹を接いだような、っていうか。

殺すか殺されるかの世界なのに、
そんなにのんびりふざけてていいの？
なんだか心配になってきます。

高校とか大学のサークル部員たちが
「仕事人ごっこ」をしてるみたいな印象を受けました。

それと、人物造形が類型的すぎ。
視点人物のタツミくんの周囲はきれいなお姉さんが勢ぞろい。
ツンデレあり眼鏡っ娘ありで、みんな彼に好感を持ってるみたい。

対して敵役は極悪非道な悪者のオンパレード。
ところが敵の働いた悪事の数々を、
台詞のなかでさらっと説明しただけでやっつけてしまうんです。
尺の関係でいたしかたないのでしょうか？

どうしても薄っぺらい印象を禁じ得ないんですね。
娯楽作品とはいえ、むしろ娯楽作品だからこそ、
もうちょっと厚みのある人物を描いてほしかったな。
でないとただの暴力の応酬とか虐殺にしか見えないから。

素敵なお姉さんと可愛い女の子に囲まれて、
立ちはだかる悪者を片っ端から斬り捨てる。
十代前半くらいの男の子が抱きがちなファンタジーなのかな。

アカメ役の雨宮天さんが歌う、
歌謡メタル調の主題歌は突出してカッコ良かったです。
作品に感情移入できなかったことが惜しまれます。

ゲイを揶揄するような描写がみられて残念に思ったことを、
最後につけ加えておきます。