FEシリーズ歴戦の英雄たちが紋章士として顕現! 「ファイアーエムブレム エンゲージ」プレイレビュー

2023年02月03日 17:000

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皆さんは、シミュレーションRPG(SRPG)を遊んだ経験はあるだろうか。将棋やチェスのように一手一手を熟考しながら攻略を進めていく戦略的なバトル要素に、成長要素や育成要素といったRPGの魅力が融合したSRPGだが、そんな同ジャンルを代表するタイトルのひとつ、「ファイアーエムブレム」シリーズの最新作である「ファイアーエムブレム エンゲージ」(以下、FEエンゲージ)が2023年1月20日に発売された。今回は、そんな「FEエンゲージ」を実際にプレイしたゲームレビューをお届けしよう。

千年の眠りから覚めた主人公は、紋章士たちが宿る12個の指輪を求めて旅に出る……。


「FEエンゲージ」は、開発をインテリジェントシステムズ、発売を任天堂が手がけるSRPG「ファイアーエムブレム」シリーズの最新作。2019年にNintendo Switchで発売された「ファイアーエムブレム 風花雪月」以来、およそ4年ぶりに登場するシリーズの新作ということで、SRPGファンから高い注目を集めていた。

シリーズ第1作であるファミリーコンピュータ用ソフト「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」が1990年に発売されて以来、実に30年以上の長き歴史を持つ人気シリーズ「ファイアーエムブレム」。SRPGというジャンルをゲーム界に確立させた始祖的な存在であり、シリーズをプレイしたことがなくても、「ファイアーエムブレム」というその名は耳にしたことがある方は多いのではないだろうか。



そんな「ファイアーエムブレム」シリーズ待望の新作である「FEエンゲージ」について、まずは物語のあらすじをご紹介しよう。

本作の舞台となるのは、竜と人間が生きる地「エレオス大陸」。千年前、この地では世界を滅ぼさんとする「邪竜」との争いが勃発したのだが、人々は異界の英雄「紋章士(エムブレム)」の力を借りることで、長きに渡る戦いの末に、悪の元凶たる邪竜の封印に成功したのだった。



こうして世界は安寧を取り戻したのだが、しかし、時がたつにつれて封印の力は弱まってしまい、ついに邪竜復活の兆しが見え始める。そんなおり、千年に及ぶ永き眠りについていた「神竜(しんりゅう)」である主人公が突如として目を覚ます。しかし、眠り続けていたことの弊害か、主人公は過去の記憶を失っていた。



主人公の目覚めを誰よりもよろこんだのは、母・ルミエルだった。彼女は、神竜の王であり、千年前の邪竜との戦争で大陸を救った英雄でもある。そんな母の願いを受け継いだ主人公は、かつてともに戦った紋章士たちが宿る12個の指輪を集めるために、広大な世界へと旅立つのだった……。


これが、本作の大まかなあらすじだ。「激しい戦争の末に封印した邪竜復活の凶兆」「千年の眠りから目覚めた神竜である主人公」「受け継いだ母の願い」「12個の指輪に宿る紋章士たち」など、ドラマチックで壮大な要素が多数詰め込まれたストーリーは、ついついプレイのやめ時を見失ってしまうほど、先の展開が気になってしまうもの。たとえるならば、1冊の重厚なファンタジー小説を読むような体験が味わえると言っても過言ではない。

 

とは言え、Mika Pikazo氏が手がけるポップでカラフルなキャラクターデザインや、硬軟取り揃えた個性豊かな性格のキャラクターたち、そしてときおり挟まれるコミカルなシーンなどの存在によって、ただ硬派なだけではないユニークな世界観が形成されているため、本作は幅広い層のプレイヤーに受け入れられる間口の広さも備えている。



そんな本作の最大の特徴と言える要素は、タイトルにもある「エンゲージ」と、物語のあらすじにも登場した「紋章士(エムブレム)」である。のちほど詳しく紹介するが、本作のバトルでは、指輪に宿る紋章士と共闘することが可能となのだが、その登場する紋章士たちというのが、過去の「ファイアーエムブレム」シリーズで活躍した英雄たちなのである。

 

第1作「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」に初登場したマルスをはじめ、「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」が初登場のシグルド、「ファイアーエムブレム 覚醒」が初登場のルキナ、前作「ファイアーエムブレム 風花雪月」が初登場のベレトなどなど、シリーズのオールスターとも言えるような面々がずらりとそろっており、まるで「ファイアーエムブレム」シリーズのお祭り状態となっている。バトルにとってもストーリーにとっても大きなカギとなる紋章士たちの存在は、とりわけシリーズ経験者にとっては大きな興奮と感動を得られるポイントと言えるだろう。

 

もちろん、シリーズ経験者でなくても、バトルもストーリーも問題なく楽しめるのでその点は安心していただきたい。むしろ、本作をプレイすることで過去作への興味が湧き、前作「ファイアーエムブレム 風花雪月」はもちろん、「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」や「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」で楽しめる「ファイアーエムブレム」シリーズを遊んでみたくなるプレイヤーも多いのではないだろうか。

 

バトルのキーとなるのは「エンゲージ」! 紋章士と一心同体になり、戦況を覆せ!


ここからは、本作のバトルシステムについて紹介していこう。


本作のバトルは、マス目状に区切られたマップ上で行われる、ターン制のバトルシステムとなっている。自軍のターンでは、味方のユニットに対し「移動」や「攻撃」などの行動を行わせ、ターンが終了すると敵軍のターンに移るというもので、非常にオーソドックスなシミュレーションゲームのバトルシステムとなっている。細かい点だが、選択した味方ユニットの各種ステータスなどの情報が画面下部に表示され、ひと目で把握できるのも、遊びやすくてうれしいポイントだ。



本作のバトルには「相性」の要素が存在する。剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強いといった3すくみの関係のほか、重装ユニットは魔法に弱く、飛行ユニットは弓に弱いなど、有利になる関係・不利になる関係が複数存在する。これらは「ファイアーエムブレム」シリーズではおなじみのシステムだが、本作では新たな要素として「ブレイク」という特殊効果が登場する。



先制時かつ武器相性が有利な場合は、攻撃が命中したあとに「ブレイク」が発生し、次の戦闘まで反撃ができなくなるというものだ。戦いを有利に進められるので積極的に狙っていきたいところだが、逆に味方ユニットをブレイクされると窮地に追いやられてしまうので要注意。この「ブレイク」のシステムが加わったことによって、本作のバトルはより戦略的でスリリングなものとなっている。



本作のバトルにおける目玉要素は、ずばり、タイトルにもある「エンゲージ」だ。そのシステムについて順を追って説明していこう。

 

あらすじでも紹介したが、本作の世界には紋章士が宿った「指輪」が存在しており、この指輪を装備したキャラクターは、紋章士と「シンクロ」した状態でともに戦場に立つこととなる。シンクロ中は能力が上昇し、紋章士ごとに異なる「シンクロスキル」が解放される。たとえば、紋章士マルスとのシンクロ中なら敵の反撃が当たりにくくなる「見切り」、紋章士シグルドとのシンクロ中なら攻撃後にもう一度移動ができる「再移動」といった具合に、その効果はさまざまだが、いずれも強力であり、通常時よりも格段に有利にバトルを進めることが可能となるのだ。



さらに、シンクロ中のキャラクターは、エンゲージカウントと呼ばれるメーターが最大までたまった状態であれば、コマンドからいつでも「エンゲージ」を選択できる。エンゲージすると、一時的に味方と紋章士が一心同体の状態となり、3ターン限定でさまざまな恩恵を受けられるようになる。その恩恵の内容だが、「エンゲージ武器」という特別な武器が使えるようになる、「エンゲージスキル」が解放されて能力が強化される、「エンゲージ技」という必殺技を使えるようになるといった具合で、要するに、ざっくり言うと“かなり強くなる”のだ。とは言え、上述のとおりエンゲージ状態は3ターンしか持続せず、再びエンゲージカウントをためるためには相応の時間を要するため、使いどころを見極めることが重要となる。



なかでも「エンゲージ技」は、エンゲージ中に一度しか使うことができないが、戦況を覆すことも可能なほど非常に強力だ。目にも止まらぬ連続攻撃で大ダメージを与える紋章士マルスの「スターラッシュ」、離れた敵の場所へとワープ移動し強力な魔法攻撃を放つ紋章士セリカの「ワープライナ」といった攻撃系の技だけでなく、使用者のHPと引き換えに味方全員のHPを回復できる紋章士ミカヤの「大いなる癒しの手」のようなサポート系のエンゲージ技も存在する。


 

バトルの序盤からエンゲージして敵を効率よく減らしていくか、それともボスとの戦いやピンチのときのために温存しておくのか……。「どのキャラクターにどの指輪を装備させるか」という部分も含めて、多彩な戦略を楽しむことができるのが、このエンゲージシステムの大きな魅力となっている。キャラクターと指輪の組み合わせによっては思いもよらぬ戦略が生まれる可能性もあるので、いろいろと試してみたくなるのも楽しいポイントだ。



通常、紋章士のスキルを発動するには指輪を装備しなければならないが、紋章士との戦いを重ねて絆を深めていくと、シンクロスキルを継承させることができ、指輪を外していてもスキルを発動できるようになる。たとえば、マルスのスキルである「見切り」を継承して装備しつつ、別の紋章士の指輪を装備するといったことができ、戦略の幅はさらに広がっていく。このスキル継承はやりこみ要素としても機能しており、じっくり時間をかけてプレイして紋章士との絆を深め、「オレが考える最強の○○」を作り上げるのもおもしろいだろう。



ココがスゴい!「ファイアーエムブレム エンゲージ」の筆者的推しポイント

さて、ここからは、本作における「筆者的推しポイント」を紹介していこう。


1,「あと一戦!」が止まらない、中毒性バツグンのバトル

SRPGの最大の魅力は「バトル」にこそある。戦場の地形や敵のステータスをじっくりと観察し、相手の次の動きを予測しながら一手一手を熟考して、ときに無双となり、ときに窮地に追いやられつつ、勝利をもぎ取ったときの快感は、ほかのジャンルのゲームでは味わえない唯一無二の感覚だ。本作は、SRPGの礎を築いた「ファイアーエムブレム」シリーズの最新タイトルだけあって、このバトルが楽しく、どんどん進めたくなる中毒性バツグンの作りとなっている。複雑すぎないバトルシステムと絶妙な難易度設定も、その中毒性を高める要因となっているだろう。



バトルの特徴としては「竜の時水晶」の存在もあげておきたい。これは、使用することで特定の時点まで行動を巻き戻してやり直すことができる機能だ。味方が倒れてしまったときや、うっかりミスをしてしまった際などに非常に重宝する。


SRPGの醍醐味は「一手一手熟考する」ことにあると先ほど述べたが、この「竜の時水晶」があることによって、「過度に慎重にならずに遊んでもいい」という空気をプレイヤーに与えてくれるのだ。これは、「ファイアーエムブレム」シリーズに初めて触れるプレイヤーや、SRPGに慣れていないプレイヤーにとっては非常に心強い機能と言えるだろう。



熟練のSRPGプレイヤーや腕利きのゲーマーには、戦闘で失った味方が決して戻らない「クラシックモード」のほか、上級難易度「ハード」や最難関難易度「ルナティック」も用意されている。初心者から熟練者まで幅広いプレイヤーがそれぞれの楽しみ方でプレイできるというのも、本作の魅力のひとつであると筆者は感じた。


2,シリアスでキュート、そしてユーモラス! 個性豊かな仲間たち

神竜である主人公と、指輪から顕現する「紋章士」たちの存在感に注目がいきがちな本作だが、旅する中で主人公が出会う各国の戦士たちのキャラクター性も、見逃せないポイントだ。本当なら全員紹介したいところだが、なかでも筆者が特にお気に入りなキャラクターたちをピックアップして紹介しよう。


主人公が千年の眠りから目覚めて初めて出会う人物である「第三十三代竜の守り人」の双子、クランとフランは、そのいかにもお堅い役職とは裏腹に、非常にキュートでにぎやかなキャラクターだ。主人公が自分にかける言動やリアクションに対し、ことあるごとに「感激しすぎて卒倒しそうです!」と言うクランと、神竜様ファンクラブ名誉会長を自称し、ことあるごとに主人公に目線をもらおうと奮闘(?)するフランは、2人とも非常にキャラが立っていて、物語序盤から一気に引き込まれ、どんどん好きになってしまう。



平和を愛する博愛主義国家の第一王子・アルフレッドは、やさしく温厚な心の持ち主ながら戦闘ではりりしい一面を見せる、爽やか系のイケメン王子なのだが、ちょくちょく「筋肉」の話をするのだ。それどころか、拠点でミニゲーム「筋肉体操」をプレイすると必ずと言っていいほどその場に呼ばれ、主人公と主人公の筋肉に(?)アツい声援を飛ばしてくれるのである。色とりどりの花が咲く平和な王国の筋肉好き王子というヒトクセあるキャラクター性は、プレイヤーたちの印象に強く残ること間違いなしだ。



拠点では、個性豊かな仲間たちが、戦闘時とは異なる服装に身を包み、思い思いの時間を過ごす様子を見ることができ、話しかけることで特別な会話を楽しむことも可能だ。味方同士の「支援値」がたまることで見られる「支援会話」も、戦闘のときとはひと味違った人柄や関係性が垣間見えておもしろい。本作には、かなりの数のキャラクターが登場するので、気になる人物がきっと見つかることだろう。


3,遊びがさらに広がっていく「オンラインプレイ」と「エキスパンション・パス」

遊びをさらに広げる要素として、本作はネットワーク機能によるオンラインプレイ対応も充実している。

ほかのプレイヤーと協力してひとつのマップをリレー形式でプレイして勝利を目指す「繋戦の試練」や、自分で作ったマップを用いてほかのプレイヤーの軍と自由に対戦を行う「異界の試練」といったものが用意されており、普段のバトルとはひと味違った協力プレイ・対戦プレイを楽しむことができるのだ。特に「異界の試練」は対戦レートも用意されているので、ランキング上位を狙ってやりこむことも可能となっており、長く楽しむことができそうだ。



さらに、本作は発売日と同日に、拡張パックである「ファイアーエムブレム エンゲージ エキスパンション・パス」が発売されている。これは、購入することで、追加の紋章士や新しいアクセサリー、追加のストーリーなどを楽しめるようになる追加コンテンツで、2023年12月31日までにコンテンツが順次配信されていく予定となっている。

発売直後となる現在は、追加の紋章士として、「紋章士エーデルガルト/ディミトリ/クロード」や、「紋章士チキ」が配信されており、特定の章まで進めることで彼らを仲間に加えることが可能だ。筆者も実際にエキスパンション・パスを導入してみたが、上述の紋章士たちを仲間にできる腕輪を手に入れることで、戦略の幅がさらに広がるとともに、考える楽しみやキャラクター育成の幅がより一層増えた印象だ。



さらに、「紋章士エーデルガルト/ディミトリ/クロード」の腕輪には入手経験値アップの効果があり、「紋章士チキ」の腕輪にはレベルアップ時の基本能力が上昇しやすいといった効果も付与されているため、キャラクターの育成にも大いに役立つ。本作をがっつり遊び尽くしたいというプレイヤーは、ぜひ購入すべきだろう。


ただでさえ「楽しい」が止まらない本作に、新たな楽しみ方をプラスしてくれるオンラインプレイ要素やエキスパンション・パスの存在もまた、「FEエンゲージ」の大きな魅力のひとつと言えるのではないだろうか。



「ファイアーエムブレム エンゲージ」は“考える楽しさ”にあふれている!


というわけで、「FEエンゲージ」のプレイレビューをお届けした。


自分だけの戦略を考える楽しさ、次の一手を考える楽しさ、そしてキャラクターを育成する楽しさと、ありとあらゆるタイプの“考える楽しさ”であふれた本作。引き込まれる物語と魅力的なキャラクターたち、絶妙なゲームバランス、そしてサクサク遊べる快適なゲームシステムによって、やめどきを見失ってしまう作品に仕上がっているように筆者は感じた。「ファイアーエムブレム」シリーズの経験者にはもちろん、シリーズ未体験の方にも強くオススメしたい1本だ。


  • タイトル情報
  • 「ファイアーエムブレム エンゲージ」(任天堂)
  • 発売日:2023年1月20日
  • 価格:パッケージ版:7,678円(税込)
  • ダウンロード版:7,600円(税込)
  • 公式サイト:https://www.nintendo.co.jp/switch/ayfna/
筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)、「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)など。
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