「プリンセス・プリンシパル Crown Handler」第1章音楽対談。Void_Chords高橋諒×関根陽一音楽P

2020年04月10日 18:000

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映像・ストーリー・音楽すべてが120%の密度に


── レコーディングはいかがでしたか?

関根 これが2019年10月の「プリンセス・プリンシパル THE LIVE Yuki Kajiura×Void_Chords」の進行と重なって大変だったんですよ!(笑)。

高橋 曲が結構ギリギリになったので、ライブのリハーサルをしながらレコーディングしてという感じで、一緒に育てていった感じです(笑)。

関根 結局、上がったのはリハの前日でしたからね(笑)。ライブで流すためのオケやコーラスも録っておく必要があり、その間にレコーディングも進めつつと、かなり大変でした。そんなわけでレコーディングはKonnieさんと僕で引き受け、高橋さんはライブに向けた準備をしていただきました。通常ですと大体ボーカル録りに3~4時間かけるところを、今回は6~7時間かけました。ボーカルディレクションはKonnieさんでしたが、Muginoさん自身も普段ディレクターをされていて、みんなで一体になってディスカッションしながら、いろんなパターンを録るというセッション的であり、お互い納得するとこまで突き詰める非常にクリエイティブなレコーディングになりました。

── ライブのお話もうかがわせてください。高橋さんは梶浦由記さんとのジョイントライブではどのような刺激を受けましたか?

高橋 こんなに大きな2マンのライブをさせていただける機会はなかなかなく、非常に幸せな経験になりました。劇伴作家としても、劇伴をライブで再構成するとこうなる、であればオリジナルはこのように作るのかとか、ボーカル曲もどういう風にアレンジして、どこを立たせるのかということも非常に勉強になりました。

── ライブの中でMuginoさんが新曲「LIES & TIES」を皆さんの前で初披露というのはいかがでしたか。

高橋 まだできたてで荒削りだったと思うんですけど、そこでいいフィードバックをいただいて、さらにライブの後でプラスアルファの部分をダビングしていきました。ロックバンドのようにライブで先出しして、それをレコーディングに持ち帰るというのはアニメの仕事ではめったにないことなので、それも含めて面白かったですね。

── プラスアルファの部分というのは?

高橋 僕はけっこうカウンターのハーモニーやコーラスを多用するのですが、ライブでメインに対するカウンターのカロリー感を測れたので、そこをアレンジの部分で整理した感じですね。あと、ライブでは北村望くんにドラムを演奏してもらったのですが、結構ワイルドなドラムで、フレッシュで跳ねる感じに叩いてもらったので、そのプリミティブさをもっと出してもいいなと、結構暴れる感じにしていきました。


── EDテーマの「Nowhere Land」はどのように作られていきましたか?

関根 これもTVシリーズに端を発するのですが、本編のお話がとても重たいので、エンディングくらいは明るく軽い気持ちになるようにと「A Page of My Story」を作ったのですが、かえって対比が際立って、僕らが狙ったわけではないにもかかわらず、視聴者の方には鬼気迫るような感じにとらえられてしまったんです(笑)。だったら続編では最初からその方向性で行こうと監督とディスカッションをしていきました。僕からは、やっぱり3拍子でビートルズの「ノルウェーの森」のような感じがいいねと提案させていただいて監督にも聴いていただいたところ、「これだ」と。それをキャラソンとしてどう料理していくかを高橋さんと詰めていきました。

高橋 方法論としてはTVシリーズからそのままつながっているので自分としては最終的な着地点は見やすく、すぐにイメージは湧きました。そのあとの仕掛けの部分とかそういうのに結構時間をかけた感じですね。

── 歌詞の内容はどのように?

関根 TVシリーズのEDテーマは「もし私がスパイじゃなかったら、ピクニックに行って」といった内容で、ある種、スパイというものからの逃避だったんです。それをこの「Nowhere Land」ではもう一歩踏み込んで、自分たちが殺伐とした世界に生きているという現状を受け入れて、そのうえでどこかに行こうよという内容の歌詞にしています。

── 歌うキャスト陣も前作からの経験を重ねているかと思いますが、レコーディングはいかがでしたか?

関根 「A Page of My Story」をレコーディングしたときはキャラの作り方だけでなく英語の発音にも時間をかける必要がありました。その後、各自のキャラソンやライブを経てまた今回収録するにあたり、皆さん非常に達者になっていました。ちせ役の古木のぞみさんなんて、作中で日本人キャラという設定を踏まえ、きちんとカタカナ英語に合わせてくると。改めてキャラのまま歌えるってスゴいなと思いました。

── アンジェ役として今回新たに参加された古賀葵さんはいかがでしたか?

関根 初めてだったのでアンジェらしさを出すのにちょっと手こずったところもありましたので、歌を録りだす前にセリフを言ってもらって、そのまま歌のレコーディングに、という流れを作ってもらいました。「黒トカゲ星から来たの」等とアンジェのセリフを言ってスイッチを入れて、そのまま録り出すという。古賀さんの地声は、けっこうほんわかとしているんです。でもアンジェの声はクールで感情があまり乗っていないお芝居が求められます。もしアンジェが主役でなかったら別の方法もあったかもしれませんが、やっぱり歌い出しはアンジェから入ってもらいたいし、一番よいところでソロを張ってもらいたい。そこが大変な部分だったと思います。

── では最後に本作の見どころを教えてください。

関根 「プリンセス・プリンシパル」って映像の質量とお話の質量と音楽の質量のどれもが120%の密度を持った作品だと思うんです。その意味で、多面的な楽しみ方をしていただければと思います。音楽の中にも映像やお話のヒントがいっぱいあるし、互いに影響しあっています。いい意味での喧嘩をしてるタイトルなので、そういう楽しみ方をしていただけるとうれしいですね。

高橋 それぞれがいいものを出して化学反応をさせるというのはVoid_Chordsとしても大事しているところなんです。いつもリスナーには自分の音楽を爆音で聴いてくださいと言うのですが、今回は劇場作品だから強制的に爆音なんです(笑)。劇場でこそ楽しめる要素もトラックには込められているので、ぜひ劇場でご覧ください!

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上映開始日: 2021年2月11日   制作会社: アクタス
キャスト: 古賀葵、関根明良、大地葉、影山灯、古木のぞみ、菅生隆之、沢城みゆき、本田裕之、山崎たくみ、土師孝也、飯田友子、飛田展男
(C) Princess Principal Film Project

プリンセス・プリンシパル

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放送日: 2017年7月9日~2017年9月24日   制作会社: Studio 3Hz/アクタス
キャスト: 今村彩夏、関根明良、大地葉、影山灯、古木のぞみ、菅生隆之、沢城みゆき、本田裕之、山崎たくみ、土師孝也、飯田友子
(C) Princess Principal Project

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