続いては、「フルメタル・パニック!Invisible Victory」のOP「Even...if」。
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打ち込みのビートとバンドサウンドが融合した、ハードでエッジの効いたロックチューン。特にギター、ベースのハイゲインアンプをブーストさせた、一聴してカッコいいサウンドが楽曲の骨子を支えています。ここまで「男臭いサウンド」は最近では珍しいような気がしますが、昨今のアニメ作品の傾向では、ミリタリ系だったりマニアックな男子趣味、男子世界を取り入れた「男臭い作品」が多く見られます。今期だと今作の他に「ひそねとまそたん」や「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」など。こういった傾向に合わせてアニメソングも男らしいマッチョなサウンドが次のトレンドになる……かもしれません。
今期の「度肝を抜かれて変な声が出てしまった楽曲」は、「ガンダムビルドダイバーズ」のOP「Diver's High」と、「ベイブレードバースト 超ゼツ」のOP「超ゼツ無敵ブレーダー!」、この2曲です。
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まずは「Diver's High」は、UNISON SQUARE GARDENのボーカル・ギターの斎藤宏介さん、プロデューサーに亀田誠治さんを迎えた、とんでもなく豪華で間違いない布陣で作られた楽曲です。もうね、すごい。SKY-HIさんのフィジカルな超絶ラップを中心にしながらも、斎藤さんのギターや楽曲のビートが真っ向からぶつかり合い、うねるような強烈なグルーヴを生み出しています。一触即発のヒリヒリした緊張感が漲っていますが、楽曲は「ポップ」そのもの。ともすれば聴く人を置いてけぼりにしてしまうかも知れないマニアックな熱量をうまくポップネスに転換する手腕は、亀田さんならでは。すごい楽曲です。
そして「超ゼツ無敵ブレーダー!」、クレジットを3度見した後に椅子から落ちかけました。
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歌を担当しているのは佐々木亮介さん。ロックファンの方はすぐにお分かりになったと思います。佐々木さんは「a flood of circle」というバンドのボーカル、ギターを担当されています。ハードで骨太なロックバンドで、私も幾度かイベントでご一緒させていただいたこともありまして、特徴的な「ロックそのものを体現したかのようなしゃがれて、ささくれ立ったボーカル」に度肝抜かれました。その衝撃を、まさかここで再び受けるとは思いませんでした。いやー、これはカッコよすぎる。
この作品のメイン視聴層は小学生、この楽曲を聴いた少年が佐々木さんのボーカルに衝撃を受けて何らかのスイッチが入り、ゆくゆくはロック、バンドに傾倒する、なんて事がこれから実際に起こると思う。それだけ、佐々木さんのボーカルには、人を動かす力があると思います。
最後は今期イチ押しを1曲だけ選ぼうと思ったのですが、今回は一つに絞りきれませんでした。というか、作品が好きすぎてもうこれしかないだろ!と思い至ったのです。
それが「メガロボクス」のOP「Bite」、ED「かかってこいよ」です。こちらを今期のイチ押しとさせていただきます!
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OPの「Bite」は、洋楽と邦楽の垣根を自由に飛び越えるセンスを持つLEO今井さんによる楽曲。無国籍なメガロボクスの世界観と絶妙にマッチしています。楽曲の質感は完全に洋楽、英語のような発音の日本語歌詞が独特のグルーヴを生み出しています。シリアスでアツい曲なのに、どこかクールで冷めた感覚も同居する独特のテンションが最高にカッコいい。
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EDの「かかってこいよ」は、昨年の春クールの「笑ゥせぇるすまんNEW」のOP「Don’t」でおなじみのNakamuraEmiさんによる楽曲。今楽曲も類い稀なセンスが爆発しています。言葉を選びのセンスや言語感覚が従来の日本語歌詞のそれとは全く異なるので、日本語ラップのグルーヴとも違う、ある意味「分類不能」な特殊なグルーヴが新しい。OP「Bite」同様、無国籍な世界観にバッチリハマっています。
アバンタイトルからOP、本編、EDの流れが完璧すぎる「メガロボクス」。もしかしたら一般受けしない通好みの作品かも知れませんが、男子はマストで楽曲までチェックしましょう!
いかがだったでしょうか?
今期も恐悦ながら10曲を選曲させていただきました。お気に入りの作品、楽曲はありましたか?
50周年、というのがキーワードになった今期。そう考えると2年後の2020年は、50年前が1970年になるので、これから毎年「50周年」の作品が出てくるってことです。アニメの歴史の転換期に、私たちは立っているのかも知れません。
夏はどんなアニメ作品が登場するのか、今から楽しみです。(文/出口博之)