これぞキタエリ節! 喜多村英梨が語る、シンフォニックメタルの世界が広がる2ndシングル「arcadia†paroniria」インタビュー!
恐ろしくも美しい物語を描くタイトル曲「arcadia†paroniria」」
──ますます次のライブが楽しみになりますが、活動再開後3枚目となるシングルは、こういう感じにしようと考えてから制作を始めたんですか?
喜多村 一応、年間のざっくりとしたサクセスストーリーがあって(笑)、ミニアルバムで名刺代わりになるような喜多村を見せる。1stシングル「DiVE to GiG - K - AiM」(以下「DiVE to~」)で、どちらかというと現代のアニクラとかパリピみたいな人にも差さる、4つ打ちの打ち込みだけどバンド感のある感じの曲で甘い砂糖をあげておいて、今回の2ndシングル「arcadia†paroniria」(以下「アルパロ」)みたいな曲をドンと出して落とすっていう流れ。秋=ハロウィン=ゴシックでしょう!みたいなのは最初からありました。だから「DiVE to~」を作っているときに、すでにこの「アルパロ」は存在していて、「早く出したい!」みたいな気持ちでした。
──喜多村さんと言えば、シンフォニックメタルというイメージがあったので、ここでついに持って来たかっていうか、多分これ、最初から狙ってたなとは思ったんです。
喜多村 「DiVE to~」のとき、「何だよ~」って人と「これこれ!」って思う人がいて、賛否両論があってよかったんですけど、覚えとけよって内心思っていて、最終的に安心安全な喜多村でしたっていう。だから、夏はやきもきしてましたね(笑)。
──この表題曲は書き下ろしだったのですか? それともコンペ?
喜多村 コンペでした。「DiVE to~」のときのコンペのリストに入ってて、「うぅ、これまだなんだよ」って、すごく焦らしプレイなコンペ曲でした。実は「アルパロ」の作曲をしているマチゲリータさんは、私が声優として参加していたアニメの主題歌をやられていて、その制作発表会で一度お会いしているんです。そのときは、「V系、メタル好きです」とか「マチゲリータさんのハロウィンのパーティーとかいいですね」とか、ミーハートークをして終わってたんですけど(笑)。でもこの曲は、喜多村英梨が欲しいものをちゃんとわかっていて、かつバシッと仕上がってたんですよね。だから細かいギターのフレーズとか、あとは、もうちょっとクワイア出してくださいとか、ミサ感とか鐘の音が手前がいいなとか、ミックスの段階で調整するくらいの微修正しかなかったんですよね。なので、あとは誰が歌詞を書くんだろうっていうところで。
──喜多村さんが書いてますね。
喜多村 自分の曲として生涯背負っていきたいと思う理由として、「自分で歌詞を書きたいと思うかどうか」っていうのがひとつあって、自分の歌詞が落選するのはいいんですけど、「この曲を選んだのは、こういう作詞の世界観をやってみたいと思ったからです!」って、ワンハーフでもくっつけるんですね。
──すぐ歌詞を書くんですか?
喜多村 私、歌詞を書くのが早くて、誰かにこの曲の歌詞を取られるくらいなら!と思っちゃうんですよ(笑)。おざなりではなく、降りてきたーってときに、アフレコの合間とかでもやるんですけど、生き急いでるんです。「アルパロ」と「TiCKTACK」はそういう感じでしたね。「TiCKTACK」は仮の歌詞を書いてくださってて、そっちも仕上がっていたんですけど、悔しいと。私も書いて、どっち取るの?みたいな(笑)。
──「arcadia†paroniria」のときはどうだったんですか?
喜多村 渡したときに、「アルパロ」の世界が仕上がってますね、って言っていただいたので、好き放題書きました。自分の中の理想と、夢遊病で妄想的な「悪夢こそキレイだ」って歌詞ができあがったかなと。
今回は、自分が主人公ではなく、映画とか物語を執筆してるような第三者の視点で書くというのをテーマにしていたので、それがかなってよかったです。マチゲリータさんに、「アルパロ」のアウトロで、うっすら英語で参加してもらったんですけど、これは物語の女の子が妄想していたのかと思いきや、その物語を書いていた小説家がいましたという仕掛けになっているんです。もちろんそれは、(何を言っているか)聞き取れる人がわかればいいっていう、こっちの自己満なんですけど。メタルのアーティストさんでも、インタビューを読まない限り「そんなの知らねーよ」ってことってあるじゃないですか。そういう感じです。最初から全部見せちゃっていると軽すぎるというか。練り込まれてる何かがあったり、こういうインタビューを読んだときに、なるほどねって思ってもらえたほうが中毒性があるのかなって。そういう魅力になるような暗号を散りばめるアーティストでいたいなって思うんです。だから、1人壮大コミケみたいなもんです。
──特にこだわったところというと?
喜多村 シンフォな曲「Revolution 【re:i】」ですけど、その延長線だけではなく、paroniria(=悪夢)って付けたくらいだから、ダークな部分が欲しくて。ゴシック感って、どこで出るかというとミサ感だったりクワイアだと思っていて。いわゆる聖堂で誰かが歌ってる声がオケとして支えている感じにしたかった。ゴシックメタルの中でもブラックメタルに近いような、つまり宗教感と言えば宗教感なんですけど…。悪夢というなら、自分以外の声が入っていてもいいと思っていたので、自分以外の声がオケのひとつとして細胞に組み込まれているのをやれたらいいなと。そこが聴けば聴くほど、怖いのか美しいのかっていう聴こえ方をしてくれたらいいんですけど。
──ちなみにMVでは、ライブのバンドメンバーの方々が参加していますね?
喜多村 そうですね。8月のライブでお世話になったチームキタエリのサポバンのみなさんで、8月のライブの前にHAKUEIさんとの対バンライブがあって、そのときもサポートしてくださったんですけど、そのライブのリハから、MVに向けてすでにこの曲を弾いてましたね。だから楽器の人は大変だろうなと思って見てました。「大変だね~」って言いながら(笑)。
──他人事(笑)。
喜多村 今回のMVは、さっきも言った「美しい怖さ」みたいなところを表したくて、躍動的なパフォーマンスではなく、朗々と深々と歌っているという無機質な人形であろうとしたので、本当に涼しい顔でやってたんですけど、みんなびしょびしょだったろうなと(笑)。あと、今後の展望としてだけど、生のバイオリンの人! MVで女性のバイオリニストに出てもらったんですけど、すごくカッコいいなと思って。ライブでもストリングスパートが欲しいなと思いました。この楽曲によって、またやりたいことが広がりました。
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