『サクラダリセット』「集中して見てくれる方との心理戦」川面真也監督インタビュー

2017年04月26日 19:300
(C) 河野裕・椎名優⁄KADOKAWA⁄アニメ「サクラダリセット」製作委員会

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「2クール目は最後までずっと山場になります」(川面)


── キャラクターの印象について教えてください。監督としてはこうした作品の場合、キャラクターをどのように読み解いていかれるのでしょうか?

川面 「サクラダリセット」の場合はちょっと特殊なのかわからないですが、最後までアニメ化するということが決まっていて、そこでわかることが山のようにある。つまり、全部がそこに向かって進んでいるわけですから、表情ひとつ取っても第1話の時点から最後のことを考えて作っています。春埼については最初、けっこう受身なところがあるんですけど、ケイも菫も、先を見通しながら動いているところがあって、そのあたりがちょっと特殊なキャラクターだなという印象ですね。大人っぽいっていうか、もはや達観しちゃっていて、どうしたんだろう? という(笑)。そういう意味では、彼らは実は普通の社会ではちょっと生きにくい感じの人たちなんですよね。咲良田で能力を持っている人たちは、心に何かがあって、能力がないと自分らしくいられないというか、能力で自分を補完している人たちなので。いうならば、能力のおかげで自分らしく生きていられている人たちなので、その本質はかなり特殊ですよね。能力がなかったとしても、いろいろ繊細すぎたりして、普通の社会ではかなり生きにくい人たちだと思います。

── キャラクターのデザインについてはどんなオーダーを出しましたか?

川面 原作の挿絵は塗り方も含め、透明感のあるやわらかい感じで、それはまさに「サクラダリセット」の感じなんですけど、アニメはあまりフワッとしないほうがいいのかなと思っていて、ちょっとだけ生っぽい方向にもっていきました。ただ、あまりに生っぽくするとかわいくないので、原作の要素を残しつつリアルめにとオーダーしました。キャラクターデザインの下谷智之さんがキチッとしたプロポーションを描ける人なので、けっこうリアルな体型になっていると思います。

── キャスティングについてはいかがでしたか?

川面 オーディションでしたが、スムーズだったと思います。これだけ特殊なキャラですし、オーディションの時点で小説を最後まで読んでくるのは難しいので、最終的に「懐の深さを感じた人」で選んだところ、今回の皆さんになりました。花澤香菜さんと悠木碧さんで、春埼と菫どっちがどっちかなというのは迷いましたけどね、実は。お2人ともどっちも受けていて、どっちも上手なんですよ。春埼も、悠木さんの得意な分野だと思うんです。花澤さんの、元気でちょっと野良猫みたいな感じという最初のオーダーの菫もいい感じだったんです。最終的には今のかたちになったんですけどね。


── 画面作りはどんなイメージで行なわれましたか?

川面 キャラクターをリアル方向に振ったのと同じく、現代の日本の地方都市にありそうな感じで、リアルすぎないくらいの塩梅でお願いしました。実際の街そのままにしてしまうと、「サクラダリセット」の特別感が薄れてしまうかなと思ったので、そのへんは曖昧にしています。キャラクターもそうですけど、そのラインをリアルに寄りすぎないようにしてちょっと隙を作るというか、決めつけない形。たとえば空にしても、雲がいらないシーンでは意図的に雲なしにしています。そうすると、割と隙のある絵になるんですよ。そういうほうが、擬似ファンタジーっぽい印象になるので、いつもより隙のある絵になっているかなと思います。いつもは絵には隙がないほうがいいかなと思っているのですが、今回は割と隙間というか、空間的に広いシチュエーションが多いかなと思います。

── 今回、川面監督がそういった新しいことを試したのは、本作の作品性に寄ったためでしょうか?

川面 そうですね。なんとかして「サクラダリセット」の雰囲気、僕の頭の中にあるイメージに近づけないかなということがあってのことですね。フィルターをかけて極端な方向に走るということはしていませんが、細かくいろいろなしかけをして、視聴者が「なんとなくそんな感じかな」みたいなふうにとらえてもらえればと思っています。印象として咲良田の雰囲気っぽいなと、最初の段階で思ってもらえればベストなんです。なぜそう見えるのかというのは、わからなくても全然いいんです。


── 今後の展開や作品の楽しみ方について、読者と視聴者へメッセージをお願いします。

川面 第4話でお話がひと区切りしますので、そこまでで咲良田の世界観やケイたちの行動パターンがひと通り見えてきます。そして第5話で改めて説明をして、第6話からまた怒涛の本編が始まります。1クール内に1回山場がきて、それをきっかけに、2クール目は最後までずっと山場になります。浦地正宗という重要な人物が出てきてからは、ストーリー重視でどんどん進んでいくので、そこまではなんとか我慢して(笑)、お付き合いいただければと思います。正直に言えば、部屋を暗くして音をでっかくして、集中して全部見てください(笑)。なんだったら4本くらいためて、一気に見たりするほうがもしかしたら楽しいかもしれないです。

── この作品の場合、繰り返し見ていただくような楽しみ方もあるかと思いますが、いかがですか?

川面 こういうのは黙っていたほうがカッコいいんでしょうが(笑)。第10話まで見た段階でもう1回、第1話を見てもらって、次に第23、24話あたりまで見てから再度第1話を見てもらうと、何を示唆していたのかというのがわかると思います。第1話だけはちょっとお客さんにストレスを強いる作りをしているんですが、そういう楽しみ方ができるようにはなっていると思います。実はそれ以降、第1話でやっているようなことはなかなか尺の都合でできていなくて、ストーリーを進めるということが多いので。クライマックスを見たあとでまた第1話を見てもらうというのも、ひとつの楽しみ方としてあるかなと思います。



(取材:日詰明嘉/奥村ひとみ 構成:日詰明嘉)


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サクラダリセット

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放送日: 2017年4月5日~2017年9月13日   制作会社: david production
キャスト: 石川界人、花澤香菜、悠木碧、江口拓也、山田悠希、牧野由依、三澤紗千香、相坂優歌、西山宏太朗、逢田梨香子、井口祐一、大原さやか、上田燿司
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