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現代に「リブート」したナンバーズたちの物語
──「009 RE:CYBORG」ではサイボーグ達がバラバラな状態から始まりましたが、今回は全員が初めから集まっています。「9人が力を合わせて戦う」という王道が狙いでしょうか?
柿本 前作と今回とではコンセプトが違います。前作は「009達が長い道のりの果てに行き着いたその先の話」ですが、今回は「現代に『サイボーグ009』のアニメが再び始まった」という作品です。原作でも9人揃っているところからストーリーが始まっていますしね。言わば前作が「リセット」とすれば、今回は「リブート」なんです。
──本作ではキャラクターデザインも一新されましたが、中でも001と003がかわいらしいですね。
柿本 あれは齋藤将嗣さん(「楽園追放-Expelled from Paradise-」などのキャラクターデザインを担当)が作ったキャラクターの素晴らしさだと思います。劇場で上映させていただいたときも、001はすごく人気を博する結果になりました。キャラクターの立ち位置が原作から変わったわけではないのですが、初めて観ていただく方に、“「サイボーグ009」にはこういう魅力があるんだよ”と伝わればいいなと思っています。
──サイボーグ達が力を合わせるバトルも見応えありますね。009が地上を、002が空中で同時に高速移動して連携をするシーンなどが印象的です。
柿本 最初からチーム戦を意識することで、ああいうシーンが生まれたんです。「サイボーグ009」は1人ひとりがスタンドプレーをしているようで、全体的には互いのことを思いやってチームプレイになっているところも魅力だと思います。
──今回の敵「ブレスド」は、神のような力を持った超能力者ですね。この発想はどこから生まれたのでしょうか?
柿本 原作では最終的には神様との戦いに至りましたが、神様を超えるスケールの敵はもういないので、今回は違ったベクトルの敵を出そうと思ったんです。我々独自の、「地に足の着いた設定の神様的な存在」がブレスドなんです。
──ブレスドは正体を隠して、世界の裏側から操っている影の支配者ですね。
柿本 個人的に、表舞台に立つことは得策ではないといいますか、裏から動かすことが一番賢いと思うんです。自分の身を守るという意味もありますし、人類を一手に掌握する謎の存在というスケール感から出た発想です。実際にいてもおかしくないと思えるぐらいリアリティを突き詰めるのは、神山総監督の作り方でもありますね。
──バトルも理詰めで作られていますね。ブレスドが分子を操作するから、それを妨害するには物理的にどう働きかけるかという。
柿本 3DCGは、起こったことを論理的に物理現象と紐付けていかないと、ちゃんと絵に反映されにくいんです。そこは脚本家の方たちも面白がって、一生懸命考えてくださいました。
──特にこのシーンで苦労した、という箇所はありますか?
柿本 この後に宇宙で戦うシーンがあるんですが、どうやって手描きアニメと宇宙空間の描写で差異をつけるかには心を砕きました。3DCGアニメだからできる無重力の表現を試行錯誤したり、スタッフみんなで海外の映画を観たりして工夫しました。
──最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
柿本 「サイボーグ009」というずっと昔から続いてきた作品の上に、僕らの作品を乗せさせていただきました。本作をみなさんに観ていただいて、脈々と受け継がれてきた「サイボーグ009」というシリーズの長い歴史を感じてもらいたいですね。これからも続いていく「サイボーグ009」シリーズの礎になるように、と思いながら作った作品ですので、悠久の時を感じながら見ていただけるとすごく嬉しいです。
(取材・構成/多根清史)
【配信情報】
■CYBORG009 CALL OF JUSTICE
・配信開始日:配信中
・配信サイト:Netflix(https://www.netflix.com/jp/)
【スタッフ情報】
・原作:石ノ森章太郎
・総監督:神山健治
・監督:柿本広大
・キャラクターデザイン:齋藤将嗣
・アニメーション制作:SIGNAL.MD、OLM Digital,Inc.
・製作:石森プロ、Production I.G