シドニアの騎士
放送日: 2014年4月11日~2014年6月27日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
(C) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
「亜人」から「BLAME!」、そしてこれからのポリゴン・ピクチュアズ
──ロボットアニメでファンをつかんだのだから、次のアニメもロボットアニメ……という流れになるのが自然かと思うのですが。
塩田 社名がポリゴン・ピクチュアズ……ポリゴンは多角形という意味なんですが、その名前の通り、作風が一貫しないというか……これはもうウチの“血”のようなものだと思うんですが。ロボットアニメで成功したんだからロボットアニメをやるのがビジネスとしては儲かるのでしょうが、そうはならないというか。次に出会う作品でまた面白いことをやろう、となる。
──そこで選ばれたのが桜井画門先生の「亜人」という。
塩田 現代劇、しかも人間の芝居が多い「亜人」は、決して3DCGで作るのに向いている題材ではありません。しかしポリゴン・ピクチュアズは常に「CGであるからこそできる表現」を求めています。元々がCG屋なので「CGの可能性」を広げていきたいという、CG至上主義的な部分があるんです。
──CG至上主義、ですか。
塩田 手描きのアニメからCGアニメを作るようになった他の会社と我々の、方向性の違いといいますか。マンガをアニメ化するとして、もちろん原作のテイストをCGで再現することに注力はしますが、それはイラストを完全コピーするということではありません。必ずCGならではの表現というものを追求します。たとえば「亜人」であれば「IBM(黒い幽霊)」の表現ですよね。あの表現はCGだからこそできたことだと思います。またCGにとっては不得手な現代劇に挑戦することも、CGの可能性を広げるチャレンジになります。そういうところから「亜人」を制作することになりました。
──チャレンジといえば、「亜人」はTVシリーズと劇場版が並行して制作されているんですよね。
塩田 最近はTVアニメを作って映像ソフトを売るという従来のビジネスがうまく回りにくくなっていくいっぽうで、映像コンテンツといえども映画館などのライブの場におけるファンとの直接の触れ合いがより大切になってきています。これは日本のアニメビジネスのすごいところで、こうやってあらゆる媒体が平等にシームレスに連動していくというのは他の国ではなかなかないことですし、参考になるな、とも思います。
「亜人」では、そういう流れを意識して、まずは映画、つまりライブとして展開し、その勢いでTVシリーズを放映、ファン層を熟成していく……そうやって勢いをキープして、ビジネスに繋げていきたいと考えました。
──さて、現在、劇場版最終章となる「亜人 -衝戟-」が上映中ですが、観客の反応も含め、手ごたえはいかがですか?
塩田 今のところTwitterなどの反応を眺めていると好評で、面白かったと思っていただけているようですね。
基本的に制作には口を出していないんですが、唯一「映画で見せるなら、映画としての価値をきちんと持たせてほしい」ということは常に言ってきました。アクションも、バトルも、音まで含めた「ライブ」としての価値です。お金を払って観に来てくださるお客さんが上映時間の中でしっかりと満足して帰っていただけるようでなければいけない。皆さんの反応を見て、それをちゃんと実現できたかな、と思っています。
──たしかに最終章にふさわしく、バトルやアクションも盛りだくさんで、エンディングも含めて大変“映画らしい”作品だと感じました。
塩田 逆に、現在放送中のTVシリーズ第2クールは時間をかけて、より各キャラの人物像にフォーカスしていく内容になっています。こちらも、また劇場版とは違った楽しみ方ができると思います。
──TVシリーズを見て、再び劇場版「亜人」を観返す……なんて楽しみ方もありですね。さて、続いては2017年に公開予定の劇場アニメ「BLAME!」ですが……再び弐瓶勉先生の原作です。あえて今、本作にチャレンジする理由を教えてください。
塩田 「シドニアの騎士」をやったら次は「BLAME!」でしょう、みたいな(笑)。そういう気持ちだったと思うんです。やっぱり「BLAME!」はひとつの金字塔ですから。世界中にハードコアなファンが多い作品だし、だからこそちゃんとやりたい。そしてそういう人たちにこれぞ「BLAME!」というアニメを届けたい、という話を原作者である弐瓶先生とも話をしています。
──弐瓶先生の全面協力・総監修がうたわれていますよね。
塩田 今回、弐瓶先生に「シドニアの騎士」のとき以上にガッツリと参加いただいています。原作はなかなか難解なストーリーのマンガではあるんですが、映画としてのエンターテインメント性はもちろん重要ですから、初めて劇場で「BLAME!」に触れるという方にも理解していただけるように再構成しています。もちろん、ハードなファンの方が観ても喜んでもらえる要素もしっかり盛り込んだ内容です。
──「BLAME!」制作における映像面でのテーマとは何でしょうか?
塩田 現在公開中のトレーラーを見ていただくと少しわかるのですが、いわゆるアニメ調というだけではない、トゥーンなんだけどきちんと物理計算を必要とするリアルなライティングにチャレンジしています。これは子会社である「J CUBE(ジェー・キューブ)」が開発した、「マネキ」という新しいトゥーンシェーダーをこのプロジェクトで全面的に使用しているためで、これまでのCGアニメとはまったく異なる質感を出すことができると思います。
──それは、本編を観るのがすごく楽しみです。それでは最後に今後の3DCGアニメ、そしてポリゴン・ピクチュアズの展望について、うかがいたいと思います。
塩田 ポリゴン・ピクチュアは元々CG屋として、常に世界と戦って勝ちたいと思っている会社なんですが、アニメ調のCG作品という分野においてはそれができると思っています。
日本ほど複雑で凝ったアニメをつくる国はありませんが、そういう作品に対する需要って世界中どこの国にもあるんですよね。ただ、ほとんどの国のマーケットに供給ができていない。それはアニメやコミックは子どものものだという先入観があるからです。そういう中でNetflixと組んで世界供給を実現していけば、我々は絶対的なプレーヤーになれると思っています。そういったヤングアダルト、アダルト向けのアニメ作品というのは、アメリカの会社には作れませんから。
あとは最近すごく流行っているVR、ARもやっていきたいですね。先日発表したバンダイナムコエンターテインメントさんとの「プロジェクト レイヤード」では、リアルタイムエンジンを主体的に作りながらアニメーションを作り、それによってゲームとの親和性を高めていくという試みにチャレンジしていますが、こういうことにもドンドン挑戦していきたいと思っています。
──今後のポリゴン・ピクチュアズの活躍が楽しみです。本日はありがとうございました。
塩田周三(しおた・しゅうぞう) プロフィール
(C)POLYGON PICTURES
(C) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
(C) 桜井画門・講談社/亜人管理委員会
放送日: 2014年4月11日~2014年6月27日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
(C) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
上映開始日: 2015年3月6日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
(C) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
放送日: 2015年4月10日~2015年6月26日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
(C) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
上映開始日: 2015年11月27日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 宮野真守、細谷佳正、大塚芳忠、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、木下浩之
(C) 桜井画門・講談社/亜人管理委員会
放送日: 2016年1月15日~2016年4月8日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 宮野真守、細谷佳正、大塚芳忠、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、福山潤、木下浩之
(C) 桜井画門・講談社/亜人管理委員会
上映開始日: 2016年5月6日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 宮野真守、細谷佳正、大塚芳忠、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、木下浩之、福山潤
(C) 桜井画門・講談社/亜人管理委員会
上映開始日: 2016年9月23日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 宮野真守、細谷佳正、福山潤、大塚芳忠、平川大輔、櫻井孝宏、小松未可子、木下浩之
(C) 桜井画門・講談社/亜人管理委員会
放送日: 2016年10月7日~2016年12月23日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 宮野真守、細谷佳正、福山潤、大塚芳忠、平川大輔、櫻井孝宏、小松未可子、木下浩之、鈴村健一、森川智之、坂本真綾、洲崎綾、斉藤壮馬
(C) 桜井画門・講談社/亜人管理委員会
上映開始日: 2017年5月20日 制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 櫻井孝宏、花澤香菜、雨宮天、山路和弘、宮野真守、洲崎綾、島﨑信長、梶裕貴、豊崎愛生、早見沙織
(C) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
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