【新作プラモレビュー】「HG スコープドッグ」は限られたパーツ数で極限まで可動を実現した、「ボトムズ」キット入門に最適な一体! 声優・泰勇気が作例に挑戦!

2023年11月04日 18:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

社会人ともなると忙しい毎日の中で積みプラが増えてしまいがち……。そんなあなたに代わって、ロボット&プラモデル大好き声優の泰勇気がプラモデル製作に挑戦するのが、この連載!

コンセプトは「忙しい社会人でも、週末の休みを使えばここまでできちゃうよ」。ルールは素組みで、1~2日の制作期間の2点のみ! この連載を読めば、きっとあなたの作ってみたいプラモデルと出会えるはずだ。

 

というわけで、「声優・泰勇気の週末プラモ!」第84回スタート!

 

■泰勇気の週末プラモ 第85回 HG スコープドッグ

 

40周年を迎えたアニメ「装甲騎兵ボトムズ」。先日、西武渋谷店モヴィーダ館にて開催されていた「装甲騎兵ボトムズ40周年展」も記憶に新しいところですが、このたび、バンダイスピリッツより一般販売のHGブランドで「スコープドッグ」の新作プラモデルがリリースされ、大きな話題を呼んでおります。

今回はこの記事制作のために、担当編集さんみずからが発売日当日の朝からお店に並んで購入してきてくれました!(ライターの泰勇気本人は朗読劇の本番期間でした)

現在、さまざまなメーカーから発売され、さまざまな解釈でプラモデル化されている「装甲騎兵ボトムズ」ですが、はたしてバンダイスピリッツはどのようなアプローチでキット化したのでしょうか!?

ちなみに「スコープドッグ」とは「装甲騎兵ボトムズ」劇中に登場する人型メカ「アーマードトルーパー(以下、AT)」の一種の総称であり、劇中ではほかにもさまざまなATが登場します。

 

パッケージには、爆発をかいくぐりローラーダッシュを決めるスコープドッグの姿が描かれています。右脇には動かなくなった機体も横たわっていますね。世界観がよく描かれているように思います。

箱を開けて最初に驚いたのは、意外とランナー枚数が少ない……すなわちパーツ数が少ないこと。

ベーシックな状態のスコープドッグとはいえこのパーツ数で形になるのか? と思って組み立ててみたら……

 

見事に形になりました。

今回のキットの仕様として武装はヘビーマシンガンのみ付属。それ以外の、ソリッドシューターなどの武装やコクピット内部パーツなどは別売となっており、非常に構成はシンプル。機体の設計も極力シンプルにまとめることにより、パーツ数が極限まで抑えられています。

 

しかし、ご覧の通りスタイルは抜群。頭部が小さくなっていたり、脚が長くなっていたりといった現代の流行に寄せたアレンジは施されていません。

正面から見た時に、パーツの合わせ目が全く確認できないのもよいです。HGブランドにおいて意外と鬼門になるんじゃないかと思っていた、腹部や膝のバーも接着剤不要で組付けられています。

 

背中には、ミッションパックを背負うためのフックがあります。合わせ目らしい合わせ目はこの背中の部分だけ。スライド金型の使用により、肩アーマーのリベットがひとつもゆがんでいないことにも驚きました。

 

ぱっと見たところ、気になるヒケも見当たりません。

スコープ内のレンズは付属のプラスチックシールで再現。頭部の二本のアンテナの根本付近にのみ、破損防止のため支えがあります。肩のフックは別パーツのフリー状態。

 

腹部・腰部の形状もよいです。前腕には排莢口の造形もあります。

手首のバリエーションに、穴の開いていない握り拳が欲しいところですが、それは別売のセットの中に含まれています。

手首はボールジョイント接続。手の甲の装甲も可動します。

 

脚部。設定的にもシンプルなカラーリングなため、配色はパーツ分割で完璧に再現されています。

ここまで見てきて、いわゆる「バンダイエッジ(※編注:玩具の安全基準に従って、設定上は鋭いエッジ部分に鈍い角度をつけて、パーツの尖りを減らす仕様の通称。子供でも安全に遊べるように、というバンダイスピリッツの気配りの現れと言えますね!)」がデザインに影響を与えている様子はないと感じます。

 

背中のフックはおそらく「C型ジョイント」になっていて、ミッションパックは「パチン!」と固定されそうです。背中の合わせ目もミッションパックを背負ってしまえば全く見えなくなるので、今後のさまざまな装備の発売も楽しみです。

 

さすがに足首脇のターンピック可動再現はオミットされていますが、立体感にこだわるのであれば、ここには何か尖ったものを仕込むのもありかもしれません。

脚部も合わせ目が全く出ない、絶妙なパーツ設計となっています。

 

腰部スカートアーマーは、前後左右とも跳ね上げることが可能。装甲部分は1パーツで成型されているにも関わらず、裏面にもディテールが入っています。

 

足裏にはちゃんと左右の区別があります。ローラーのディテールもしっかり入っています。

 

ターレットレンズは回転が可能。さらに台座は頭部のレールを左右に移動させることができます。

 

頭部自体は胴体にボールジョイント接続。左右の回転以外に、上下にも若干動かすことができます。このあたりは、アニメ劇中の作画の再現のために付加された可動だろうと思います。

肩のブロックはポリパーツは使用せずに、胴体との接続・肩アーマーの取り付け・上腕との接続という役割をこなしています。これまでのキャラクターモデルなら左右から合わせて中にポリパーツを仕込む、というのがポピュラーだったので、この設計には驚きました。

 

さらに胴体側の肩の可動も引き出し式になっており、こちらもアニメ劇中のアクションの再現に役立っています。

 

こちらもやはり設定にはない可動で、ボディが前屈します。

アニメにおける二次元のマジックをクリアするために、あえて設定以上に可動部が追加されていますが、デザインそのものをじゃますることはありません。

このあたりの「可動部の追加」が、今回のHGボトムズシリーズの特徴だと思います。

 

アームパンチはもちろん前後に可動。手の甲の装甲裏にもモールドが入っています。

それにしてもこの厚みのパーツが1パーツって……。昔なら壮大にヒケが入ってましたよね。

 

膝も二重関節によりここまで可動。こう見えて片膝立ちも可能です。

 

付属武器はヘビーマシンガン。こちらも少ないパーツ数で簡単組み立て。グレーのパーツの後ハメさえクリアすれば、合わせ目消しもそれほど難しくなさそうです。

側面の六角形のマガジンもこの厚みで1パーツ。思い切ったことをやっています。

 

マシンガンは手首にそのまま持たせることが可能です。

フォアグリップを動かし、左手を交換して両手持ちを再現。肩関節の可動部が生きています。

また、ローラーダッシュで移動している最中の、体重を片足にかけたような姿勢でも自立しています。

 

頭部、肩、胴体の追加可動によりこんな力強いポーズも可能。

股関節の接続は基本的にボールジョイントなのですが、さらに太ももにロール回転可動をさせるための分割があります。ただこの分割ラインは、腰部の装甲でほとんど目立たない位置にあります。

 

足首の接地性も上々。

 

股関節がボールジョイントなので開脚の可動はそこそこですが、そもそもATは180°開脚するようなアクションを見せるイメージはないので、ATとしては十分な可動だと思います。

 

今度は右膝をついた片膝立ち。左膝にバーがない分こちらのほうが自然かも。

 

脚部の接地性の秘密は足首のパーツ構造にあるわけですが、ここもパーツ数は極めて抑えられていて、なぜこのパーツ数でこれほどの可動が確保できているのか……不思議です。

 

ATといえば「降着ポーズ」。HGでも完全変形で再現されています。

まずリアスカートを跳ね上げます。

 

脚部を太ももから後方へ持ち上げます。

 

脛部分を変形させ、膝内部の関節や足首をイイ感じの位置と角度にすれば完了。

 

このように、降着ポーズも難なく再現できます。

 

このあたりは、数多くの可変キットを手がけてきたバンダイスピリッツとしては得意なところだったのかもしれませんね。

プラスひと手間はドライブラシで、より渋く!


さて、今回は装備も最低限というところだったのでキットの紹介はこのくらいにして、気軽にひと手間加えてみましょう。

今回の加工は、最近個人的にブームとなっている、ガイアノーツのギルディングワックス(シルバー)を使ったドライブラシです。

 

暗い色合いのキットなので、シルバーのドライブラシが映えます。いかがでしょうか。簡単に金属感が出るのでお勧めな作業です。

特にATはきれいに使われるメカではないので、素組みで終わらせるよりもいい雰囲気になるのではないかと思います。

 

どこが擦れそうか、ぶつかったりしそうかを考えながら、主にエッジの部分などにドライブラシを施してあります。

加工はそれだけです。簡単そうでしょ? 実際、簡単です。

 

ボディのエッジや肩アーマーは、特に塗装がはがれていそうですよね。なのでそのあたりを中心にドライブラシを施していきます。

肩を赤く塗るのは、また今度ということで。

 

武器も敵が使っていたのをぶんどって使用することもあるので、決して塗装がきれいな状態ではないでしょうから、使用に支障がなさそうなところまで汚すといいでしょう。

 

脚部なんかはローラーダッシュ中に岩やら瓦礫やらいろんなものにぶつかりそうなので、派手目にドライブラシを施してもいいかもしれません。

あとは、おのおの購入した人のイマジネーション次第ですね。

 

今回のHGスコープドッグは、「装甲騎兵ボトムズ」のプラモとしては価格的にもサイズ的にも入門キットとして適している気がしました。各社さまざまなコンセプト、サイズで展開されている「ボトムズ」プラモへの導入キットとしての役割もあるように思えて、非常に存在意義のある商品かと思います。

ATはスコープドッグのバリエーション機以外にも、ベルゼルガやファッティなど魅力的な機体が多数存在します。今後予定されているラインアップの中には、主人公がATに乗らないスピンオフ作品「機甲猟兵メロウリンク」のタイトルも並んでおり、やはり今後の展開には期待せざるを得ません。

過去にバンダイから発売された1/20スケールのシリーズよりも自由がききやすそうなサイズの「HG」ブランドで、次は一体どのATが登場するのか!

見守っていきましょう!

 

 

【商品情報】

HG スコープドッグ

・発売中

・価格:2,750円(税込)

・メーカー:バンダイスピリッツ

泰勇気

泰勇気

「無敵超人ザンボット3」放送開始2日前生まれ。幼少期より玩具(特にロボット)を愛し、小学生からプラモを組むようになる。声優となってからもロボット玩具・プラモ好きは変わらずアキバ総研でライターデビュー。

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装甲騎兵ボトムズ

装甲騎兵ボトムズ

放送日: 1983年4月1日~1984年3月23日   制作会社: サンライズ
キャスト: 郷田ほづみ、弥永和子、富田耕生、千葉繁、川浪葉子、銀河万丈、戸谷公次、玄田哲章、広瀬正志、郷里大輔、速水奨、政宗一成、麦人、上恭ノ介、緒方賢一
(C) サンライズ

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