「泣きの演技」は嬉しい誤算!? 劇的な消失が話題を呼んだ「仮面ライダーセイバー」仮面ライダーエスパーダ/富加宮賢人役の青木瞭インタビュー!

2020年12月18日 15:140

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聖剣によって選ばれし剣士たちの活躍を描く令和仮面ライダーシリーズ第2弾「仮面ライダーセイバー」(毎週日曜午前9時 テレビ朝日系にて放送中)。「剣」と「本」をモチーフにした斬新な組み合わせや、続々と現れる仮面ライダーと個性あふれる変身者たち。ファンタジックな世界観とともに彼らが織りなす人間模様と戦いが描かれてきたが、そんな中、去る第13話において、仮面ライダーエスパーダ=富加宮賢人の劇的な消滅が描かれ、SNSを中心に大きな話題となった。

そこで今回、富加宮賢人役・青木瞭さんへの緊急インタビューを敢行。出演から消滅へと至る道程、そして消滅場面の撮影エピソードなど、これまでの登場シーンについて存分に語ってもらった。

 

自分でも納得したうえで消滅した第13話

 

――第13話で、闇の力に飲み込まれて消滅を遂げた富加宮賢人ですが、演じ手として今現在のお気持ちはいかがですか?

 

青木 予想はできていました。どういう消え方をするかまでは想像できなかったけど、第7~8話くらいの台本を読ませていただいた時点で、いつか自分は近々ああいう日を迎えるのかなと思っていました。なぜかといえば賢人は自暴自棄とまではいかないけど、とにかくひとりで突き進んでしまう性格で、自分で演じながらもどこか危うさを感じていたんです。今は無事に第13話のオンエアを迎えて、穏やかな気持ちというか、自分でも納得した消え方ができたなと思っています。

 

――今、うかがった話だと、出演が決まった時点では1クールで退場することは知らされてなかったんですか?

 

青木 ええ。全く聞いてませんでした(笑)。僕が具体的に聞いたのは第10話~11話の台本をいただいたとき。それこそ10月の半ば頃のことで、かなり終盤になって知った感じですね。

 

――出演はオーディションでつかんだ役柄ですよね。1年間続く番組で、1クール目で退場とは、ショックだったのではないでしょうか?

 

青木 確かにショックはショックだったんですけど(笑)、それもまた仮面ライダーシリーズの醍醐味で、過去にも途中退場したキャラがいたのも知っていたし、それがまた人気を博したりもしていますよね。とにかく、これからはいち視聴者として観ていくのを楽しみにしています。

 

――オンエア当日はSNSも非常ににぎわっていましたね(笑)。

 

青木 ええ。けっこう反響をいただけたのではないかなと思っています。さまざまな感想をリプライしていただき、なかには「復活してください」という声もあって、めちゃくちゃ嬉しかったです。

 

 

――さかのぼって、オーディションを受けるうえではどのようなお気持ちで臨みましたか?

 

青木 オーディション自体が2年半ぶりくらいと久々だったし、舞台を終えて間もなくだったこともあり、「何をやればいいんだろ?」とかなり不安がありました。特技披露と言っても、別に特技もそこまでないですし(苦笑)。また、それまでは2.5次元ミュージカルでキャラに沿ったお芝居をしてきたのですが、映像をやらせていただくにあたっては、2年半やってきた役から気持ちを切り替えて、ゼロから全く新しい役を作らなくちゃいけないんだなって。そう思うと、めちゃくちゃ緊張してきたのを覚えています。

 

――そんな中、見事に役をつかんだわけですよね。

 

青木 受かったと決まった時はプレッシャーしかありませんでした。「50年も続く歴史ある長いシリーズに出られるなんて、自分、大丈夫か!?」って思いましたよ(笑)。シリーズ自体も「龍騎」から見始めて、「電王」あたりは強く記憶に残っているけど、正直、ずっと見続けていたわけじゃないんです。ただ、ちょうど「龍騎」を観ていた幼稚園の頃、クレヨンで描く「夢おえかき」というお題で、「仮面ライダーになりたい」と書いていて、それが今実家に置いてあるのですが、まさに受かった直後に見つけたんですよ。

 

――未来を予見して、見事現実のものにしたと(笑)。

 

青木 たまたま部屋を片付けようと段ボールを開けたら、「あ、こんなのがあったのか」って。これはちょっと運命的過ぎるなって、自分でも思いましたね。

 

――仮面ライダーといえば、若手俳優の登竜門ですが、そんな中、どんなお気持ちで現場に入られましたか?

 

青木 映像自体ほとんど経験がなかったし、ましてこんなに長く続く作品も初めてですし、まさに「初心忘るべからず」で撮影に臨みました。タイトルも大きいだけに、最初は気づかないところで驕(おご)りじゃないけど、どこかで慢心してしまうのが怖いなって思っていたんです。それは母親からもずっと言われていて「お前、どんなに人気が出たとしても、絶対に天狗になるな」って。そこは常に意識していて、現場では誰に対しても真面目に謙虚で、明るく元気に人と接しようと心掛けていました。

 



演じる側も今後の展開を楽しみに撮影している「セイバー」

 

――「セイバー」の作品世界、また役柄についての印象をお聞かせください。

 

青木 「文豪にして剣豪」とキャッチフレーズにもある通り「セイバー」は剣と本をモチーフにした作品ですが、最初に言葉で説明を受けた際には、なかなか想像がつかなかったですよね。でも、実際に始まったら「剣と本」という2つが組み合わさって、それが武器になったりしていて、「普通だったら、およそ接点がない2つの要素がこうやって交わるのか、すごいことだな!」と思うようになりました。これって仮面ライダーだからできることだと思うんです。さらに2つの魅力を盛り込むとともに、さまざまな伏線が散りばめられていて、演じる側もどういう展開になるかわからず、ドキドキしながら進んでいるところがありました。

 

――仮面ライダーエスパーダに変身する富加宮賢人役については?

 

青木 最初の頃はクールを第一に演じていたところがありますね。まずは何より脚本家さんが作ってくださったキャラ設定を崩したくないと思っていました。それこそ自分だけの考えだけで色を付けたり、肉付けをしてしまうと、話が進んでいく中、キャラ自体も迷走してしまうんじゃないかなと思ったんです。キャラ設定をしっかり守り、一度、役を固めたうえで肉付けしていくという風にやらせていただいていました。第3話くらいまでは、ただただクールな賢人を意識していて、第4話あたりから、台本上の賢人が少しずつ変わってきたし、クールではあるんだけど、その裏にいろいろと隠されているものが見えてきたので、それに応じて、自分なりの考えを反映させていくようになりました。今振り返ってみると、キャラを確立させていく過程は割とうまくいったんじゃないかと手応えを感じています。

 

――賢人の初登場は第2話のラストで、空飛ぶ絨毯に乗っての登場はかなりインパクトがありました(笑)。

 

青木 初登場といえば、僕の前に倫太郎はワンダーライドブックの力でライオンに乗って登場したじゃないですか。これを見て「もしかして、俺も何か乗り物に乗って登場するんじゃないかな」と思ったんです。それこそ倫太郎がライオンなら、賢人はランプの精とか(笑)。で、いざ僕の撮影になったら、柴崎貴行監督から「よし、賢人(青木さん)、絨毯乗るか!」「ええ~っ!?」って(笑)。いや、どういうことだろうって(一同笑)。その時点では全くイメージが湧きませんでした。

 

――絨毯は合成になるわけですよね。

 

青木 ええ。セット内にグリーンバックを貼っての撮影で、公式HPにも写真が載ってるんですけど、イントレみたいなちょっと大きめの台座の上であぐらをかいて撮影したんですが、自分の動きで揺れを表現しないといけないんですよ。それが初めてのお芝居で「うわ、なんだこれは!?」と(笑)。思わず監督に言っちゃいましたからね、「僕、ホントに肩揺らすんですか?」と。そしたら「もう好きにやっちゃっていいぞ!」って。

でも、最初ものすごく揺らしてみたらやり過ぎだったみたいで「あ、ちょっと揺れ過ぎ」と言われて、2度目でちょうどいいあんばいで揺れることができました。その後、「こんな感じで使うから」と仮の映像を見せていただいて、ようやく理解した感じです。

 

 

――第5話では、初の仮面ライダーエスパーダへの変身シーンがありましたね!

 

青木 これで僕も仮面ライダーになるのかと思うと、カッコいいとか考える余裕もなく、とにかく緊張しまくりでした。この回がホントに初変身で、シークエンスを決めるのも初めてだったこともあり、今振り返るとガチガチで「変身!」のかけ声も含めて撮り直したい気持ちもあります(笑)。撮影当日は1時間くらい前にロケ地に着いて、エスパーダのスーツアクターの中田裕士さんに「僕……どうすればいいですか?」と相談しました。中田さんにはゼロから付き合っていただき、動きを教えていただきました。剣の動作とかは練習の甲斐もあって滑らにできたと思うし、最後に一度姿勢を低くして剣を空高くつき上げる場面は僕自身背が高いし、体をダイナミックに使いたいなと思って組み込んでいただいた部分です。

 

――中田さん演じるエスパーダのアクションはご覧になっていかがですか?

 

青木 常々言ってるのは、身びいきかもしれないけど、とにかくどのライダーよりもエスパーダが一番カッコイイということです(笑)。見た目は100点満点、アクションは150点で、特に剣技が素晴らしいですね。華麗で流れるようなアクションで敵を次々と倒していくスピード感や、ダイナミックな動きもありつつ、その中にはスマートさも混ざっていて、トータルでカッコイイしか出てきません! 中田さんご自身は天才肌で、すぐに何でもできちゃう人なんですよ。それと人に教える際には「え、それはシュッとやってバッとやってガッとやればできるよ」みたいな感じで、擬音が多いのもちょっと面白いところです(笑)。

 

――縦軸を追うと、重要なのが、飛羽真自身は記憶を失っている中、ルナと賢人の3人は幼なじみだという設定があります。最初のセリフでも賢人は「もうひとりのことは忘れてるんだな」と飛羽真のことも知っていたわけですが、そのあたりのバックボーンも気になるところです。

 

青木 3人の思い出の場所で本を読む場面がプレイバックで描かれていたものの、飛羽真は第12話でようやくルナのことを思い出したくらいで、そこは演じる僕らも監督やプロデューサーさんとその都度、相談して撮影している部分もあります。これはあくまで僕の解釈なんですけど、賢人が全てを背負おうとしていた理由としては、飛羽真の記憶がなくなったのは、きっと賢人自身が過去に何かをしたからなのかなって。そんなふうに考えて演じていましたが、僕たちの想像だけじゃ及ばないところがありますね。

 

 

――賢人を語るうえでは、それまで父親だと思っていたカリバーとの因縁も外せません。

 

青木 劇中では第10話が正体バレ回だったんですけど、撮影的には第7話&8話の石田(秀範監督)組で初めて知りました。視聴者的にもずっとカリバー=富加宮隼人だと思ってたはずですが、僕はこの回のアヴァロンの場面で、上条大地役の平山(浩行)さんと現場で一緒になって、「え、お父さんじゃないんだ!?」って(笑)。

 

――アヴァロンでの変身シーンは、正体をぼかしていましたが、平山さん本人が演じていたわけですね。

 

青木 ええ。ずっとお父さんだとばかり思っていたから、一瞬、気持ちが揺らぎましたよ(笑)。現場で一緒だった内藤(秀一郎)くんとも「え、マジっ!?」ってめっちゃ驚きでした。でも、そういうのもまた面白いところで、スタッフさんもわざわざ「こうこうこうなんだよ」とか言わないですし、むしろ、あえて僕らには伝えようとしなかったんでしょうね。

 

――賢人はカリバーの存在を前に大きく悩むわけですが、そのことで仲間としての結束が固まった部分もありましたね。

 

青木 それが描かれたのが第10話です。それまでも心の中ではお互いのことを思っていたはずなんですけど、それはあくまで個々の意思であって、共有できないでいたんですよね。でも、そこで同じひとつの目標に向かうと確固たる意思を示し、しかも剣を重ね合い、形としても見せることができました。それはすごくよかったと思いますね。実はその前に僕ら3人で「賢人だったら、こう思ってるだろう」とか「飛羽真だったら……」「倫太郎だったら……」と意見を出し合ったことがあるんですけど、そうなったときに全然色が違っていたんですよ。それはそれで面白いなと思いつつ、ようやく第10話で気持ちがひとつになれたんです。

 

――ここがある意味、3人の頂点だったようにも思います。

 

青木 そうですね。ここでしっかり約束したにも関わらず、カリバーの正体バレが描かれ、動揺した賢人は気にかける飛羽真の腕を払いのけて去っていくんですよね。台本を読んで「すぐにバラバラになってしまうんだ、また賢人ひとりで暴走しちゃうんだ」と思いました。ただ、ここで今一度、賢人なりにカリバーが父親じゃなかった心情を考えた時に、約束を違えるというよりかは、思考停止してしまったというか、考えることができなくなり、一度持ち帰って冷静に考えようとしていたんじゃないかなと。そこは視聴者に伝わったかどうかわからないけど、賢人って、さっきもお話したように猪突猛進型で、ひとつのことに集中すると、ついついまわりが見えなくなっちゃって(苦笑)。まぁ、そこがいいところでもあり、悪いところもあるんだけど、父親だと思っていた人が実は別人だったという事実に直面し、混乱したからこそ、ああいう行動に出てしまったんじゃないかなととらえて演じました。

 

――続く第11話では、思い悩む賢人と倫太郎のやりとりで「組織は家族」と信じる倫太郎に対し、「それはお前の私情だろ」と返す場面も重要だったかと思います。

 

青木 それまでは主人公でもある飛羽真のシーンが多くて、あとは尾上さんであったり、蓮であったりしたけど、倫太郎とああいうふうに本音でぶつかり合うシーン自体が初めてでした。倫太郎とあんなに濃くからむことは今までなかったので、あのシーンをやっているときは、あまりにも重過ぎる倫太郎の考えがあり、賢人もまた状況が変わったことで気持ちをぶつけたりと、とにかく芝居が重かった記憶がありますね。

 

――倫太郎役の山口貴也さんとのお芝居はいかがでしたか?

 

青木 山口くんは役を作り込むタイプで、現場に行っても彼はずっと考え込んで、セリフを反芻(はんすう)しているんですけど、僕は逆にそういうのは苦手で(笑)。いつもの自分でいないと、逆に本番でああいう感情を出せないと思っていたから、普段通り現場にいたんですけど、逆にそういう2人だからこそ、すごくいいシーンになったんじゃないかと思います。

 

富加宮賢人は二度消滅する?

 

――そして倫太郎は賢人を庇って負傷し、いよいよ消滅へと至る第12話、13話についてもうかがっていければと思います。

 

青木 最初は第12話のラストで飛羽真に抱きかかえられて消滅すると思っていたんですよ。その時点では第13話の台本をいだいていなかったですし。

 

――第11話&12話は中澤(祥次郎監督)組で、第13話(&14話)は、石田組と組を跨いでますもんね。

 

青木 ええ。実際、気を失うシーンに関しては、まさに消滅する意識で演じていて、またそれを撮影していたのですが、実は違いました(笑)。撮影自体は第11話&12話の序盤のほうで、監督はわざと言わないようにしてくださっていて、撮影が終わった後で「賢人は別にここで死ぬわけじゃないけどね」と教えていただきました。「え、ここで死ぬんじゃないですか?」って驚きましたよ。

 

――では、二度、消滅シーンを演じたみたいな?

 

青木 そういう感じですね。第13話については、台本をいただいた時点で、少し時間が空いていたこともあり、毎日のように台本を読み込んで「これでいこう!」と芝居を完全に固めていました。その自分のプランで監督にOKを取って気持をぶつけたいと考えていて、実際、石田監督にお伝えしたところ「わかった、お前の好きにやれ、全然好きにやっていいから」とおっしゃっていただけました。

 

 

――そこはもうブレることなく?

 

青木 ええ。自分の芝居の方向性ができあがっていたこともあり、気持ち的にもリラックスしていたのですが、撮影当日は朝、控室にいる段階から逆に誰も声をかけてくれないんですよ(笑)。みんなも重たい芝居で、いつも明るい芽依ちゃんも真剣だし、蓮も号泣しちゃうくらいのシーンだったこともあり、思いつめた表情をしていましたね。なんだかお通夜みたいな雰囲気になっていて、逆に消滅する僕のほうが「あれ?」って感じでした(笑)。

 

――石田監督には具体的にどういったプランを提示したんですか?

 

青木 最初は泣くつもりじゃなかったんですよ。その理由としては、単純に賢人が泣かないキャラとかそういうことじゃなくて、それまで心配かけたくないと思っていて、飛羽真にもそういった一面を見せてこなかったのに、ここで泣いてしまったら、飛羽真は立ち上がれないんじゃないかなって。消滅する前に不安要素を残すのがイヤで、最後まで強い気持ちを持ったままの富加宮賢人でいたかったんです。それに対して石田監督は「それはお前の芝居だから全然いいぞ」と。逆にやっているうちに監督も「ここはこうしたらいいんじゃないか?」とめちゃくちゃていねいに細かくご指導していただき、ぼくもまた自分の中の考えだけじゃなくて、また殻をひとつ破って監督が言ってくださったことに対して、さらに新しい部分を出していくことができました。悲しい場面ですが、演じる側としてはどんどん楽しくなっていった感じですね。

 

――泣かないプランとのことでしたが、それが泣いてしまったのは?

 

青木 それは嬉しい誤算でしたね。確かに監督にはそうお伝えしていたのですが、みんなとやっているシーンで、たとえば、内藤くん、山口くん、僕の3人って重なる部分もあるし、それをいろいろと思い返していたら、ついつい涙が出てきてしまったというか。撮影はカットを細かく割っていたけど、別にそれで気持ちが途切れることもなく、本当にスーッと涙があふれてきてしまったんです。当初のプランとは変わったけど、周囲の環境にも感化されて、自然とやれたので、それはそれでよかったのかなと思っています。

 

――ちょっと戻りますが、みんなが戦っている中、賢人がひとりひとりを思い浮かべて感謝の気持ちを述べる場面もとても印象に残りました。

 

青木 いや、フラグ立てまくりでしたね(笑)。状況的には芽依ちゃんに支えてもらっていたんですけど、気持を込めてどう言おうか、誰にどう向けるべきか考えました。結果、自分自身で過去反芻して言うイメージで演じたのですが、いや、あれはさすがに悲しくなりましたね。「あ、この後、俺は消滅するのか」とか考えてしまって……。しかも、あの過程を撮影しているときに、実際にセイバーたちが戦っている姿を生で見ていたので、余計に彼らに感情移入できましたし、ここもまたごく自然に気持ちを出すことができました。

 

――消滅する際のセリフで印象的なものはありましたか?

 

青木 どのセリフも思い入れ深いですが、まずは「こんな俺のために」と言うのはあげておきたいですね。やっぱりみんなが仲間である賢人を助けたいと思ってくれていたからこそ、出たセリフだと思っていて、ちょっと卑屈な言い方ではあるけど、そこはやっぱり賢人自身がそう思っちゃたんだろうなって。それから「みんなとこれからも戦いたかった」。これは悲しいというよりは、悔しい気持ち。みんなと同じ道を歩めないことが悔しい。そう思ってセリフを発しました。そして最後の「俺たちが生きていた世界を守ってくれ」は、それまで全てを背負おうとしていた賢人が初めて何かを人に託そうとして出たセリフで、消滅を目前に控えて、賢人は自分の気持を心の底から吐露したんじゃないかと思います。

 

――消滅自体は、赤い目を見開いて絶叫しながら消滅するという、なかなか壮絶な幕引きでした。

 

青木 あれは僕も驚きました。最後はニッコリ笑って飛羽真にソードライバーを預けるのが僕の勝手な妄想だったんですけど、監督が「おい、終わったら目が赤くなるぞ」といきなり言われて(笑)。監督はいつも端的におっしゃられる天才肌のタイプで、僕らの頭ではすぐに理解しきれないところがあるのですが、普段からとりあえずやってみて「違う」「違う」と導いてくださるんですよね。この場面も「とりあえず絶叫しろ」「わかりました」「苦しめ」「わかりました」「最後、目をカッと開けろ。そこで赤くなるから」「わかりました」と監督に全てを委ねて演じました。で、終わった後で監督ともう一度お話したところ、「闇の力に飲み込まれて消滅したんだ」とお聞きして、それで自分自身も納得できるものがありました。今はもう何の違和感もなく、スッキリした気分の自分がいますね。

 

これまで賢人を好きでいてくれて、ありがとうございました!

 

――本編では第13話をもって退場した賢人ですが、現在公開中の映画「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本」や動画配信サイト「TELASA」で配信中のスピンオフ作品「仮面ライダーセイバー スピンオフ 剣士列伝」第3話「an episode of 仮面ライダーエスパーダ」と、まだまだ活躍を観ることができるそうですね。それぞれいかがでしょうか?

 

青木 映画では、テレビで観られなかった6人での同時変身に注目してほしいです。これまで飛羽真、倫太郎、賢人の3人変身はあったけど、全員が一列に並んだ姿は壮観の一言です。それからナパームの迫力も劇場版ならではだと思います。テレビ本編では使っても一発くらいですが、セイバーとファルシオンの戦いでは、一度に10数発使っているのをロケ先で見て、この迫力には圧倒されましたね。それと僕らの前に立ちはだかるファルシオン=バハトがとにかく強い! 封印が解かれて出現したファルシオンに対し、セイバーがどう立ち向かうか、そこはぜひ、劇場で確かめていただければと思います。僕も公開が待ち遠しいですね。

 

――「剣士列伝」の第3話「an episode of 仮面ライダーエスパーダ」の見どころも教えてください。

 

青木 スピンオフは第12話と第13話の間の物語ですが、剣士になりたての頃の賢人も描かれていて、それこそ剣士になった理由をはじめ、賢人の人となりというか、改めて賢人がどういうキャラクターなのかを認識してもらえる作品になっていると思います。しかもかなり重たい内容で、第13話でベッドから起きていなくなるシーンも本編では省略されていたけど、どうやってベッドからいなくなり、どういう心持ちで戦場へ向かったのかが描かれているので、この作品を観ていただくと、賢人の見方がガラッと変わると思います。

 

――監督は第9話&10話を手がけた坂本浩一監督ですが、アクションなどは?

 

青木 坂本監督といえば、そこを期待される方も多いですよね。僕も第10話でアクションをやらせていただきましたが、今回はアクションが一切なく、そればかりかエスパーダに変身するシーンもないんです。でも、僕は逆にそこがすごいなと思っていて、監督ご自身が「今回は賢人を描きたいから、アクションは封印します」とおっしゃってくださって、みんなが知らない賢人の一面を存分に描いてくださいました。

 

――そろそろまとめにいきたいですが、改めてこの1クールの撮影を終えてみてのお気持ちをうかがえればと思います。

 

青木 今振り返ってみると、最初は大きな作品に出させていただいていることに対してのプレッシャーがあり、どこかフワフワしていた部分もあったけど、撮影の日々を過ごす中、自分が演じるからこそ富加美賢人=仮面ライダーエスパーダには意味があるんじゃないかと思うようになり、役柄に対して真摯に向き合い、キャストのみんなや大勢のスタッフに支えられ、ここまで辿り着くことができたと思っています。これからは視聴者と同じ立場で「仮面ライダーセイバー」を応援していきたいし、何なら視聴者と同じ感覚でオンエアには感想をつぶやこうかな、なんてことも今はちょっと思っています(笑)。

 

 

――これからも撮影を続けていく、キャストに向けてのエールはありますか?

 

青木 なんだかんだで撮影はハードスケジュールなので、おのおの体調には気を付けてもらいたいし、現場はいつも和気あいあいとしているけど、僕はそんな中、いざ撮影となるとビシッと締まる雰囲気が好きだったので、そこは崩さず、これからもがんばってほしいですね。

 

――それでは最後に富加美賢人を応援してきたファンへの向けてのメッセージをいただければと思います。

 

青木 賢人をわかってくださる方には思いが伝わったと信じていますが、なかにはちょっと苦手だとか、勝手に動き過ぎでしょ!とか(笑)、そういう人もいらっしゃると思うんです。そこはスピンオフを観ていただけると嬉しく思います。きっと賢人を知るうえでの一助となるはずです。これまで猪突猛進な賢人を好きでいてくれて、本当にありがとうございました。これからも「仮面ライダーセイバー」の応援よろしくお願いします!

 

(取材・文/トヨタトモヒサ))

 

(プロフィール)

あおき・りょう:1996年2月26日生まれ。神奈川県出身。応募総数約5000人の中から選ばれ、2017年8月より秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」の劇団員として活動を開始。2018年からはミュージカル「テニスの王子様」(3rdシーズン)にて、青春学園のテニス部部長・手塚国光役を演じ一気に注目を集めた。

 
【作品情報】
■「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本」/「劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」
・公開日:2020年12月18日(金)
・セイバーキャスト:内藤秀一郎、山口貴也、川津明日香、青木瞭、生島勇輝、富樫慧士、岡宏明、レ・ロマネスクTOBI
≪セイバー劇場版キャスト≫:谷口賢志
・ゼロワンキャスト:高橋文哉、岡田龍太郎、鶴嶋乃愛、井桁弘恵、中川大輔、砂川脩弥、桜木那智、山口大地、中山咲月、児嶋一哉
≪ゼロワン劇場版ゲスト≫:伊藤英明 福士誠治 山崎紘菜 畑芽育 小山悠 後藤洋央紀 アキラ100%

■『an episode of 仮面ライダーエスパーダ』 第3話
・TELASAにて配信中。
・URL:https://www.videopass.jp/videos/172566
~賢人が闇に消えた。何故戦いの場に現れたのか?直前のエスパーダを描くエピソード~テレビ本編第13章。賢人がカリバーの剣を受け、闇に散った。仲間の盾となって…。深手を負い、ベッドに横たわっていたはずの男が、何故戦いの場に現れたのか?衝撃のテレビ本編 第13章につながる“第13章の前談”。

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