コンセプトはイデオン×ひみつ道具? サンライズ・矢立文庫が贈る“動かないロボもの”「バシレイオン」の魅力に迫る

2017年03月16日 12:000

ロボ動かずとも物語は進む──ひきこもり青年の冒険と戦い


──ひとつ確認させていただきたいのですが……バシレイオンは今後ちゃんと戦うんですよね? 


クープマン 本日(3月16日)更新の第10回でだいたい全体の1/3ぐらいですが、ちゃんと最後の最後には戦いますので安心してください!

河口 そこはいちおうロボットものですから。今後、大きな陰謀とともにちゃんと物語が動き始めます。

クープマン これまで張った伏線もありますしね。まぁ、そんな伏線そっちのけでトンカツの話をしているわけですけども(笑)。

河口 真世の部屋の中の赤いボタンは何なのか? いつ押されるのか? 「アレ」がなければ本当に押せないのか? そもそも「アレ」とはなんなのか? ぜひ楽しみにしていただければと思っています。

──それを聞いて、いち読者として安心しました(笑)。では、そんなストーリーを彩るキャラクターについてうかがっていきたいと思います。まずはキャラクターデザインに中村さんを起用した理由を教えてください。

河口 中村嘉宏さんにお願いしたのは、かつて私が担当していた「OVERMAN キングゲイナー」で、キャラクターデザインとコミカライズをしてもらったのが縁ですね。最近も「コードギアス 亡国のアキト」を少し手伝ってもらったのですが、中村さんの絵がそもそもすごく好きなんです。なので、久しぶりに中村さんのキャラを見てみたいなと思って。

主人公・露島真世(つゆしま まよ)。中学のころから自室にひきこもっている23歳

 

──主人公の真世はイケメンなんですよね。


河口 真世については、ルックスはいいというのは発注時にお願いしました。子どものころは太っているんですが、今はイケメンという。さすがに主人公がイケてないと皆ひいちゃうんじゃないかなーと思って。

──ひきこもりという設定ですが、きっかけがあれば外出することができるキャラクターですよね。

クープマン 元も子もないのを百も承知で言っちゃうと、僕はひきこもったことがないですし、元々ひきこもるような繊細な人間でもないので、本当のひきこもりの姿は書けないだろうなと思いまして、そのあたりのバランスについては河口さんと相談して決めています。


河口 真世は本当のひきこもりではないんですよね。外が怖いとかそういう理由があるわけではなく、ただ、家の中にいれば全部世話をしてもらえて快適だから外に出る必要がない、必要がないから外に出なかったというだけで。だから真世はやる気になれば外出できますし、やればできる子なんです。

──そんな真世を守りつつも辛口なバシレイオンのAIですが、本作のヒロインといっても過言じゃない濃いキャラクターですよね。

クープマン 最初はバシレイオンにしゃべらせる予定はなかったんですよ。ただ、小説という媒体ですし、バシレイオンも物語中で動かないから、存在感を出すためにもしゃべらせたほうがいいんじゃないかという意見が河口さんから出て今の形になりました。
自分の中では美少女をイメージしてしゃべらせていたんですが、実際に鈴木さんから上がってきたデザインはアレという(笑)。でもかえって、そのギャップがあったからこそ結果として面白いキャラクターになったと思いますね。

ヒロイン・平静香(たいら しずか)。実年齢は20代だが、10歳で成長が止まってしまったというキャラ


──もういっぽうのヒロインの平静香ですが、10歳で成長が止まっているという設定です。この理由を教えてください。


河口 ヒロインは合法ロリにしようと思って(笑)。


クープマン 最初、設定を聞いたときには「なんのこっちゃ?」と思いました(笑)。そういえば中村さんから最初に上がってきたデザインは少し年齢が高いイメージでしたよね。


河口 そうでしたっけ? 3か月前のことなのにもう覚えてない(笑)。打ち合わせのとき中村さんにイメージを伝えるために某アイドルの名前を出したら「実在の人物の名前を出すのは反則だよ」って言われたことは覚えてるんですけど。


クープマン 静香ちゃんは純粋で完璧な女の子にしてほしかったんですけど、それをどう中村さんに伝えたらいいのかわからない。でもさすがに無策で打ち合わせいくのはマズいだろうと思ってアイドルの名前をメモに書いたんですけど、「逆に描きづらい」と(笑)。

河口 結局、打ち合わせしても「まぁ、その通りには描かないけどね」って。「メゾン・ド・アームズ バシレイオン」は、こんな素晴らしいスタッフの力を結集して制作されています(笑)。

クープマン でも上がってきたデザインはどれもすごくいい。物語を書く側としては少し悔しいですけど、これだけのビジュアルがあればやっぱりテンションあがりますよ。まだ本編には登場していませんが、エステラさんも素敵です。

 

エステラ・デ・ロス・ディオス。ひきこもり続ける真世の面倒をみる露島家の家政婦


河口
 これはまさに、さすが中村さん!という魅力的なデザインですよね。本領発揮です。ちなみにエステラさんは3月末から登場しますのでお楽しみに。

──それでは最後に、読者の方へのコメントをお願いします。

河口 「メゾン・ド・アームズ バシレイオン」は、ロボットというネタを使いつつも、さまざまな方に楽しんでもらえる作品になっています。ぜひ、気軽にキャラ同士のやりとりを楽しんでください。……いっそ地の文の、文字が詰まっているところは読まなくてもいいので(笑)


クープマン ええー? 地の文こそ読み応えあるようにって頭抱えてるんですけど(笑)。

河口 いやいや、いつも大変だからここまで書かなくていいって言ってるじゃないですか。チェックにも時間がかかるし(笑)。


──地の文は飛ばしていいというのは、小説の楽しみ方としてはかなり斬新な気がしますが……。


河口 いやまあ、まずは各話冒頭のあらすじをまとめて読んでいただいて、興味をもっていただけたら、会話部分を読んで、それで面白いなと思っていただけたら地の文も読んでください。ちゃんと会話だけでもキャラクターを楽しめるようになっていますので。そんな読み方もありですから、よろしくお願いします!


クープマン 「バシレイオン」はやさしい物語なんですよ……。なので、地の文も読み飛ばさないでもらえるとうれしいです!

──本日はありがとうございました。


(取材・文/編集部)

メゾン・ド・アームズ バシレイオン

■メゾン・ド・アームズ バシレイオン
・著者:ジョージ クープマン
・イラスト:中村嘉宏(キャラ)、鈴木雅久(メカ)
・作品ページ:http://www.yatate.net/bacileion/bacileion-main.html
・第1回:http://www.yatate.net/bacileion/bacileion01.html


〈あらすじ〉
その名は弩級ロボ『バシレイオン』。突如体育座りで現れた『彼女』が、青年ひきこもり露島真世の自宅となって一週間。あらゆる脅威から護られつつ今日もVRゲームに没頭する彼に今、人生最大級の窮地が襲いかかる。
迎え撃つべく立ち上がったのはバシレイオン……ではなく、真世だった。8畳半の自室を自分の世界のすべてと決めた青年と全高150mのロボ、とりまく少女や人々とが巻き起こす、出会いとバトルのスラップスティックストーリー、ここにブートアップ。


(C)サンライズ

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