坂本夏樹さんの評価レビュー

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だからこその応え

観賞手段:動画サイト
大ヒット、なんて易い言葉ではくくれない、
視聴者の人生に深く残り続ける作品を
数多く輩出してきたA-1 Pictures
そんな秀作揃いのA1Pを代表する作品の一つ「あのはな」は、
フェイバリットに挙げられる方も多いのではないでしょうか。

内容については今更語るまでもありませんが、
Galileo Galileiによるテーマ曲「サークルゲーム」は、
バンドがアニメのテーマ曲を手がける、という応えの
一つの到達点であると声を大にして語りたい。

アニメに限らず、何かのテーマ曲となる場合、
主題が有するキーワードを的確に配置することが
常套句となっています。
特にアニソン作家と呼ばれる方々のこの辺りの
解像度の高さには、さすが専門家、と唸らさせられる
巧さがありますよね。

では、そんなテーマ曲をバンドに託す場合はどうか。
自身の言葉を自身の演奏で表現するバンドに託すならば、
巧で的確なキーワードの配置よりも、
バンドの言葉、演奏による作品の解釈を
聴いてみたくはなりませんか?

「サークルゲーム」には、
明確に作品から引用した言葉が登場しません。
なのに、6人が見た、見ている景色が
はっきりと脳裏に浮かび上がってくる。
これは作詞された尾崎雄貴さんが、
プロットの更にその向こうの
作品世界に深く潜り入ることで、
超平和バスターズと同じ景色を見ていたからだと思います。
自身の見た景色だからこそ、自身の言葉で語ることで
引用以上に鮮明な作品世界を届けることが出来たのだと。

しかも尾崎さん一人で、ではなく、
Galileo Galileiとしてバンドで挑んだからこそ、
あの場所の空気の震えまでもを
音楽の波に乗せて届けられたのだと。

今一度、歌詞を読みながら聴いていただきたい1曲です。
アニメのフレームには収まりきらなかった景色が
見えてくるはず。
プロレビュアー
坂本夏樹
坂本夏樹
ストーリー
-
作画
-
キャラクター
-
音楽
5.0
オリジナリティ
-
演出
-
声優
-
-
満足度 5.0
いいね(0) 2023-10-31 17:19:19

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