YOU44さんの評価レビュー

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名作となるべき運命

観賞手段:テレビ、動画サイト
1954年の『指輪物語』に端を発した「異世界」ものが
70年を経た現在、日本アニメで花開いたのと同じく、
60年代『魔法使いサリー』から始まった日本の
「魔法少女少女」アニメは『プリンセス ミンキーモモ』、
『セーラームーン』『まどマギ』と画期的な
作品を経て現在につながっている。
近年両ジャンルともやり尽くした感があったが、
昨年、異世界ものでは、テンプレートを逆手にとった
『異世界おじさん』や魔王討伐後の虚無感を漂わせる
叙情的な『葬送のフリーレン』という名作が現れた。
魔法少女ものでも、魔法少女に憧れた少女が不本意に
悪の幹部になってしまうというニッチな
『魔法少女にあこがれて』があった。
熟成したジャンルで枠を突き破る構図は
柄谷行人が「内省と遡行」で、
「(ソシュールの)主観の観察によって、
普遍的な法則を発見していく」に対し、
「徹底的に内側に入っていくことで、内側から突き破って
外に出る」と語ったのに似て、カッコいい。
本作が斬新なのは、題名にあるように
「魔法少女と悪が敵対していた」のが
「かつて」だということだ。
魔法少女と悪が対立していない矛盾した関係性、
さらにはそこに「ときめき」も。
ロミオとジュリエットのような
綾めいたものを予感させる。
そしてさらには作品から感じる品の良さ。
始めそれは絵の綺麗さからくるものだと
思ったが、それだけではなかった。
まず原作は2015年に絶筆になっている。
作者が死去したのだ。
なぜ9年経って今、再編集した愛蔵版が刊行され、
アニメ化されたのか。詳しくは知らないが、
おそらく作り手に様々な思いがあって、
作品に厚みを与えているのだと想像できる。
さらにヒロインの白夜が歳の割に落ち着いている、
とうか苦労人、健気なのだ。
「忙しくて食事をとりそこねることもありますが、
それはその分貯金に回したと思えば、
お腹は満たされずとも、心が満たされます」
孤児院育ち、中卒、アルバイト、院の手伝い、
格安アパート、貧乏。(『スーパーカブ』か)
それでいて魔法少女?
この組み合わせは新しい。
御使い(猫)との関係性もあざとい。
そこに悪の参謀・ミラが登場するのだから
混迷は深まるばかり。
あしながおじさんとして感動する展開で、
魔法少女、しかも「悪の参謀」なのだから。
すごい話だ。
映画『君の名は。』を観た時や
back number『水平線』を聴いた時に感じた
清濁交わった複雑な想い。
これはもうすでに名作となるべき運命の作品だろう。
ちなみに抑え気味なキラキラした白夜の声は中原麻衣。
すごい新人だと思ったが、名のあるベテランさんだった。
今期も『先輩はおとこのこ』『異世界失格』と忙しい。
この辺の起用も作品に厚みを与えているのだろう。
YOU44
YOU44
ストーリー
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作画
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キャラクター
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音楽
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オリジナリティ
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演出
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声優
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満足度 5.0
いいね(0) 2024-07-14 11:45:24

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