にゅまさんさんの評価レビュー

原作ものとは言え、大半が美少女動物園系日常学園モノと思い込んで第１話を見たのだろうと思う。原作のネームバリューの少なさを逆手に取り、事前情報にも本当の設定は見せずに、１話もあえて時系列を変えて「由紀の視点」で描写する事で本性を隠蔽し、１話ラストにて実は崩壊している校舎内と徘徊する「奴ら」の姿を晒す事で一気に話題騒然となった。原作本の売上急上昇など、見事な成果を打ち立てた作品である。

　生物兵器の搬欄により人類がゾンビ化した世界、インフラの整った学校校舎に立てこもった少女たちが、様々な苦難の中で「学園生活の日常」を維持していく話。「結城友奈は勇者である」が打ち立てた「新日常系」失ってみて分かる日常の素晴らしさを描く…の系列に属する作品。

　また、恐怖のあまりかつての日常の記憶にすがりついて事実から目を背けていた主人公が、最終的に現実と向き合い仲間の危機に立ち上がるまでの成長ドラマとしてまとめられており、そこに多々の見せ場がある。女教師・めぐ姉の死を受け入れて彼女の幻影の庇護から巣立つ展開は、実に丁寧に力を込めて描かれており、決して序盤のインパクトだけの作品ではない事を示している。

　無論、ゾンビものの常としてラストでも事体は収束せず、インフラを失った学校から「卒業」する少女達の向かう先には新たな試練が待っている。それらについて語られる機会があることを期待する。