【インタビュー】フライングドッグ10周年。その軌跡とアーティストとの関わりを、佐々木史朗社長が語る!

2019年01月31日 19:000

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菅野よう子の曲を歌ってきた、魅力あふれるアーティストたち


── 「犬フェス!」には、菅野よう子さんが出演されます。また、彼女と関わりのあるアーティストが出演者の中に数多くいらっしゃるんですね。そのひとりで、もっとも早い時期に菅野さんの歌を歌っていたのが新居昭乃さんです。新居さんはそもそも80年代に、ビクターの別の部署からアーティストデビューされていたんですよね。

佐々木 昭乃ちゃんも長くお付き合いさせていただいているアーティストになりました。当時のJ-POPの世界というのは、一定の期間ごとにシングルを出さないといけなかったり、流行りのスタイルに合わせることが求められるんですけど、彼女は独特のカラーがあって、マイペースに音楽をやっていきたいというタイプだったので、J-POPの世界よりもアニメと親和性があったんですよね。菅野さんとも以前から知り合いということもあって、いろいろな作品に参加していただきました。アニメは作品に合いさえすれば、どんなジャンルの音楽をやってもいいという自由さがあって、彼女のよさを生かすことができたと思います。

── そして坂本真綾さんです。坂本さんは、菅野さんが音楽を担当した「天空のエスカフローネ」で主人公・神崎ひとみを演じ、オープニングテーマ「約束はいらない」を歌ったところから、フライングドッグとの関わりが始まりました。

佐々木 僕は「約束はいらない」から2ndアルバム「DIVE」くらいまで、ディレクターを担当していました。「エスカフローネ」に関して言えば、当初、なかなかオープニングを歌うアーティストが決まらなかったんです。そのときに主役の女の子はどうかという事で、デモを録って菅野さんに聞いてもらったら、この子がいいという事になりました。声がいいというのと、すごくきれいに日本語を歌う子だというのが、僕の第一印象でした。

── それから20年が経って、今は下の世代の何人ものアーティストが、憧れの人として名を挙げる存在になりました。

佐々木 歌い手さんや役者さんにはいろいろな人生の形がありますが、僕から見たら彼女はすごくいい歳月の送り方をしているなと思います。菅野さんと一緒にやっていた時期から、菅野さんから離れて、いろいろな人と組んだ時期を経て、次は自分で作詞作曲するようになって。悩んだこともあったと思いますが、本人の努力のたまもので、すごく素敵な大人になったなと思いますね。いまだに僕は親戚のおっちゃんみたいな感じで、「真綾ちゃん、真綾ちゃん」って言っちゃうんですけど(笑)。

── 何年かの周期で菅野さんの曲を歌うことがあって、それもファンにとってはうれしかったです。そして2000年代に入ると、AKINOさんが登場します。岩里祐穂さんの作詞、菅野よう子さんの作・編曲による「創聖のアクエリオン」の大ヒットがありました。

佐々木 「創聖のアクエリオン」は「犬フェス!」のリハで聴いたばかりなんですけど、改めていい曲だと思いましたね。岩里祐穂さんは「文芸路線」と表現していたんですけど、菅野さんが真綾ちゃんに作る楽曲はリリカルな方向性に寄っていて、そのいっぽうで「カウボーイビバップ」のようなジャズやロックの世界があり、どちらもセンスのいい音楽という感じだったんです。そこから一気にシフトチェンジしたと感じたのが、「創聖のアクエリオン」でした。極端な言い方をしてしまえば、破壊力があるバカバカしい路線ですね(笑)。打ち合わせで河森(正治)監督が「1万2千年前からのラブレターなんです」と説明したとき、その場で「できた!」と菅野さんが言ったのが、記憶に残っています。センスのよさをキープしながらも、「ベタやな~!」という曲で、その流れが「マクロスF」に繋がっていくことになります。


── AKINOさんは四兄妹によるbless4のメンバーで、「アクエリオン」以降も、独自の活動を続けながら、フライングドッグからアニメソングを発表していくことになります。「犬フェス!」にも、AKINO with bless4としての出演が決まっていますね。

佐々木 実力があるシンガーであり、非常に仲のいい兄妹です。彼らのよさはいわゆるレコード会社のビジネスの枠にとらわれないところにあって、効率よくヒットを狙うような付き合い方は、僕らとしてもしたくないと思っています。本人たちがやりたいことをやりながら、合うアニメ作品があったら、歌い続けてもらいたいなと。

── そして2000年代後半に入ると、「マクロスF」が出てきます。この作品も、佐々木さんが音楽プロデューサーを務められていますね。May’nさん、中島 愛さんという2人の女性アーティストが世に出た作品です。

佐々木 同い年の2人なんですよね。シェリルは物語の中ではトップスターでしたが、ランカはデビュー前の姿から描かれることになって、リアルの愛ちゃんとリンクしていました。「マクロスF」はライブも精力的に行って、お客さんはMay'nちゃんと愛ちゃんが歌う姿を見て、物語の中のコンサートホールにいるような感覚を味わうという仕掛けができたと思います。いっぽうでそれはアーティストにある種の十字架を背負わせることでもあったので、2人それぞれに、シェリル、ランカとして認識されるという葛藤は、間違いなくあったと思います。

── でも、「マクロスF」のTVシリーズからすでに10年が経って、お2人はシェリル、ランカの歌を歌いながら、それぞれの道を歩んでいるように感じます。たとえばMay'nさんは、最近のライブを拝見すると、シェリルの曲をうまくアレンジして楽曲の可能性を広げているように思います。

佐々木 そうですね。2人とも肩の力がうまく抜けてきて、いい感じになっていると思います。

── 中島さんは一度、活動を休まれて、復帰しました。復帰後は佐々木さんが担当ディレクターを務められていますね。

佐々木 彼女の意見を取り入れながら、いい形でできていると感じています。愛ちゃんはいろいろと考え過ぎてしまうタイプなんですが、経験を重ねるごとに気持ちの切り替えがうまくなってきましたし、昭和歌謡好き、アナログレコード好きという自分の趣味も仕事に生かせるようになってきましたし。

── 中島さんが昭和の歌謡曲をカバーしたミニアルバム「ラブリー・タイム・トラベル」が、ちょうど2019年1月28日にリリースされました。

佐々木 マニアックな内容なんですけど、彼女の10周年記念ということで、それもありなんじゃないかと。好きな音楽を本人のプロデュースによって制作したというのは、将来的にも彼女の役に立つと思っています。May'nちゃんも愛ちゃんも、この先歌い続けていくうえで、「マクロスF」がアーティストとしての自信の下支えになってくれるのではないかと思っています。

── 「マクロス」シリーズから生まれた現状で最若手のグループがワルキューレで、「犬フェス!」にも、もちろん登場します。佐々木さんから見たワルキューレは、どのようなグループでしょうか?

佐々木 「マクロスΔ」に関しては、僕は完全にオブザーバー的な立場で、親戚のおっちゃんを通り越して、おじいちゃんですね(笑)。「マクロスF」のライブを作っていた頃は、当日が無事終わるまで心配で気が気じゃなかったんですけど、ワルキューレのライブは福田ディレクターに任せているので、非常にリラックスして見ることができます。ワルキューレのライブを見るのは楽しいですね(笑)。


── ライブを経験することで、すごい勢いで成長してきたグループだと思います。

佐々木 そうですね。JUNNAちゃんは違いますけど、ほかの4人は声優という仕事を持ちつつ、で、JUNNAちゃんはワルキューレとはタイプの違う自分の音楽活動もやりながら、あそこまで振りを合わせて、複雑なコーラスをやってというのは大変なことなんです。数多ある声優ユニットとは、そこが決定的に違うところですね。ダンスはほかのグループもやってますけど、あのコーラスワークはほかにはないと思います。

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