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女の子と男の子、それぞれのこじらせた気持ちを書きました
── 4曲目「なんで」は、堀江晶太さんの作曲・編曲で、作詞は鹿乃さんです。 鹿乃 思春期と言えば恋愛だなと思って、恋愛の歌詞を書きました。ちょっと病んでるというか、こじらせている女の子が彼氏に対して怒るときになんて言うかなと考えたら、「なんで!?」って言葉が一番多いかなと。
── ははは(笑)。 鹿乃 言われた記憶がありますか?(笑)。
── そういう感じの人は、確かにいますよね。 鹿乃 何かにつけても、「なんで!?」とか「どうして!?」とか「だって」って言う子っているなあと思いながら書いた詞で、タイトルもストレートに「なんで」にしました。そういうことを言っているときって、相手からアドバイスが欲しいわけじゃなくて、ただ聞いてほしいだけだから、自己完結で答えを出していくような感じで歌詞も終わっていくんです。
── 「なんで」って、何も言わなくてもわかってよ、ってことですよね。 鹿乃 そうですね。「察して」ってことなんだと思います。
── 鹿乃さんも、そういう言い方をしてしまうタイプでしたか? 鹿乃 私は言いません。面倒くさいなって思って、「いいやいいや」って流しちゃいます。
── 堀江さんには、どういうふうに曲をお願いしたんですか? 鹿乃 思春期っぽい若々しい曲を、と。できあがってみたら、ちょっと変態チックなアレンジでしたよね(笑)。柔軟性があるというか、いろいろな曲が書ける方ですごいなって思います。
── じゃあ、できあがった曲を聴いて、この曲で恋愛をテーマに詞を書いてみようと? 鹿乃 そうですね。サビのラストの落ちていくメロディがよくて、恋愛相手としてはちょっと面倒くさい女の子の気持ちを書いたら、合いそうだなと思いました。
── 5曲目「loop loop loop」も鹿乃さんの作詞ですね(作曲・編曲はCoch)。 鹿乃 この曲では、「なんで」と対称的に、男の子の思春期を表現したいと思いました。最初に思いついたのが「パッパッパッ」「ライライライ」というオノマトペの部分だったので、これは説明じみた歌詞じゃダメだなと思って。男の子が好きそうな言葉ってなんだろうって考えつつ書いてました。「午前零時」とか「世界」とか好きそうだなって(笑)。
── それはきっと好きですね。 鹿乃 そういう言葉を散りばめながら、こじらせてしまった男の子が、「なんで」の主人公みたいなタイプの女の子を、感情的になるなんてダサいなってうがった見方をしているイメージで書きました。
── 午前零時から朝を迎えるまで、この曲の主人公は寝てないんですよね。 鹿乃 夜中に寝ないでいると、こういう恥ずかしいことを考えちゃうんだろうなって。
── 夜中に考えることはだいたいヤバいですね(笑)。楽曲的にはリズムが立っていて、気持ちよく聴けるサウンド感だなと思いました。 鹿乃 かっこいいんですけど、歌うのはめちゃめちゃ難しかったです。あまり歌ってこなかったタイプの曲で、レコーディングは永遠に終わらないんじゃないの? みたいな感じだったので、そこからタイトルが「loop loop loop」になったんです(笑)。
── 鹿乃さんのレコーディングの苦悩が、曲のタイトルに(笑)。 鹿乃 久々にレコーディング中に心が折れました(笑)。リズムもそうなんですけど、高音で早口で、サビが本当に難しくて。ライブでも追いつめられるんだろうなと、ヘンな汗が出てます(笑)。
── 最後は希望があって終わっていきます。 鹿乃 男の子って永遠に思春期なのかなって思うことがあって。どんなに大人になっても、男同士で盛り上がっているのを見ていると、そんなことで笑うの? そんなことを喜ぶの? って。そんな気持ちを歌詞にしてみました。
── 6曲目の「HOPE」は、TVアニメ「狐狸之声」のエンディングテーマです。 鹿乃 狐の面を付けて匿名で活動しているアーティストが主人公の作品なので、共感しやすかったです。かわいく歌うよりはきれいに歌い上げることをイメージしました。「春に落ちて」以降の曲は自分らしさを出そうと意識して歌っているので、この曲も今までとは違う私らしさが出せたかなと思います。ファンの方も私と一緒に年齢層が上がってくるので、一緒に成長できたらいいなと思いながら歌いました。
── メロディがきれいで、大人っぽいボーカルだなと思いました。最後の7曲目「Padlling Blue」はハヤシケイさんの作詞・作曲・編曲です。 鹿乃 これも思春期の楽曲です。心の葛藤を描くのなら、ハヤシケイさんしかいないなと思ってお願いしました。「人魚姫」をモチーフに、思春期とからめて作った曲だということです。
── 歌詞はストーリー性が高いですよね。 鹿乃 悲劇のストーリーを描きながら、明るい方向へ向かっている気持ちも入った曲です。たとえ実現できなくても、がんばってきた気持ちは本当だということがテーマのひとつになっていて、そういう前向きな思いを表現できたのはよかったなと思います。青って青春って感じがしますよね。
── 楽曲的には落ち着きがあって。 鹿乃 やさしくて切ない曲になりました。ひっそりとアルバムが終わっていくということで、大人っぽく締めることができたと思います。