かわいいヒロインは好きだけどハーレムを語るのは恥ずかしい？　中国の10月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

2018年12月09日 12:001

中国オタクのアニメ事情

企画記事

アニメコラム

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特撮に対して「子ども向けで価値がない」から「オタクとして必要な知識」への変化も

中国で配信される日本の新作アニメの中で人気や話題の中心となるような作品は、中国のオタクな人たちの嗜好や考え方、中国の若者向けの作品などに対して影響を及ぼすことも珍しくありません。

今期の作品を見ても、「ゴブリンスレイヤー」は日本的なファンタジー世界観とシステムに関する考察を強化することになっているようですし、「グリッドマン」は特撮ジャンルに対する再評価の動きを発生させているようで、特にこの「グリッドマン」による影響は興味深いものとなっています。

実は中国のオタク界隈では特撮ジャンルに対する扱いが日本と比べてかなり悪く、「ウルトラマン」が非常に高い知名度と人気を獲得してはいるものの、中国のオタクな人たちの間では長い間、それこそ中国のオタク層が形成された初期の頃からずっと、特撮ジャンルに対しては
「子ども向けで我々オタクが見るような価値はない」
とバッサリやってしまうような傾向が続いていました。

このような認識が形成された原因としては、上述のような中国のオタク層の「子ども向けを嫌う」傾向や、アニメや漫画は次々と中国に新作が入りアップデートされていったのに対して、特撮は長い間、昭和のウルトラマンで止まっていたことなどが考えられるそうです。それに加えて日本の特撮作品数の相対的な少なさもあり、一度固まったイメージが変わるのは難しい……といった状況が続いていたそうです。

しかし「グリッドマン」の人気や作品に関する話題の影響により、そのあたりの見方が変化したり、日本の過去の特撮作品に関しても再評価する動きが出ているとのことです。
「グリッドマン」に関して中国のオタク界隈では「原作が特撮」という点にも注目が集まり、作中に出てくる特撮ネタが話題となっていますし、そこからさらに話を広げて、日本のクリエイターが特撮から受けた影響や、特撮系の作品が自分たちの主な守備範囲であるアニメにどのように活用されるのかなどといった方向での話題も盛り上がっているそうです。

中国のオタクな方によると、中国において、このような流れと規模でアニメと特撮の関係について盛り上がるのは珍しく、
「特撮を子ども向けだからと切り捨てていた空気の変化が感じられますし、ライトなオタクの中にも改めて特撮ジャンルに目を向ける人が増えています」
「特撮のアニメへの影響に関する知識自体はあったのですが、やはり目の前の人気新作アニメでハッキリと特撮要素が活用されるのは大きいですね」
という話でした。
もちろん「グリッドマン」以前にも、ウルトラマンや仮面ライダーの新作の影響などから、徐々にではあるものの中国における特撮ジャンルの扱いが向上していく流れではあったそうですが、「グリッドマン」のアニメによってその流れがかなり加速したのも確かだとか。

10月の新作アニメについては、上であげた作品以外にも「ソードアート・オンラインアリシゼーション」や「とある魔術の禁書目録III」が好調で、特に「ソードアート・オンライン」は、中国では日本と比べてファン層が拡大しづらく、失速ペースが速い傾向のある続編系作品の中では珍しく、高い人気や話題性を維持し続けています。
また「ゾンビランドサガ」や「転生したらスライムだった件」、「うちのメイドがウザすぎる！」なども好評ですし、それ以外にも話題となる作品がイロイロと出ています。

10月のシーズンも完全に何事もなしというわけではありませんが、このところ何かとゴタゴタ続きだった中国のオタク分野において久々に落ち着いた、楽しめる作品も多いシーズンとなっているようですね。

（文／百元籠羊）